松本幸四郎「密室殺人の臨場感に緊張」

2019.10.22 06:00
(写真12枚)

「密室殺人の臨場感に緊張した」(幸四郎)

──お吉との心理戦を繰り広げる緊迫した場面は、鬼気迫るものを感じました。

殺しを決めた瞬間から、殺しをやるまでの場面は本来、義太夫(語りや伴奏)が入っているのですが、すべて義太夫なしで撮りました。

──義太夫が入らないとなると、舞台での空気感が違ったかと思いますが。

密室殺人ってこういうことなのではないかなと緊張しましたね。まったく経験しなかったことでした。密室での殺人は、これだけ静寂なんだなと。自分に聞こえてくるのは相手の苦しい息遣いや、油がぴちゃっと落ちる音だけですから・・・。『女殺油地獄』を演じるにあたっても、すごくいい経験になりました。

──ほかにも義太夫をカットしているところはありますか?

殺す瞬間もカットされています。それは歌舞伎の『女殺油地獄』としては衝撃的なことです。とどめを刺す場面なので、一番必要なところかもしれない。そこでカットしている点もシネマ歌舞伎版の大きな特徴だと思います。ただ、それが別に不自然には感じないんですよね。

鬼気迫る殺しの場面を演じる与兵衛役の松本幸四郎とお吉役の市川猿之助 (C)松竹
鬼気迫る殺しの場面を演じる与兵衛役の松本幸四郎とお吉役の市川猿之助 (C)松竹

それは違うことをやってみようということが目的ではなく、「この場面をどう見せると効果なのか」と監督が決めたことなので、監督のすごさに尽きます。監督自身は一番悩んだところではあったようですが、この演出は『シネマ歌舞伎』でしかできないことかもしれないので、改めて作った価値があったなと思います。

──お吉役の猿之助さんとは8年ぶりだったそうですね。

与兵衛は突進していく方ですから、それをどう受け止めて、どう返してくるかがお吉の役で。そういう意味では、猿之助さんはどこに投げても受け止めてくれますし、投げ返すときもあります。安心感といいますか、100%信頼のなかでやらせてもらっている感じでした。

ダメ息子を演じる与兵衛役の松本幸四郎(左)、妹・おかち役の中村壱太郎、父・徳兵衛役の中村歌六 (C)松竹
ダメ息子を演じる与兵衛役の松本幸四郎(左)、妹・おかち役の中村壱太郎、父・徳兵衛役の中村歌六 (C)松竹

──映像をご覧になって、お気に入りのシーンはありますか?

一番ドラマチックなのは殺しのところですけど、襲名披露ということもあって、与兵衛のお父さんは中村歌六さんで、お母さんが坂東竹三郎さん、兄が中村又五郎さん、妹が中村壱太郎さん。お吉の旦那に中村鴈治郎さん、叔父の山本森右衛門は市川中車さんと、最強の配役でやらせていただいているので、すべてを観ていただきたいです。

シネマ歌舞伎『女殺油地獄』

日程:2019年11月8日(金)〜28日(木)
料金:一般2100円、学生・小人1500円

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