格好いい人生、和歌山で泉茂の展覧会
2017.3.11 10:00

20世紀後半の関西を代表する画家・版画家のひとり、泉茂(1922〜1995)。彼の画業を展観する回顧展が、3月26日まで「和歌山県立近代美術館」(和歌山市吹上)で開催されています。

左:《分裂》1992(平成4)アクリル絵具、キャンバス 右:[不詳] 1992(平成4)アクリル絵具、キャンバス
左:《分裂》1992(平成4)アクリル絵具、キャンバス 右:[不詳] 1992(平成4)アクリル絵具、キャンバス画像一覧

長いキャリアのなかで、彼の作風は何度も変化しています。初期の作品は抒情的で、「鳥」のモチーフが有名でした。やがて画面は抽象化し、「線」をテーマにした作品が登場。その後、点と線と幾何学形態を組み合わせたシリーズや、エアブラシを用いて金属的な質感を表現したシリーズなどが生まれ、晩年は「雲形定規」をモチーフにしたカラフルで華麗な世界にいたりました。

左:《インディアン》1956(昭和31)リトグラフ、紙 荒木高子氏寄贈 右:《マダム・インディアン》1956(昭和31)リトグラフ、紙 泉照子氏寄贈
左:《インディアン》1956(昭和31)リトグラフ、紙 荒木高子氏寄贈 右:《マダム・インディアン》1956(昭和31)リトグラフ、紙 泉照子氏寄贈画像一覧

しかし、作風の変化イコール、過去との断絶ではありません。新旧のシリーズには必ず接点があり、画面のなかに共通する形態や要素が潜んでいます。特に雲形定規のシリーズには、トランプのマーク(スペード、ハート、クラブ、ダイヤ)、幾何学形態、点、線など過去の作品で用いられた要素がふんだんに盛り込まれており、キャリアの締めくくりにふさわしい集大成的な表現が見られるのです。

ある作風で評価を確立したら、意識的にテーマや制作方法を変え、自身への挑戦を繰り返す。しかし最終的には、それら全てが1本の線として繋がっている。そんな生き方ができる人は滅多にいません。本展のタイトルにある「ハンサムな絵のつくりかた」には、作品だけでなく泉の人生への賞賛も込められているのでしょう。約170点の作品と関連資料で一人の芸術家の軌跡を追体験できる優れた展覧会です。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『泉茂 ハンサムな絵のつくりかた』

『泉茂 ハンサムな絵のつくりかた』

期間:2017年1月27日(金)〜3月26日(日) 
時間:9:30〜17:00 ※入場は16:30まで 月曜休 ※3/20開館、3/21休館
会場:和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1-4-14)
料金:一般510円、大学生300円 ※高校生以下、65歳以上、障害者の方、県内に在学中の外国人留学生は無料
※第4土曜(3月25日)は「紀陽文化財団の日」として大学生無料
電話:073-436-8690
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
URL:http://www.momaw.jp/

  
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