土屋太鳳「女優として試されるだろうな」

2018.9.13 18:00
(写真5枚)

「演るのは自分ですし、演らなかったら進まない」(土屋太鳳)

──佐藤監督の演技指導は細かい方なんですか?

「もうちょっとこうして」とか、「少しテンション高く」とかはありましたけど、私が一番印象に残っているのは、ニナが眠っているうちに累が演じた『かもめ』をビデオを観て泣くシーンがあるんですけど、絶対的な孤独というか、自分が自分でないんじゃないか、ってすごい不安に襲われるシーンだったんですね。そのとき監督に、「孤独って何ですか?」「感じたことありますか?」って訊いたら、「監督はずっと孤独との戦いだよ」っておっしゃってて。でも、クランクアップの日に、「この前、ああ答えちゃったけど、後で考えると孤独って自立なんだよね。だから、太鳳ちゃんも、これから孤独を感じたら自立してきていると思った方がいい」って声をかけてくださって。それが印象に残っています。

──役を演じるということで背負うものの大きさというか。背負ってみせるだけ自立できてるんだ、という。

結局自分しか出来ないんですよね。どんなに助けを求めても、やっぱり演るのは自分ですし、演らなかったら進まない。この役を愛してあげられるのは自分しかいないんだな、って思って。(作品として)届けたらそれはもう、みなさんのものになるんですが。

「演るのは自分ですし、演らなかったら進まない」と土屋太鳳

──先ほど舞台の話もしましたが、この映画では、「舞台的な演技」と「映画的な演技」を太鳳さん自身が分別して演じられてるように感じます。もっといえば、最初の『かもめ』と最後の『サロメ』で舞台女優としての成長がはっきり分かるように演じられている。

少し声の出し方とかを舞台っぽくするというのはありました。でも、あまり違いみたいなものは意識しなかったです。劇中劇の『サロメ』のセットが本格的だったので、初舞台を踏むようで不安との戦いだったんですが、それが爆発力というか、サロメを生きる上でいい方向にいったと思います。

──そのまま(『サロメ』の作家)オスカー・ワイルドを上演できそうですもんね。

ありがとうございます、いろんな方がそう言ってくださってうれしくなっています。

映画『累−かさね−』のワンシーン © 2018映画「累」制作委員会 © 松浦だるま/講談社

──あと、浅野忠信さんと絡むシーンが今回は多かったですね。なんか久しぶりにテンション上がりっぱなしの怖い浅野忠信を観た!って感じでしたが。

すごく楽しかったです! 本当に素晴らしい方で、笑顔がすごく可愛らしくて、演技についても「お芝居が99%、監督に固められていたとしても、1%でも俺の演技を出すんだよ。だから絶対負けちゃダメだ」と言われて、勉強になる日々でした。舞台稽古のリハーサルのときには、浅野さんが海外の監督さんを連れてこられてて、英語で会話してる浅野さんがとてもかっこよかったんです。「英語が話せたら絶対に世界観が変わるから。絶対に太鳳ちゃんなら世界に行ける!」と言ってくださって。その後の舞台のときも、演出家のラルビさんもそう言ってくれたので、英語を頑張ろうと思っています。

──でも、言葉を超えた身体表現という武器もありますからね、太鳳さんには。

それはありがたいです。でも私、技術的にはそんなにスゴくないです。ダンスと演技が組み合わさったときにワーッと出るものがあるだけで、もっとすごい人は大学にもたくさんいます。なので、ダンスしている方から「なに、あの汚い脚」とか思われないように、常にバーレッスンしています。自分では「本当にヘタクソだなぁ」と思いますが、ラルビさん始め、世界で活躍しているダンサーの方々が「君と仲間になりたい」と言ってくださったのがずっと頭にあり、それが励みになっています。

土屋太鳳・公式インスタグラム

映画『累−かさね−』
2018年9月7日(土)公開
監督:佐藤祐市
出演:土屋太鳳、芳根京子、横山裕、壇れい、浅野忠信
配給:東宝

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本