中島かずき×いのうえひでのり 独占対談

2015.5.24 10:00
(写真6枚)

「戦いながらしゃべるとか、漫画じゃねえんだよ! って(笑)」(いのうえ)

──先ほど言われた『明朗活劇時代劇』とは、具体的にどういうものですか?

中島 「明るい活劇ですね。『水戸黄門』みたいに、毎度おなじみの人が出て、おなじみの展開があって、ヒャッホーイ! って言えるという(笑)」

いのうえ 「ただ一時期、新感線の時代劇はシリアスになっていってたんですよ。それが『五右衛門』シリーズの一作目で・・・」

中島 「歌があって活劇もある明るい時代劇って、多分ほかにはやれる所もないだろうな、と。『This is 新感線』『This is entertainment』という柱は忘れちゃいけないなあと改めて思ったのが、五右衛門シリーズの大きな所です」

──まずキッチリ活劇ができること自体が、新感線の強みの一つですよね。

いのうえ 「『活劇をやる劇団』と、どっかで自分たちをカテゴライズしてる部分はありますね。それがネタものだろうと、音楽ものだろうと、時代劇だろうと、基本的には『活劇をやる』と」

中島 「うん。ただその活劇も、年を取るに連れていろんなバリエーションが出てきたわけで。たとえば・・・映画『セッション』って観た?」

いのうえ 「観た観た。めっちゃ面白かったよなあ!」

中島 「ねえ? あれだって活劇なわけですよ。人と人とがぶつかりあって、ある種の戦いの中で・・・」

いのうえ 「ドラマが生まれるという」

中島 「だよね。ガチンコで戦うチャンバラだけが、活劇ではない」

──つまり人と人が死ぬ気でぶつかった結果、何かが結実するというものであれば、それは活劇だと。

中島 「そうそう。どんな形であれ、そこを描きたいと思います」

──ちょうど最近、時代劇の衰退が話題になってますが、お二人が時代劇を大切にしているのは、活劇にしやすいこと以外にも理由があるんですか?

中島 「身近に死がある世界ですからね。その中での人の生きざまというのは、極端な書き方をしても説得力が出せると思うんです。その辺が僕の性に合ってるなあと」

いのうえ 「やっぱり虚構の世界を作りやすいこと。しかも単なるファンタジーより、日本人にはそっちの方が身近なニュアンスがあるじゃないですか? そういうものが構築できる世界がなくなってきていることには、何とかならんかなあという気持ちはあります」

──ただやっぱりチャンバラ芝居って、やるのが大変そうだなあと思いますが。

いのうえ 「今日の稽古で(橋本)じゅんが落ち込んで言ってたけど『前から観ると、楽しそうに見えるんだよなあ…』って(一同笑)。たとえば斬り合ってからセリフを言うのって、息を吸うタイミングでセリフを吐くことになるから、実は相当しんどいんですよ。戦いながらしゃべるとか、漫画じゃねえんだよ! って(笑)」

中島 「ひどいです。それは(書いてる)俺のせい(一同笑)。でもそれがドライブ感になるのも確かだからね」

いのうえ 「しかもそれをちゃんと、肉体的に表現できる役者さんたちとやれている。それはもう、ありがたい話です」

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劇団☆新感線

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