大阪のベイエリアで巨大美術作品、競演

2017.10.29 08:00

金氏徹平《White Discharge(公園)》2017 「MASK」新規収蔵作品(第9回恵比寿映像祭出展作品)

(写真4枚)

巨大な工場・倉庫跡地と築60年の旧文化住宅を会場にした現代アート作品展『Open Storage 2017−見せる収蔵庫−』が、大阪・北加賀屋(住之江区)の2会場で、11月3日からおこなわれます。

メイン会場の「MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」(大阪市住之江区)は、広さ約1000平米×高さ9メートルの鋼材加工工場・倉庫跡地です。ここでは日頃から複数のアーティストの作品を保管していますが、2014年から『Open Storage』と題して年に一度だけ一般公開しているのです。もうひとつは築60年の旧文化住宅「千鳥文化」(大阪市住之江区)で、今年から新たに会場に加わりました。いずれもかつて造船業で栄えた北加賀屋を象徴する建築であり、それらが今、アートの拠点として生まれ変わったのです。

2017年国際舞台芸術ミーティング in 横浜《tower(Theater)舞台セット》(2人:舞台映像デザイナー・山田晋平、俳優:青柳いづみ、金氏徹平のユニット)舞台美術

今年のメインアーティストは金氏徹平。彼は、プラスチック製品やキャラクターフィギュア、雑誌の切り抜き、シールなど身近な素材をコラージュ的技法で制作しており、国内外で高い評価を受けています。今回は、遊園地の廃材から生まれた《White Discharge》や、高さ6メートルの《tower(Theater)舞台セット》(同作の原画は、小説家・村田沙耶香の芥川賞作品『コンビニ人間』の装丁に採用されている)を大阪で初展示し、昨年に香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で展示した作品の一部も再構成されます。

2016年に「金氏徹平のメルカトル・メンブレン丸亀」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)にて展開された作品が、「MASK」で再構成される

また、ヤノベケンジ、やなぎみわ、名和晃平、宇治野宗輝、久保田弘成の「MASK」収蔵品も展示され、それらを巻き込む形で金氏徹平によるインスタレーションもおこなわれます。また金氏は、「千鳥文化」でも新作を発表する予定です。ベイエリアの元工場や元廃屋に現代アートの大作が並ぶという、日本離れしたセンスが感じられるこの展覧会。まだ見たことがない人はぜひお出かけください。あなたが今まで抱いてきたアート観をぶっ壊すほどの衝撃が味わえるでしょう。

文/小吹隆文(美術ライター)

『Open Storage 2017−見せる収蔵庫− 「クリスピーな倉庫/クリーミーな部屋」』

日時:2017年11月3日(金)〜26日(日)の金土日祝・12:00〜18:00 ※イベント・プログラム開催時は変動あり、最終日は17時まで
会場:MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA・大阪市住之江区北加賀屋5-4-48)/千鳥文化(大阪市住之江区北加賀屋5-2-29)
料金:無料 ※11/18の「おもフェス−FESTIVAL OMOIDE−」と11/25の「ゲストトーク」開催時は有料
電話:06-6681-6170(おおさか創造千島財団事務局)

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