京都の中堅作家、木内貴志が地元で個展

2018.8.18 07:00

《R無指定(アートのセンター)》木製パネル、キャンバス、寒冷紗アクリル 2018年

(写真6枚)

京都を拠点に活動する作家・木内貴志(1973〜)の展覧会『キウチ芸術センター展』が「京都芸術センター」(京都市中京区)で、9月9日までおこなわれています。

同展は「京都芸術センター」の新しい展覧会シリーズ「FOCUS」の第1回となり、着実に制作・発表を続ける中堅アーティストに焦点を当てて、個展形式で紹介する企画です。木内は素材やジャンルを限定せず、コンセプトを形にしていくアーティストです。彼が選ぶテーマには、現代社会や美術の制度的矛盾、日常に埋もれた物事・出来事などがありますが、それらを正面から問い詰めるのではなく、ユーモラスな仕掛けを施し、笑いをまぶして作品化するのが特徴です。本展では会場の名称の一部でもある「センター」をキーワードに設定しています。

左から《画中画》掛軸、墨汁 2018年、《忠心画》掛軸、墨汁 2018年

センターには、中央、中心、スポーツやアイドルグループのポジション、特定の業種や機能を集中させた場所など、様々な意味があります。我々はその単語を当たり前のように使っていますが、本当に意味を理解しているのでしょうか。木内はそうした曖昧さ、モヤモヤ感をアート作品に昇華し、ユーモアを添えて観客に訴えるのです。

《絵画芸術中心》(部分) キャンバスにアクリル 2018年 北ギャラリーで展示

会場の北ギャラリーの作品『絵画芸術中心』は、「センター」を「中心」という漢字2文字 に置き換えて表したものです。モザイクがかかった「中」と「心」は、我々が日頃から深く意味を考えずにこの言葉を使っていることの皮肉でしょうか。また「中心」を逆に読むと「心中」になり、「私はアートと心中する覚悟だ」という木内の決意表明とも受け取れます。

また、南ギャラリーに展示されている『R無指定(アートのセンター)』は、英語の「ART」をモチーフにしていますが、Rだけモザイクがかかっていて、何やら妖しい雰囲気です。アートには高尚な一面がある一方、常識外れの高値で取り引きされたり、マネーロンダリングの道具に使われるなど、うさん臭い側面があるのもまた事実です。本作はそうしたアートの本質を、下ネタ風味(R指定)のユーモアで表現しているのです。

ほかにも、節分の恵方巻を描いた木版画(食べている木内は常にセンター)、マークシートの自画像(学生時代のセンター試験にかけている)、京都芸術センターのロゴマークを用いた作品などがあり、独特のクセがある木内ワールドがたっぷり楽しめます。木内貴志という作家を知り、「こういうアートもあったんだ」と新発見をする絶好のチャンスです。入場は無料。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『FOCUS♯1 キウチ芸術センター展』

期間:2018年7月27日(金)~9月9日(日) 
時間:10:00~20:00 
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南(京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2)
料金:無料
電話:075-213-1000

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