紅ゆずる「スーパーハッピーな時間だった」

2019.12.21 08:00
(写真3枚)

2019年10月に宝塚歌劇団を卒業した元星組トップスター・紅(くれない)ゆずる。タカラヅカ王道の華やかな作品から、明るい持ち味を活かした落語が題材のミュージカルまで幅広い作品に出演し、唯一無二の個性を発揮。大阪仕込みの軽妙なトークでも魅了する紅は、今後どのような道を歩いていくのか。退団後の率直な思い、初主演コンサート『紅-ing!!』への意気込み、さらに今の「紅ゆずる」をつくり上げた原点について語った。

取材・文/小野寺亜紀

「規格外で破天荒でした!」

──退団のご挨拶で、「心が震えるほど愛する場所」と表現された宝塚歌劇団を10月13日に卒業されて、翌日はどのようなお気持ちだったのでしょうか?

翌日は組旅行(星組生全員での旅行)でみんなに会えるから、まだ寂しさはなかったのですが、14日の午前0時を過ぎたときに、「あぁ、自分はもうタカラジェンヌじゃない日を送っているのだな」と一瞬思いました。そして、組旅行を終えて新幹線で別れるときに初めて、「みんなは宝塚に帰るんだ、自分は違う道なんだ…」と寂しさを実感しました。ただ、12日の前楽が台風の影響で中止になり、「千秋楽は何とか成功させたい。ファンの方に納得していただける形で退団したい」と強く思っていたので、何かを成し遂げたという思いも大きかったです。

──あらためて18年間の宝塚人生を振りかえると、いかがですか?

すごく苦労があったと同時に、スーパーエンジョイした、スーパーハッピーな時間だったと思います! よく「苦労したことも忘れる」と言うけれど、苦労にも意味があるというか、苦労は花咲くための大切な時間、ということを実感する日々でした。

──確かに、コツコツと努力されてトップスターに上りつめられた印象があります。品のある伝統的なスター性と同時に、規格外な魅力を放たれたように感じますが、ご自身ではどのような男役だったと思われますか?

仰っていただいた通り、規格外で破天荒でした! 宝塚はすべてが自己プロデュースなのですが、私自身「見かけは宝塚っぽいのに、全然宝塚っぽくないよね」と言われる人になりたかった。実際私は(宝塚王道の)コスチュームものやレビューが好きですが、それとは別に「紅子(べにこ)」(紅演じる個性的な女性キャラクター)みたいなものもできたらいいなと思っていたので、本当に良かったなと思います。

宝塚歌劇の歴史でも珍しい台風での公演中止が、自身の「サヨナラショー」が付く前楽公演で起こり、より一層千穐楽の成功を願ったという
宝塚歌劇の歴史でも珍しい台風での公演中止が、自身の「サヨナラショー」が付く前楽公演で起こり、より一層千穐楽の成功を願ったという

──ではやりたいことを、全うできた宝塚人生だったのですね。

そうですね。劇団にそれを叶えていただきました。最初は劇団も戸惑われたと思うのですが、最終的にはすごく面白がっていただき、本当にかわいがっていただきました。もうファミリーという感じです。

──それは紅さんの宝塚愛の大きさゆえ、というのもあると思います。大阪出身の紅さんですが、小学5年のときに宝塚歌劇の舞台をテレビで観てから、虜になったのですよね。

はい。ただ私の家族は全然芸能に興味がなくて、自分が「タカラヅカ、タカラヅカ」と騒いでも「よく知らないな」という感じで・・・。でも昔から近所の方に、「宝塚に入ったら?」とすごく勧められてはいました。

──見た目などからですか?

どこに行っても男の子に間違われてイヤでしたね(苦笑)。小学6年で168cmあり、ランドセルが非常に似合わず、「タカラジェンヌみたい」とよく言われていました。でも周りはそんなに宝塚には詳しくなかったんですよ! 唯一、書道の先生が宝塚をとても好きで、毎回書道をするというより、永遠に宝塚の話をするという感じでした。先生に「私、宝塚に入りたいねん」と言うと、「入り入り!」と応援してくれました。

──その頃から、「人を楽しませたい、笑わせたい」という感じだったのですか?

いえ、全然そうでもなくて。その頃はすごく人見知りをしていました。挨拶も頑張らないとできない、みたいだったのが、やはり舞台に立ってから変わりましたね。自分の発することに対して、お客さまから返ってくるものがあったとき、とてもうれしくて。初主演させていただいた新人公演の最初のソロナンバーで、右手と右足が同時に出るぐらい緊張して、人生の大ピンチだったのですが、銀橋(オーケストラボックスと1階客席の間にあるエプロンステージ)のど真ん中で、お客さまから大きな拍手をいただいたときに、一気に吹っ切れたんです。大ピンチが大チャンスに変わった瞬間でした。

──紅さんにとって最後の新人公演、『THE SCARLET PIMPERNEL』(2008年)でつかんだ初の主役ですね。

はい、あのときにお客さまからの温かい拍手がなかったら、もうド緊張で全然ダメだったのかもしれないのですが、その拍手で「自由におやりよ」と言われている感じがして、とても助けられました。そこで「お客さまありきの自分」なのだと感じ、それからは劇場でお客さまとのキャッチボールがしたい、という思いがずっとありました。

──この時の曲が『ひとかけらの勇気』で、まさにその曲の通り、紅さんの宝塚人生に勇気をもらった方も多いのではと思います。

自分の好きなことをして、みなさまが喜んでくださるなんて本当にありがたいです。まさかこの作品を、自分がトップになったお披露目公演(2017年)でさせていただけるなんて思ってもいなかったので本当に幸せでした。

『紅ゆずる 1st CONCERT「紅‐ing!!」』

日程:2020年2月6日(木)~9日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席11000円、A席7500円、B席5500円
※2020年1月11日(土)発売
電話:06-6377-3800

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