アーミッシュ文化を知る、大阪でキルト展

2018.6.18 07:00

コーディング・バギーでドライブする若いオールドオーダー・アーミッシュ 国立民族学博物館提供

(写真5枚)

【7/20更新・休館中のみんぱく、8/23より一部展示を再開】

北米に住む「アーミッシュ」と呼ばれる人々の文化を、彼らが作るキルトを通して紹介する展覧会が「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)で8月23日から再開されます。

アーミッシュとは、宗教改革の時代(16世紀)にドイツやスイスで繰り広げられたキリスト教再洗礼派の運動から生まれ、その後宗教的・世俗的迫害から逃れるために北米に移住した人々です。彼らは現在でも移民当時の生活様式を守っており、農耕や牧畜で自給自足の生活をしています。現代文明のすべてを拒否している訳ではありませんが、どんなに便利なテクノロジーであっても彼らの価値観にそぐわなければ使いません。特に厳格な「オールドオーダー・アーミッシュ」は、今でも馬車を使い、公共の電気を引かず、公教育の期間も制限しています。

子供用ベッドカバー(クリブキルト)国立民族学博物館蔵

その一方、彼らが無地の布地をパッチワークして作るベッドカバーは、鮮やかな色遣いと幾何学的な模様から注目され、20世紀後半にはモダンアートの一種として高く評価されるようになりました。また、敢えて便利さや快適さを求めない彼らの生き方は、現代の最先端テクノロジーや高度な資本主義に違和感を覚える人々に、ある種の示唆を与えているとも言えます。

裁縫セット 国立民族学博物館蔵

本展ではアーミッシュの人々が作り出したキルトを中心に、衣服、人形、そのほか関連資料など約160点を通して彼らの生活、文化、歴史を知ることができます。同時に、外界の影響を受けて変化の最中にある現代のアーミッシュの姿も浮き彫りにしており、日本ではまだまだ馴染みの薄い彼らの実像を知る絶好の機会と言えます。8月23日から9月11日は、本展を含む一部のエリアのみの展示となるので、観覧料が無料。それ以降は一般420円、期間は12月25日まで。

文/小吹隆文(美術ライター)

『アーミッシュ・キルトを訪ねて -そこに暮らし、そして世界に生きる人びと』

期間:2018年8月23日(木)~12月25日(火)※水曜休 
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場:国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園10-1)
料金:一般420円、大高生250円、中学生以下無料(9月11日まで無料)
電話:06-6876-2151(代表)

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