小吹隆文撰・おでかけアート、5/25〜

2016.5.25 22:00

本展出品作品より

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、写真にまつわる展覧会を紹介します。

 

小さな画面に濃縮された耽美の世界
『金子國義ポラロイド展』
@AIRギャラリー(大阪市西区)

昨年3月に亡くなった美術家・金子國義の、ポラロイド写真約500点を集めた展覧会が行われています。

彼は1966年に文学者の澁澤龍彦が翻訳した『O嬢の物語』で挿絵を担当し、翌年の個展でデビューしました。雑誌『ユリイカ』や富士見ロマン文庫の仕事でも知られています。作品の多くは、つり上がった眉と二重瞼の力強い目、ツンと通った鼻筋にぼってりした唇を持つ少女像で、世紀末的なエロスとデカダンスをたたえた作風は、他の追随を許しません。本展の作品でも、彼の絵とそっくりの女性たちが艶めかしいポーズで登場し、中には金子と絡んでいる構図も。決して大規模な展覧会ではありませんが、 作家特有の濃密な世界観を味わえる貴重な機会です。

2016年5月7日(土)〜6月5日(日)※木〜日曜のみ開廊(13:00〜21:00)
展覧会情報はこちら

 

フィルム写真の魅力を再発見
『ゼラチンシルバーセッション巡回展』
@入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町)

デジタル写真が普及し、携帯電話で撮影するのが当たり前になった今、銀塩写真(塩化銀を感光剤に使い、印画紙にプリントするフィルム写真)の市場規模は急速に縮小しています。その状況に対して、銀塩写真ならではの楽しさ、面白さを伝え、次世代に繋げる活動を行っているのが「ゼラチンシルバーセッション」です。

広川泰士《天地》(「ゼラチンシルバーセッション2015」より)
広川泰士《天地》(「ゼラチンシルバーセッション2015」より)

その巡回展となる本展では、2015年に「撮り下ろし競作」(参加写真家が2人1組となり、作品を撮り下ろす)をテーマに行った展覧会の作品162点(本展のみの特別出品を含む)と、2007年に「ネガ交換」(写真家が2人1組となり、自身のネガと互いに交換したネガからプリントを仕上げる)をテーマに行った展覧会の作品32点を展覧。銀塩写真ならではの魅力をたっぷり味わうことができます。

2016年4月2日(土)〜6月12日(日)
展覧会情報はこちら

 

気鋭の写真家が和歌山で大規模個展
『鈴木理策写真展 意識の流れ』@田辺市立美術館(和歌山県田辺市)
『鈴木理策写真展 水鏡』@熊野古道なかへち美術館(和歌山県田辺市)

和歌山県新宮市出身の写真家・鈴木理策が、郷里に程近い田辺市の2つの美術館で個展を開催中です。

鈴木理策《海と山のあいだ 14.DK-304 / 2014》©Risaku Suzuki / Courtesy of Gallery Koyanagi
鈴木理策《海と山のあいだ 14.DK-304 / 2014》©Risaku Suzuki / Courtesy of Gallery Koyanagi

「田辺市立美術館」では、「意識の流れ」をテーマに「海と山のあいだ」など4つのシリーズを展示し、熊野古道なかへち美術館では、カメラの特徴と水面の特性に着目した最新シリーズ「水鏡」を特集しています。鈴木は1980年代半ばから創作活動を始め、2000年に『第25回木村伊兵衛写真賞』を受賞、現在まで旺盛な活動を続けています。彼の作品は、観客の意識に柔らかく働きかけながら「見る」ことの本質を問うのが特徴と言えるでしょう。地元以外の方には不便な場所での個展ですが、土地の魅力も含めて見逃せない機会です。

2016年4月16日(土)〜6月26日(日)
田辺市立美術館の展覧会情報
熊野古道なかへち美術館の展覧会情報

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