２０１８年のシングル『Ｕ.Ｓ.Ａ.』が大ヒットを記録し、年末の『紅白歌合戦』にも出演するなど多忙を極めている７人組ダンス＆ボーカルグループ・ＤＡ ＰＵＭＰ。だが、大きくピックアップされるのはやはり、デビュー時からグループを守り続けて来たリーダーのＩＳＳＡだ。

メディアでは「ＤＡ ＰＵＭＰ、再ブレイク」という文字が躍ったが、一方でその言葉に少し違和感があった。なぜならそれは、あくまでＩＳＳＡに向けられたものであり、２００８年のグループ再編時に加入したメンバーに当てはまる言葉ではないから。今回、来阪したメンバーの３人（ＹＯＲＩ、ＫＩＭＩ、ＴＯＭＯ）に、今の状況をどう考えているのか訊いた。

取材・文／田辺ユウキ　写真／木村正史

「電車で自宅に帰るときに、これが現実なんだと」

──みなさん、いま取材を受けると最初の質問は必ず「２０１８年の『Ｕ.Ｓ.Ａ.』ブーム、どうでしたか？」と感想を求められるんじゃないですか。

全員「そうですね」

──ただもう１年前の話ですし、３月リリースのシングル『桜』はＤＡ ＰＵＭＰの違う一面を見せた楽曲です。にも関わらず、その話題を必ず最初に振られることについてどう感じているのか興味があって。

ＹＯＲＩ「まず、注目していただいたことに感謝の気持ちがあることは前提です。ただ、僕たちもその質問に対して答えがほぼ決まってきています。それは『特に大きくは変わっていないです』ということ。インタビュアーのみなさんは『こう変わったんじゃないか？』という部分を聞きたいはずですが、実際はそこまでではないんです」

ＴＯＭＯ「そう、根本は変わっていないよね。新幹線がグリーン車になったり、お弁当の品数が増えたりしたことくらい（笑）。でも、自分たち自身はまったく変わっていない」

ＫＩＭＩ「グリーン車になったとはいえ、都内に着いたら電車に乗ってそれぞれ自宅に帰りますし（笑）」

──でも、周囲がグループに求めるものは大きくなっていますよね。その象徴的な出来事が、現在開催中のツアーの「日本武道館」「大阪城ホール」という大会場でのライブ。ちなみに、初期のＤＡ ＰＵＭＰはメジャーデビューから約１年で「日本武道館」でのライブを実現させましたが、みなさんは１０年かけてたどり着きました。

ＫＩＭＩ「初期のＤＡ ＰＵＭＰの日本武道館ライブを僕は観に行っていましたし、もしかするとあのとき、一緒の空間にいた人が今回観に来るかもしれないと思うと感慨深いです。当時とはメンバーは違いますが、それでも２０年以上にわたってグループが継続しているのはすごいこと。なので『今のＤＡ ＰＵＭＰもいいよね』と言ってもらわないといけない」

ＴＯＭＯ「僕らは１０年かかったけど、その時間は無駄ではなかったという自負があります。（全国のショッピングモールでライブをして回る）モールツアー、そして活動ができなかった時期などを経ての、日本武道館や大阪城ホールでのステージなので」

──日本武道館の日もやっぱり電車で移動することになるんですかね･･･？

全員「その可能性はかなり高いですね（笑）」

ＹＯＲＩ「でも、そういう状況が自分たちをちゃんと現実の世界に引き戻してくれる。たとえば渋谷あたりでポンッて降ろされて、そこから電車に乗り換えて自宅に帰るんですが、みんなで『これが現実なんだよな』『俺たちはまだまだなんだ。もっと頑張ろう』と鼓舞しあって、ここまで来ていますから」

ＫＩＭＩ「本当にそうだよね」

ＹＯＲＩ「僕は、４人時代のグループはそれほど強く意識をしていないんです。なぜなら現在とまったく別物で、僕らは僕らの道のりがあるから。この１０年、正直なところ『これで良かったのか』と疑問ばかりの毎日でしたが、自分が選んだ道なので辞めるという選択肢は全くなかった。メンバーもいいやつらばかりだし、みんなに支えられてここまで来ましたね」