佐渡裕、日本での経験をウィーンで応用
2016.4.18 18:00

108年もの歴史を誇るウィーンのオーケストラ「トーンキュンストラー管弦楽団」の音楽監督に、昨秋就任した佐渡裕。現地で行った公演は評判となり、早くも5月に日本ツアーを全14公演も行われることとなった。

「兵庫県立芸術文化センター」では芸術監督を務める佐渡は記者会見で、オファーされた当時は番組『題名のない音楽会』にもレギュラー出演していたとあって、苦渋の選択を迫られたことを告白。「音楽監督というタイトルだけをもらって、年に1回だけ指揮してくださいと言われ、引き受ける例も世間にはある。が、ヨーロッパのオーケストラではありえない。定期演奏会だけでも年に30回近く指揮を振らなければならない。そして、今はオーディションに立ち会い、教育プロジェクトの会議にも参加するなど、責任も多く、拘束されています」。もともと世界各国を飛び回っていたのが、今は数週間ごとに日本とヨーロッパを行き来するほど、タイトなスケジュールに。

ウィーン楽友協会にて、佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団 (c)Werner Kmetitsch
ウィーン楽友協会にて、佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団 (c)Werner Kmetitsch画像一覧

それでも引き受けたのは、日本では知名度は低いかもしれないが、それだけの魅力がこのオーケストラにあるからこそ、と力強く語った佐渡。「伝統ある楽団と共に2年半前の客演で、とても気持ち良く練習ができました。また、オーケストラの実力、スタッフの対応、州立としてしっかりした経済基盤、この町で非常に意味がある存在。そして、拠点となるウィーン楽友協会に自分が立てる喜びもありましたね。実は30年前の僕の最初の海外生活はウィーン。当時はバーンスタインのツアーに同行したり、レコーディングに立ち会ったりしていたのですが、彼がいない時は毎日のようにオペラを観ていました。その時は立ち見でコンサート300円、オペラ150円でしたね。で、今は指揮台で立っているでしょ。僕はここにいる時はずっと立っているんです。夢のような話ですけれどね。音楽の都で、ここに立つというのはものすごいプレッシャー、全力で向かっています。でも、ふとした時に街の景色を見ると30年前と何も変わっていないんですよね」。

楽団との初めてのCDにはリヒャルト・シュトラウス(1864-1949): 交響詩「英雄の生涯」Op.40を収録。関西では大阪公演で演奏
楽団との初めてのCDにはリヒャルト・シュトラウス(1864-1949): 交響詩「英雄の生涯」Op.40を収録。関西では大阪公演で演奏画像一覧

就任後、新たに企画したのは「第九」。大阪では恒例となった『1万人の第九』をウィーンの人々に提案したのだ。「500人の村人たちが集まってくれました。僕らの感覚では1万人が当たり前なので、この数は少ないと思われるかもしれませんが、通常の演奏会から考えるとすごい数なんですよ。世界的にも大きな話題となり、事務所には何百通ものメールが届き、こんなすばらしい音楽体験をしたことがないと。またメンバーからも、始まったばかりの関係だけれども、どういう方向に向かっているのか、とても感動したという手紙をもらいました」と、就任後たった約半年で、佐渡による変化が大歓迎されているエピソードも披露。

また彼が「兵庫県立芸術文化センター」での経験も生かし、夏に行われるウィーンの『グラフェネック国際音楽祭』では子どもたちに向けてのトークとコンサートも行うという。「指揮者というのは音程をなおし、バランスを整え、タイミングを揃え、いい音を作っていくことが仕事なのですが、兵庫で10年間やってきたのはそれだけではない。自分たちの世代だけでなく次の世代をつなぐ『スーパーキッズ・オーケストラ』、学生たちのための『わくわくオーケストラ教室』なども随分やってきて、ネタがいっぱいあるんです。最初にしゃべったコンサートでは緊張して、むちゃくちゃひどくて。今はいくらでもしゃべれますけれど(笑)」。

「すごくいい科学反応が起こっている」と佐渡が語るトーンキュンストラー管弦楽団とのツアーは関西では3カ所。5月27日に「びわ湖ホール」、5月28日に「フェスティバルホール」、5月29には「兵庫県立芸術文化センター」で行われる。ウィーンで活躍した作曲家をセレクトし、ベートヴェンと共に大阪ではR.シュトラウス、滋賀と京都ではハイドン、ブラームスを演奏する。

『音楽監督就任佐渡裕指揮 トーンキュンストラー管弦楽団』

日時:2016年5月27日(金)・19:00
共演:アリス=沙良・オット
場所:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホール
料金:S19,000円、A17,000円、B15,000円、C12,000円、D9,000円
電話:077-526-0011(しがぎん経済文化センター)
URL:http://keibun.co.jp

日時:2016年5月28日(土)・14:00
共演:レイ・チェン
場所:フェスティバルホール
料金:S19,000円、A15,000円、B12,000円、C9,000円、BOX22,000円
電話:0570-200-888(キョードーインフォメーション)
URL:http://www.kyodo-osaka.co.jp

日時:5月29日(日)・14:00
共演:アリス=沙良・オット
場所:兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
料金:A19,000円、B16,000円、C13,000円、D10,000円、E7,000円
電話:0798-68-0255
URL:http://www.gcenter-hyogo.jp

  
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