外国人就労問題に一石、新今宮の宿の試み

2019.9.28 07:00

取締役の加地太祐さんが2014年に立ち上げた「YOLO JAPAN」は外国人の生活全般のサポートをおこない、求人情報などを紹介。約5年間で225カ国、約12万人も登録

(写真8枚)

日本で外国人就労が増加傾向をたどるなか、大きな難関となっているのが語学力。そんな問題に一石を投じる施設が大阪・新今宮に9月28日にオープンする。外国人就労トレーニング施設を兼ねて、働くスタッフは全て外国人の宿「YOLO HOTEL MUSEUM(ヨロ ホテル ミュージアム)」(大阪市浪速区)だ。

「人手不足のため、外国人就労を拡大するとは言うものの、『日本語能力試験』である程度のレベルがないと面接さえしてもらえないのが現実。そんな状況の日本で、働く魅力を感じられるはずがない。門戸を広げるために今回の施設を企画しました」と、外国人向け会員サイト「YOLO JAPAN」(大阪本社:大阪市浪速区)を運営する代表取締役・加地太祐さんは、初めての宿経営にいたった理由を説明する。

そんな彼が新たに手掛ける宿泊施設でのフロント、レストラン、清掃のスタッフとして働くのは18カ国以上約32名のスタッフ。名札には、日本語の習熟度を記し、なかには流暢な人もいれば、たどたどしい人もいる。「ここで経験を積んで、ほかのホテルで採用してもらうことが理想。あくまでも、ここは研修の場としてとらえている」と話す。

フロントを担当するグレッグさん。一度は帰国したものの再来日
フロントを担当するグレッグさん。一度は帰国したものの再来日

フロントで働いくポーランド生まれのカナダ人グレッグさんは、日本在住歴10年の元英語講師。「ホテルでの経験を積みたかった。日本語をもっと上手にしゃべれるようになりたい。(プレオープン中も)ここは忙しいけれど面白い。海外の人を助けてあげられる場になると思う」と、新しい職場での成長に期待を込める。

実際に関西、特に大阪と京都ではホテルが次々とオープンし、現在建設中のものも多数。当然ながら、人材不足は懸念され、自動チェックインや、コンシェルジュ代わりのタブレット導入など、省人化が進められているものの、やはりマンパワーは必要。最近でこそ、清掃スタッフも多国籍となってきているが、それもまだ一部。状況を考えると、ますます需要が高まる業界であることは間違いない。

76室1つずつアートワークが異なる。写真はドミトリー(相部屋)
76室1つずつアートワークが異なる。写真はドミトリー(相部屋)

また、今後は「サバイバル・ジャパニーズ」として、買い物や病院で必要なフレーズなど日本で日常生活をしていく上で必要な語学講座も定期的に予定。場所はJRと南海電車の新今宮駅近く。ホステルに近い形態となり、トイレ・シャワーは共有で、デザイナーズシングルルームプランはオープニング価格で2800円~。

「YOLO HOTEL MUSEUM」

2019年9月28日(土)オープン
住所:大阪市浪速区恵美須西3-13-24

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