大阪で、近代欧州絵画のオールスター

2016.7.13 07:00

「第1章 印象派」より、右からピエール・オーギュスト・ルノワール《座る浴女》(1903-1906年)、《肘掛椅子の女性》(1874年)と、ギュスターヴ・クールベ《川辺でまどろむよく浴女》(1845年)

(写真3枚)

アメリカでも屈指の美術館の一つと言われる「デトロイト美術館」から、近代ヨーロッパ絵画の名品が「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)に来日しました。

展覧会は全4章で構成。モネ、ルノワール、ドガなどが並ぶ「第1章 印象派」、ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンなどで構成された「第2章 ポスト印象派」、そして、カンディンスキーやベックマン、ココシュカほかによる「第3章 20世紀のドイツ絵画」と、ピカソ、マティス、モディリアーニらが登場する「第4章 20世紀のフランス絵画」です。作品数は52点と少なめですが、名品揃いなので物足りなさはまったく感じません。集中力を切らさずに1点1点と向き合えるので、むしろ見やすいと言うべきでしょう。

「第2章 ポスト印象派」より、右からフィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》(1887年)、《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》(1890年)
「第2章 ポスト印象派」より、右からフィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》(1887年)、《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》(1890年)

さて、本展の背景にはデトロイト市の現状があります。かつてはアメリカ自動車産業の都だったデトロイト市ですが、2013年に市の財政が破綻、再建策として美術館のコレクションを売却する案も検討されました。しかし、市民たちの粘り強い反対運動により危機は回避され、市の財産として積極的に活用する方針のもと、海外展が実現したのです。日本でも今後、自治体の財政破綻が起こるかもしれません。デトロイト市の例は他人事じゃないと思いました。

「第4章 20世紀のフランス絵画」より、右からアンリ・マティス《ケシの花》(1919年頃)、《窓》(1916年)、《コーヒータイム》(1916年)
「第4章 20世紀のフランス絵画」より、右からアンリ・マティス《ケシの花》(1919年頃)、《窓》(1916年)、《コーヒータイム》(1916年)

また、本展では8月31日までの火・水・木曜(祝日は除く)に限り、会場内が撮影OKとなっています。ただし、撮影には禁止事項があり、一部の作品はSNSをはじめとする不特定多数への公開が禁じられています。ルールを守って気持ちのいい鑑賞を心がけてください。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

 

『デトロイト美術館展 大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち』

期間:2016年7月9日(土)〜9月25日(日) 
時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで 
   月曜休 ※7/18・8/15・9/19開館、7/19休館
会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82 天王寺公園内)
料金:一般1,500円、大高生1,000円、中学生以下無料
   ※障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)
電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンターなにわコール)

※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて

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