レトロ回転展望の喫茶、惜しくも閉幕

2018.2.11 09:00

2本の放物線に囲まれるデザインが特徴的な「手柄山回転展望台」

(写真6枚)

「手柄山中央公園」(兵庫県姫路市)にある「回転展望台」が、建物の老朽化のため3月25日をもって閉鎖。床が回転する展望スペースは喫茶店になっており、「眺めがいい」「昭和レトロ」と言われて人気を集めていたが、52年の歴史に幕を下ろす。

1966(昭和41)年、この公園を会場に開催された『姫路大博覧会』。そのシンボルタワーとして建てられた回転展望台は、2つの放物線が囲む近未来的なデザインで、当時の人々の目には斬新に映った。1周が約14分。北側には世界遺産の姫路城、南側には播磨灘が見渡せる。

現在、展望台といっても喫茶店以外のスペースはなく、地上からエレベーターに乗ると4階の喫茶店『手柄ポート』に直接到着。店はまさに昭和の喫茶店という佇まいで、クリームソーダやプリンパフェを「懐かしい」と注文する客や、「若い頃、デートでよく来た」と言う年配客がいたりして、50年という時の長さを感じさせる。

「姫路城」や山、海も見渡せる。姫路の景色を、ゆったりと堪能できる癒やしのスポット
「姫路城」や山、海も見渡せる。姫路の景色を、ゆったりと堪能できる癒やしのスポット

よく店を訪れるという姫路市の女性は、「いやなことがあったら、ここに来て姫路の街をぼーっと眺めて気分転換していた。私のやすらぎの場所だったので、なくなるのは寂しい」と閉鎖を惜しむ。また、「ここから一番近い小中学校に通っていたけれど、展望喫茶店に上がったのは初めて。とてもいい場所で、もっと前から来ておけばよかった」という客も。

閉鎖が発表された昨年12月以来、客足が途絶えない同店。閉鎖のニュースで展望台の存在を知り、東京など遠方から訪れる客も多いという。店長の女性は、「残り2カ月、たくさんのお客さんに『来てよかった』と思ってもらいたい。混雑すると料理や飲み物を出すのに時間がかかりますが、そのぶんゆっくり景色を楽しんでくださいね」と笑顔を見せた。

大きな窓からは、姫路市内が遠くまで見渡せる。眼下にあるのは、夏にはプールで賑わう「手柄山遊園」
大きな窓からは、姫路市内が遠くまで見渡せる。眼下にあるのは、夏にはプールで賑わう「手柄山遊園」

回転展望台の営業は3月25日まで。閉鎖後も建物は存続するが、なかに入ることはできなくなる。今後の活用方法は未定。

取材・文・写真/合楽仁美

「回転展望台 手柄ポート」

住所:姫路市西延末 手柄山中央公園内
営業:10:00~17:00(日祝は~18:00)・火曜休(臨時休業あり)
電話:079-295-1242

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