神戸で横尾忠則の自画像展、最新作も

2018.6.14 08:00

《TADANORI YOKOO(自主制作)》1965年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)本展の冒頭を飾る作品。首を吊った自分自身の姿を描いており、横尾の自画像の出発点と言える。ポスターだがクライアントはいない「自分自身のための広告」

(写真7枚)

画家でグラフィックデザイナーの横尾忠則による自画像をテーマにした展覧会が、「横尾忠則現代美術館」(神戸市灘区)で、8月26日まで開催されています。

本展は「未完の自画像」と「画家の肖像」の2部で構成。「未完の自画像」では、1965年から現代までの自画像が時代順に並んでおり、時代ごとの様式の変遷とともに横尾の自己探求のプロセスが窺えます。展示の最後には、本展のために制作した最新の自画像(大作!)も並んでおり、その生々しい筆致に驚かされるでしょう。続く第2部「画家の肖像」は、ピカソ、ピカビア、デ・キリコ、デュシャンなど彼が影響を受けた画家たちを描いた作品が並んでいます。師であり仲間でもある先人への敬意、共感、批評眼が滲み出た展示となっています。

左:《Picasso misses his wives》2014年 国立国際美術館蔵 右:《20年目のピカソ》2001年 東京都現代美術館蔵 横尾は1980年にニューヨーク近代美術館の「ピカソ展」を見て、画家への転向を決断した

多くの画家は自画像を残しています。その理由は、肖像画を学ぶため、自分自身を見つめ直すためなどさまざまですが、横尾の場合はとても独特です。彼は自分が時代の寵児としてもてはやされていた1960年代後半に、テレビや雑誌に登場する自分の姿を見て「一人称の自分ではない、三人称の自分がそこにいる」と思ったそうです。複製メディアに登場するもう一人の自分への興味。そう考えると、彼が自画像を描く意味が分かります。

《T+Y 自画像》2018年 作家蔵(画面中央)本展のために制作された最新作。150号の大作だが、たった2日間で描いたという

横尾の作品は、虚と実、過去と未来、個々の作品とキャリア全体など、対照的な要素が複雑に入り組んで迷宮のようになっています。そこでは彼の人生と画業が一体化しており、絵の数だけ自分がいると言っても過言ではないのです。この感覚は、SNSを自在に操る現代のデジタル世代ならナチュラルに共感できるのはないでしょうか。半世紀も前から多層的な自我を意識していた横尾忠則の感性は飛び抜けて鋭敏だったのだと、改めて知らされるはずです。料金は一般700円ほか、7月12日から16日は観覧無料。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『兵庫県政150周年記念事業 横尾忠則 画家の肖像』

期間:2018年5月26日(土)〜8月26日(日)※月曜休(7/16開館、7/17休館)
時間:10:00〜18:00(金土曜~20:00)※入場は閉館30分前まで 
会場:横尾忠則現代美術館(神戸市灘区原田通3-8-30)
料金:一般700円、大学生550円、70歳以上350円、高校生以下無料 ※県政150周年を記念し、7/12〜16は観覧無料
電話:078-855-5607(総合案内)

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