松本幸四郎「密室殺人の臨場感に緊張」

2019.10.22 06:00
(写真12枚)

平成30年7月に、「大阪松竹座」でおこなわれた二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎襲名披露。そこで上演された『女殺油地獄』が、11月8日よりシネマ歌舞伎となってスクリーンに登場する。幸四郎による主人公・与兵衛が、市川猿之助が演じるお吉を殺す場面が見ものの同作。幸四郎は「収録・編集協力」でも本作に参加し、映画界で活躍する監督やスタッフを迎えて、場面によっては舞台上にカメラを上げて撮影したという。映像化にあたっての思いを幸四郎に訊いた。

取材・文/岩本 写真/木村正史

「映像として見る『女殺油地獄』を作りたい」(幸四郎)

──『女殺油地獄』を映像化することで、もっとも意識されたことは何ですか?

シネマ歌舞伎を作るにあたって、監督にひとつお願いしたことは、舞台で上演したものをそのまま再現することが目的ではなくて、映画館で観るもの、映像として観る『女殺油地獄』として作っていただきたいということ。

シネマ歌舞伎『女殺油地獄』の撮影風景 提供:松竹
シネマ歌舞伎『女殺油地獄』の撮影風景 提供:松竹

そのためには場面のつなぎ方や、音楽、お客さまの反応など、足したり引いたりして、いじってくださいとお願いしました。監督をはじめ、スタッフのみなさんに作っていただきましたが、私も幕の切り方や、次の幕への始まり方などを打ち合わせさせていただきました。

──幕の切り方、始まり方というのは?

一場、一場をどう見せていくか、ですね。舞台でしたら、休憩があって、舞台転換時間がありますが、『シネマ歌舞伎』では最初から最後までずっと繋がっていくので。どういうふうに時間経過を表すかは考えました。

──映像にすることで、一番見せたかったものは何でしょうか?

お吉の心理描写や、与兵衛の気持ちの変化など、表情やちょっとした仕草をクローズアップできるのではないかと。実際に演じていることは舞台で上演するものと同じですけれど、目の動きの小さな変化など、客席と舞台の距離感ではなかなか受け取ることができないので、それをしっかりと見ていただける作りになっていると思います。

「目の動きの小さな変化など、しっかりと見ていただきたい」と松本幸四郎
「目の動きの小さな変化など、しっかりと見ていただきたい」と松本幸四郎

──映像に映し出された表情の変化は、1列目でも見られないものでした。その近さは『シネマ歌舞伎』ならではの醍醐味ですね。

監督とそういうカット割りをしてくださいと相談したものではなく、監督が見て「もっと強調したい」と寄りのカットにされたと思うので、そういう意味では『女殺油地獄』の演出のすごさだなと改めて感じました。

シネマ歌舞伎『女殺油地獄』

日程:2019年11月8日(金)〜28日(木)
料金:一般2100円、学生・小人1500円

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