小泉徳宏監督「広瀬すずは天性の才能、圧倒的に華がある」

2016.4.28 07:00

映画『ちはやふる −下の句−』のヒットにも自信を見せる小泉監督

(写真6枚)

競技かるたをフィーチャーした大人気コミックの映画化で、広瀬すず、野村周平たちが生き生きとした演技を披露する『ちはやふる』。3月に公開された「上の句」(前編)に続く「下の句」(後編)がいよいよ4月29日から公開される。監督は若手演技者たちの起用に定評のある小泉徳宏。前編を上回るヒットに自信を見せる小泉監督に話を訊いた。

取材・文/春岡勇二

「少女マンガとスポ根、両方の魅力が描ける」(小泉監督)

──原作は末次由紀による、累計1600万部超の大人気コミックです。映画化が決まる前に原作を読まれていたのですか?

8年ほど前ですね、人から薦められて読みました。そのとき映画化する考えも頭をよぎったのですが、原作もまだ序盤で、いまの段階ではできないなという判断だったんです。それが一昨年、僕のところに映画化の話がきて「おっ、あのときの作品か」と。御縁を感じてこれはやろうと思いました。

──競技かるたが題材というのは、難しいとは思われませんでしたか?

それは思いました。実際に競技を観ると、必要なのは瞬発力と集中力と反射神経で、これはもう完全にスポーツだなと。とはいえ絵面としては2人の人間が対峙して座ってるだけ。普通の人は傍から見たら何をしているのかよくわからないし、動いたら動いたで速すぎて肝心の札をどっちが取ったのかもすぐにはわからず、これはどうしたものかと悩みました(笑)。

──それでも映画にする自信はあった?

ありました。それは、札に百人一首が書かれているということが大きかったですね。競技かるたはただ札を取り合っているのではなくて、それぞれに意味のある札、歌を取り合っているわけで、それなら歌と物語をリンクさせたら面白いのではないかと考えたんです。

『ちはやふる(下の句)』© 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 © 末次由紀/講談社
『ちはやふる(下の句)』© 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 © 末次由紀/講談社

──監督はデビュー作の『タイヨウのうた』(2006年)や『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013年)で、歌が重要な意味を持つ物語をすでに描いてこられてますものね。

そうですね、その経験は活かせると思いました。また、百人一首には恋の歌も多くて、いまで言うJポップとか歌謡曲のルーツだと思うんです。だから、もともとドラマチックなわけで、物語ることはできるはずだと。それと、原作は少女マンガにカテゴライズされていますが、内容的には少年マンガ、それもいわゆるスポ根ものなので、両方の魅力が描けるとも考えました。

──具体的にはどういった工夫をされたのですか?

なにしろ、かるた取りは0コンマ何秒という速さで行われるので、「ファントム」という超高速撮影ができるカメラ機材を使って、札を取る瞬間を捉えました。このカメラは通常の30~40倍のスピードで撮影できるので、映像は超スローモーションになります。ただ、すごく強い照明が必要になるし、スローモーションになると札を取る瞬間の指の動きとかもごまかしが効かない。役者さんたちには、照明で現場が相当暑くなっているなかで何度も何度もかるたをとってもらい、その頑張りのおかげで迫力ある映像を撮ることができました。

──真剣に札を取っているのが、迫力ある映像からちゃんと伝わってきます。

そう言ってもらえるとうれしいです。彼らもリアルな動きを見せようと、空き時間も自主的に練習していて、撮影現場そのものがまるで部活動の場みたいになってました。「ちはやふる部」ですね、僕はさながら引率の先生でした(笑)。

若くしてヒットメーカーの小泉徳宏監督
若くしてヒットメーカーの小泉徳宏監督

──前・後編でつくることは初めから構想されていたのですか?

いえ、最初はその予定はなく1本で考えていたのですが、企画を始めて3カ月経ったころ前・後編でやろうということになりました。そのときは構成が変わってしまうので少し焦ったのですが、いま思うと前・後編になったからこそ描けたことが多かったですね。前半はチーム作りから結束を固めるまでを中心に描き、後半は新たなライバルの出現と主人公の葛藤をじっくり描くことができました。

──2部構成にしたのはいいものの、2部は1部で広げた内容を収束させていくだけという作品も多いなか、本作は2本が違うテイストで仕上げられていて面白かったです。

そこは意識しました。同じものを2本観てもらっても仕方ないですから。あと心がけたのは、どちらか1本だけ観ても十分に楽しめる作品にするということでした。

──それもできてますね。前編は主人公のキャラクターの突き抜けた面白さ、後編では、そんな彼女でも悩むという面白さがあります。

前編はエンタテインメント、後編は人間ドラマで考えました。

──その前・後編を通して中心となっていくヒロイン・千早を広瀬すずが生き生きと演じています。監督から見て、彼女はどうでした?

まず、これはすでにみなさんもご存知なように圧倒的に「華」がありますね。あと、お芝居で言うと、動物的勘が鋭い。事前にいろいろ準備はしてくるけれども、撮影現場の空気とか相手のお芝居とかロケーションの様子など、その場のものをあっという間に掴んで自分のお芝居に取り入れることができるんです。事前に予定した演技を変えることも全然厭わないし、変えると言うよりもむしろ自然にそうなってしまうといった感じですね。

映画『ちはやふる(下の句)』
2016年4月29日(土)公開
原作:末次由紀『ちはやふる』(講談社「BE・LOVE」連載)
監督:小泉徳宏
出演:広瀬すず、野村周平、真剣佑、ほか
配給:東宝

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