若冲ブーム続く、細見美術館で記念展

2017.12.25 12:00

伊藤若冲《雪中雄鶏図》

(写真4枚)

2018年で開館20周年を迎える「細見美術館」(京都市左京区)が、年初から2つの江戸絵画展を実施。その第1弾となるのが、1月3日からおこなわれる『はじまりは、伊藤若冲』です。

伊藤若冲(1716〜1800)は、江戸時代中期の京都で活躍した絵師です。彼は錦小路の青物問屋を生業にしていましたが、40歳で家督を弟に譲って隠居し、その後は絵師として活躍しました。その作風は、写生を基本とした綿密な描写と、最高品質の絵具を惜しみなく用いた濃密な彩色にあります。一方水墨画のなかには大胆な筆法を駆使した作品もあり、木版画でも異彩を放ちました。1990年代以降に再評価の機運が高まり、現在では江戸時代を代表する絵師の一人として幅広い人気を博しています。

俵屋宗達《双犬図》

細見コレクションは、実業家で日本美術コレクターの細見古香庵(1901〜79)に始まる細見家三代の蒐集品で、神道・仏教美術、茶の湯美術、江戸絵画などの優品で知られています。当初は古代中世の宗教美術を中心にコレクションが図られましたが、伊藤若冲の作品と出会ったことにより江戸時代の絵画に覚醒。現在のコレクションに至るきっかけになりました。

浮田一蕙《やすらい祭牛祭図屏風 左隻》

つまり同館にとっても伊藤若冲は、コレクションの柱となる重要な作家なのです。本展では、若冲の初期の名品《雪中雄鶏図》や水墨画の数々を中心に、彼の魅力を多角的に紹介します。また同時代の琳派、文人画、風俗画、物語絵なども紹介し、江戸絵画の魅力にも迫ります。2018年のアート初めに最適な展覧会と言えるでしょう。

文/小吹隆文(美術ライター)

開館20周年記念展I 細見コレクションの江戸絵画『はじまりは、伊藤若冲』

期間:2018年1月3日(水)〜2月25日(日) 
時間:10:00〜18:00 月曜休 ※1/8・2/12開館、1/9・2/13休館 
会場:細見美術館(京都市左居区岡崎最勝寺町6-3)
料金:一般1300円、学生1000円
電話:075-752-5555

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