３月６日に開催された『おおさかシネマフェスティバル２０１６』授賞式（ホテルエルセラーン大阪）に、河瀬直美監督の映画『あん』で主演女優賞を受賞した樹木希林が登壇した。

司会の浜村淳が『あん』のオファーがあった際の気持ちについて尋ねると、「どういう気持ちもないですね、来た順で。どうしようもない役だったら最初にＦＡＸが届いたときに分かりますから」と素っ気なく答え、「『あん』でこんな女優賞をいただくのは面映ゆいんですよ。だって年取ったらこんなのは普通にできるんだから」と続ける。女優を目指したきっかけについても、「それまでは普通の学生で、行ける大学がなかったから、ほかに学校みたいなところないかなと思って劇団に入りました」と煙に巻く樹木。

さらに、劇団出身で現在は映画、テレビと幅広く活動する自身のスタイルについても、「１ステージ２００円のときからやってますから、効率を考えると舞台は嫌いでした。でも１番素晴らしい俳優は舞台俳優。２番目に映画俳優。３番目はテレビに出ている『一応』俳優。そして、そんなものやったら芸が荒れるというのがＣＭでしたが、私はＣＭを選びました。私はただ、クラゲみたいに『ふわ〜ん』といるだけ」と語り、その独特の世界観に会場は驚くばかり。

そんな樹木も浜村には「いつも本当によく喋るわ。今８３歳？ 私、７３歳だけど絶対負けてる」と脱帽の様子で、「さっきから、すごく褒めるでしょう？ こっちが恥ずかしくなる」と 佐藤浩市や松坂桃李ら同じ登壇者に投げかけ、一同苦笑い。映画界の重鎮２人のかけあいに会場中が爆笑に包まれた。

取材・文・写真／上地智