機械仕掛けのアートな世界、大阪で開催

2019.3.28 08:00

《ヘル・パラダイス(部分)》2018年 撮影:武藤政彦

(写真5枚)

短編映画のごとく、独特な世界観を小さな箱で繰り広げる「機械仕掛けのカラクリボックスシアター」。それをすべて1人で手掛けるムットーニこと、武藤政彦が6年ぶりとなる関西での企画展『ムットーニ シアター in HANKYU』が3月27日から開催。初日には大勢のファンが集った。

きらびやかなビッグバンドとともに歌う女性シンガー、父親のプレゼントから広がる息子の空想世界、宙へとゆるやかに飛び立っていく天使・・・カラクリの動き、光、音楽とともに幻想的な空間を生み出す自動人形師の武藤。今回は、新作から過去の大作まで約60点が集結する。

特に注目したいのは、毎日おこなわれる本人による口上だ。一部の作品を上映時間に合わせてひとつずつ、その時代背景や登場人物について、制作秘話を織り交ぜながら朗々と語ってくれる。「ずっと閉鎖的な空間で制作しているので、お客さまの反応が観てみたい。それを噛み締めて楽しみ、作家としてのモチベーションが生まれてくる」と、武藤さんは朗らかな笑顔で語る。

会場は3つのエリアに区切られ、からくりが動き出すとその前には人だかりが
会場は3つのエリアに区切られ、からくりが動き出すとその前には人だかりが

大作であれば制作期間は半年もかかるというが、「頭のなかのイメージを現実のものとして作っていくなかで、ペンキを塗っているときにアイデアを思いついたりします。たまたま見つけた偶然の光に意味をつけてあげたりして、ようやく作品が生まれるのです。そのため、ひとりでしか創れない作品なのです」と、説明する。

また、ジャズやサンバ、聖歌といった音楽も重要な要素を締め、「もともと知っている音楽に観客が引っ張られないように。そのため、自分が本当に聴き込んだ作品、もしくはイメージに沿う音楽を探すために何百曲と聴いて選んだりしています」と語り、その音楽と呼応する動きは、まさに耽美なひと時を醸し出してくれる。

会場では、動きをひとつも逃さないように見つめる人、なかには涙しつつ眺める人など、静かに味わう人々が多く、高槻市から訪れた50代の女性は、「ずっと観に行きたいと思っておりました。選曲、雰囲気、音楽に合わせて変わる細かい動きなどが素晴らしかったです」と、感動を隠せない様子だった。

展示スペースは3セクションに分かれており、各セクションごと0分・30分から順番に作品がスタートするため、すべての作品を鑑賞するなら少なくとも、1時間半かけることをおすすめする。口上は月〜土曜は11時・14時・18時半(最終日のみ14時まで)、日曜は11時・14時・16時。料金は一般800円ほか。

『ムットーニ シアター in HANKYU』

期間:2019年3月27日(水)〜4月8日(月)
時間:10:00〜20:00(金・土曜は〜21:00、4/8は〜18:00)
会場:阪急うめだ本店9F 阪急うめだホール
料金:一般800円、大・高校生600円、中学生以下無料
電話:06-6361-1381

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