谷崎文学の女性がテーマ、京都で衣装展

2018.9.13 08:00

「細雪」雪子 着物監修:大野らふ 着物写真 協力:河出書房新社 撮影:大橋愛

(写真4枚)

文豪・谷崎潤一郎(1886~1965)の小説と、そこに登場する衣装をテーマにしたユニークな展覧会が、9月15日から「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府乙訓郡)でおこなわれます。

谷崎文学には魅力的な女性たちが登場し、その装いが事細かに描写されています。しかし、今や和装を着る機会はめっきり減りました。現在の我々が彼女たちの装いを思い浮かべるのは難しいのではないでしょうか。そこで本展では、谷崎作品のヒロインたちが着ていた装いを、谷崎の文章や挿絵、時代風俗などを手掛かりに、アンティーク着物で再現します。

「痴人の愛」ナオミ 短靴:大塚製靴蔵 着物監修:大野らふ 着物写真 協力:河出書房新社 撮影:大橋愛

たとえば、『細雪』で4姉妹が京都で花見をするシーンの華やかな装い、『痴人の愛』でナオミが女学生になりすます場面の衣装、『春琴抄』で春琴が着用した豪華な紫の着物などが、実物の着物やアクセサリーで再現されるのです。もちろん推定ではありますが、小説の世界をリアルに感じられる機会はそう滅多にはありません。

なお、会場の「アサヒビール大山崎山荘美術館」を建てた実業家・加賀正太郎(1888~1954)は、生前に谷崎本人と交流があり、建築は小説と同時代です。かつての雰囲気を色濃く残す場所で谷崎文学の世界を堪能できるのも、本展の大きな見どころと言えるでしょう。期間は12月2日まで、料金は一般900円で、着物で来館の場合は100円割引も。

文/小吹隆文(美術ライター)

『谷崎潤一郎文学の着物を見る』

期間:2018年9月15日(土)~12月2日(日)※月曜休(9/17・24・10/8・11/19・11/26開館、9/18・25・10/9休館) 
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場:アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3)
料金:一般900円、大高生500円、中学生以下無料
電話:075-957-2364

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