中島かずき×いのうえひでのり 独占対談

2015.5.24 10:00
(写真6枚)

看板俳優・古田新太の活躍や映画館で演劇を観る『ゲキxシネ』など話題がつきない大阪発の「劇団☆新感線」。今年で結成35周年を迎える彼らは、座付作家・中島かずきの描く壮大かつ痛快なドラマと、主宰兼演出家・いのうえひでのりが生み出したギャグ満載の「ネタもの」、その両輪があったことで日本演劇界屈指の快走ぶりを実現したと言えるだろう。しかし35周年記念公演では、初めてこの2人の個性が真っ向からぶつかることに!? 迷走必至、どこに向かうかわからない本作の内容と、新感線の理想と今後について、中島といのうえにそろって話を聞いてきた。業界でも非常に珍しい、独占ダブルインタビューです!

取材・文/吉永美和子 写真/本野克佳

アニメ・特撮にも活動の場を広げる座付作家
中島かずき(なかしま・かずき)
1959年生まれ、福岡県出身。高校演劇時代にいのうえひでのりと知り合い、1985年から「劇団☆新感線」に参加(古田新太と同期)。特に、史実を元に重厚な世界を描く「いのうえ歌舞伎」路線で高い評価を得る。新感線での代表作は『阿修羅城の瞳』(1987年)『五右衛門ロック』(2008年)など。近年は特撮やアニメの脚本でも活躍。脚本を担当した、連続ドラマW『ふたがしら』(WOWOW)が6月13日から放送。

キャラの濃い劇団をひっぱる主宰
いのうえひでのり
1960年生まれ、福岡県出身。型破りなキャラ満載のギャグストーリーを得意とし、演出としてはハードロック系の音楽を駆使した娯楽性の高い世界作りで絶大な支持を得ている。外部演出の機会も多く、今年12月には、「つかこうへい事務所」OBの風間杜夫や平田満などが出演する『熱海殺人事件』の演出が控えている。

今回は「中島VSいのうえ」という構図にもなっています(笑)

──今回『五右衛門 vs 轟天』は、新感線が誇る2大人気キャラ、石川五右衛門と剣轟天が同じ世界で大暴れする設定になっていますが、この対決が実現した経緯は?

中島 「まず古田新太で五右衛門(注1)の新作をやることが決まって、何をしようか? と考えた時に『轟天復活』という案が浮上したんです。というのも僕にとっては、(轟天役の)橋本じゅん(注2)にどんな飛び道具的な役をやってもらうか? というのが、いつも大きなポイントなので。今回は35周年のお祭ということであれば、五右衛門対轟天はアリじゃないかと思いました」

いのうえ 「ただ彼は以前(腰を)やっちゃってるんで、不安はあったんですよ。でも五右衛門と轟天がハーフハーフで出るんであれば、体力的にも大丈夫かなと。それに轟天のようなキャラは、年とともにどんどんやれなくなるから、これが最後のチャンスかもしれねえなって」

中島 「で、どうせならほかの役者も新しい役を振るよりも、過去の作品に出たキャラにする方がいいんじゃないかと。それで改めて、轟天シリーズ(注3)と(いのうえ作の)『レッツゴー! 忍法帖』(2003年)(注4)を全部観直しました。『ひどいなあ』と思いながら」

──どの辺りがですか?

中島 「全部(一同笑)。いのうえ君の書くキャラは、やっぱり大いに人の道を外れてる」

いのうえ 「外道ばかりだよね」

中島 「普段の五右衛門シリーズは割とまともな話だけど、こんな頭のネジが3本ぐらい外れた人が中心に来るとこうなります、という。でもいのうえ君にしてみると『俺の轟天はこんなもんじゃない!』という思いが」

いのうえ 「変態度がちょっと足んないなと(笑)。それで轟天部分に関しては、だいぶ僕がネタを書き足しました」

中島 「だから今回は、芝居が長くなっても僕のせいじゃないです(笑)。それは声を大にして言っておきたい!」

いのうえ 「でもまあ、ひどい話になったよねえ」

中島 「本読みの時は、五右衛門たちがまともなことしか言ってなくて、逆に不安になりました(笑)。まるで水と油のようで、この2つは混じるのか? と」

いのうえ 「まあ稽古をしている間に、混じりだしてはいるけどね」

中島 「だから今回は、五右衛門VS轟天と同時に『中島VSいのうえ』という構図にもなっています(笑)。異なるフレーバーをお楽しみください、という感じです」

──五右衛門のいる安土桃山時代に轟天がタイムスリップするとは聞いてますが、場所とか展開はどんな感じでしょうか?

中島 「そんな歴史的な何かをやるわけでもないので、都、山、森。だいたいそのぐらい(笑)」

いのうえ 「森はちょっとキーワードだよね」

中島 「そうそう。それで五右衛門に、史上最大の危機が訪れます。轟天のせいで」

いのうえ 「知らず知らずのうちに、ひどい迷惑をかけるというキャラだからね」

中島 「己の欲望に忠実に走って行くと、周りに迷惑がかかるという。でも基本的には、めでたしめでたし…で終わります。やっぱり五右衛門シリーズに関しては、そうやってスカッと終わる『明朗活劇時代劇』を目指しているわけですから」

2015年劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり 「五右衛門 vs 轟天」

2015年5月27日(水)~6月30日(火)
シアターBRAVA!

2015年劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり 「五右衛門 vs 轟天」

劇団☆新感線

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