飛行機で荷物をCAに丸投げ→今って、自分で「持てない荷物」はNGでは? 航空会社に聞いた新ガイドラインへの対応

4時間前

荷物を収納できない!? 実は4月から新たなガイドラインが登場しています(いらすとや)

(写真3枚)

「私、力ないんで」。飛行機内で20代ぐらいの女性客が、自分の荷物を棚に入れようともしません。キャビンアテンダント(CA)が、キャリーケースを収納してもお礼を言わずでした。

そんな振る舞いを見て、ふと疑問を覚えた田中さん(仮名)がSNSでエピソードを投稿したところ、「自分で持ち上げられない荷物の持ち込みはNGでは?」という声も。

シルバーウィークで旅行が増える今…はたして飛行機内でのマナーとは? 投稿主と航空会社に取材しました。

田中さんが今回の件で気になったのは、「私もお手伝いします」とCAから補助を提案されても、聞く耳を持たず。結局、CAが2人がかりで荷物を収納しても無言。しかし、着陸し飛行機から降りる時は、CAにお願いせず自分で荷物を降ろしていた様子。友達と会話しつつ、スマホを操作しながら歩いて去って行く姿に疑問を抱いたのでした。

投稿には、

・自分は手伝ってもらっているけど、お礼は絶対大事 
・日本ではいつから「お手伝いしていただく」が「やってもらって当然」になったのか 
・力がなくて荷物を持ち上げられないなら、持ち込みではなく預け入れにすればいいのに

女性の態度や、持ち上げられない荷物を持ち込んだことへの非難が寄せられていました。

・自分で持ち上げられない荷物の持ち込みは禁止されている 
・もうCAさんは荷物を持ち上げないという記事を見た気がする 
・基本的にCAさんは荷物を入れるお手伝いはしなくていい

など、持ち込み荷物のルールに関するコメントもありました。

「やってもらって当然というような態度にショック」

「華やかなイメージを持っていたCAだったけれど、毎日苦労が絶えない仕事なんだと改めて尊敬の気持ちを持ちました」と語った田中さんに、どういった点が気になったのか。さらに詳しく聞きました。

「荷物を持ち上げられない事情があったにせよ、『私、力ないんで』だけではなく、もう少しCAさんに理解を得られやすいような説明があれば良かったんじゃないかなと思いました。

キャリーケースを持ち上げてくれるCAさんおふたりに、『お願いします』『ありがとうございました』など、感謝の言葉がなかったのも残念でした。収納してくれている姿も見ずに、女性は自分の席に着席していました」

違和感を覚えたのは、田中さんの日々の習慣にも理由があったそうです。

「私自身はコンビニなどのお店、交通機関を利用する際にスタッフの方や運転手さんにも必ずお礼を伝えますし、娘も常日頃一緒にお礼を言うようにしておりますので、やってもらって当然というような態度にショックを受けました。

人それぞれ目には見えない事情があって、人の助けを借りることは誰しもあるでしょうが、お金を払っているから当たり前ではなく、相手への感謝の気持ちを伝えることは大切なことだと思います」

航空会社の業界団体が今年3月、新ガイドラインを発表

今回、寄せられたコメントの「自分で持ち上げられない荷物の持ち込みは禁止されている」「もうCAさんは荷物を持ち上げない」も気になるところですが、本当なのでしょうか?

国内の航空会社19社(2026年8月現在)が加盟する業界団体「定期航空協会」は、今年3月、機内持ち込み手荷物に関する新たなガイドラインをプレスリリースで発表。要約すると以下のような内容に。

・機内に持ち込めるのは、身の回り品1個+手荷物1個の合計2個まで
・手荷物のサイズと重さは各航空会社が規定する(サイズにはハンドル・キャスター・車輪などを含む。重さは手荷物と身の回り品の総重量)

この従来の2つのルールに、新しく加わったのがこちらです。

・身の回り品のサイズは、前の座席の下に収納できる大きさの範囲内
・機内へは自分で上の棚に収納できるサイズ・重さの手荷物を持ち込むこと

今年の4月から適用され、新たなルールの目的は乗客のスムーズな搭乗と定時運航(時間通りの発着)の実現、手荷物の落下などに伴い乗客がケガをするリスクを減らし機内の安全を向上させることとしています。

安全で時間通りの空の旅には、乗客の協力も欠かせない(提供:ジェットスター・ジャパン)
安全で時間通りの空の旅には、乗客の協力も欠かせない(提供:ジェットスター・ジャパン)

田中さんが今回利用したのは「定期航空協会」に加盟している「ジェットスター・ジャパン」。

公式ホームページでは、「機内持込手荷物の条件について」明記し、「機内に持ち込まれたお手荷物は、お客さまご自身でお近くの頭上のロッカーにご収納ください」と記載されています。「持ち上げられない荷物の持ち込みは禁止されているのか?」などを、広報担当者に取材しました。

「お手伝いを必要とされるお客さまが多い場合は…」

「ジェットスター・ジャパンでは『自分で収納できない荷物は持ち込めない』という規定はございません。

お客様ご自身で頭上のロッカーへのご収納、お取り出しをお願いしておりますが、ご自身での収納が難しい場合やサポートが必要な場合は、キャビンクルー(客室乗務員、CAと同じ)にお声がけください。状況に合わせてお手伝いいたします」

広報担当者によると、あくまでも「お願い」ベースなのだそうです。

「お手荷物の機内への持ち込み可否を判断する条件として設けてはおりません。お客さまには、ご自身でお手荷物を頭上のロッカーに収納していただくようお願いしておりますが、収納できない場合でも搭乗をお断りするようなことはございません」

では、なぜ「お願い」しているのか…その理由は「定期航空協会」のプレスリリース同様、「定時運航および安全確保のため」です。もしも、自分で荷物を収納しない乗客が増えるとどういった問題が考えられるのでしょうか。

「お客さまの搭乗時もキャビンクルーは出発に備えた作業を行っております。収納のお手伝いを必要とされるお客さまが多い場合、作業が中断され、定時での出発に影響する可能性があります」

つまりキャビンクルーが荷物のお手伝いをするためには作業を止めて、通路を移動する時間が必要に。その間は荷物が通路におかれている、座らないままで待っている人もいるなど、奥へと向かう人の妨げにも。そのため、スムーズな着席が難しくなることも。

さらには、安全面に関しても影響がありえます。

「キャビンクルーへの身体的負担が増加する恐れもあり、安全確認や機内の保安業務に影響を及ぼす可能性もあります。加えて、お客さまご自身で安全に持ち上げて収納できない重さや大きさのお手荷物を無理に収納しようとすると、怪我や、お手荷物の落下による周囲のお客さまへの危険につながる可能性があります」

ただ、強制力がない「お願い」であれば、「荷物を持ち上げてほしい」「自分でやるのは嫌だ」という乗客が増えてしまう心配も。筆者の懸念に対し、ジェットスターは次のように語りました。

「お客様のお気持ちもわかりますし、出発前のお客様とキャビンクルーが安全でなくなる要素を増やしてもいけないので、いろいろ議論してベストな形を作っていかなくてはと思っています」

「乗客側のモラルが問われるように」

今回の投稿に対するコメントから「持ち込み手荷物は自分で収納する」という新しいルールができたと思ってしまった田中さん。今回の取材内容の通り、あくまでも荷物の収納については「お願い」であることを伝えて、改めてお話を聞きました。

「今回の件で、ジェットスターさんだけでなく、大手の航空会社も基本は手荷物はご自身でというお願いを、乗客は理解しておかなければならないと思いました。

状況に応じてお手伝いしてくださるというのは、とてもありがたいことだとは思いますが、乗客側のモラルが問われると思うので、今後もCAさんたちの負担が減るかというと難しいのではないか…」

難しいと感じた理由を、子どもの小学校で起こった出来事から説明してくれました。

「例えば『ご遠慮ください』をどう受け取るかというのも個人で違いますよね。私は『禁止』ととりますが、控えめなら大丈夫と思う方も一定数いらっしゃるみたいです。

うちの小学校でも『参観日は撮影はご遠慮ください』と毎回通知がきていますが、毎回何人かの保護者は自分の子の番になるとこっそり撮影していたりします。

『お願い』も同じようなやんわりしたニュアンスなので、『禁止』など強い言葉にしない限り、CAさんには申し訳ないですが、今後も同じような状況は続くのかなと思います」

◇ ◇

ジェットスター・ジャパンでは、基本的にキャリーケースなどの手荷物1個とハンドバッグなどの手回り品1個の計2個、合計7キロを機内に持ち込むことができます。手荷物のサイズは高さ56センチ、幅36センチ、奥行23センチまで、手回り品は、座席の下のスペースに収まるサイズまでです。しかし、手荷物の総重量を拡大できるオプションもあります。

「『プラス7kg』オプションをご購入いただくと、合計14キロまでお持ち込みいただけます。ただし、安全上の理由により、お手荷物1個あたりの重量は10キロまでとさせていただいております。『プラス7kg』は、販売数に限りがあり、先着順での受付となります」

また、成田空港の場合は、搭乗の際に階段を利用することから、大きな手荷物は航空会社に預けておくと、安全かつスムーズに搭乗できるとのこと。

「受託手荷物(貨物室で輸送する荷物)は予約時に購入するのが一番おトクです。さらに、受託手荷物(許容量は搭乗者1名あたり20キロ)と座席指定(スタンダードまたはアップフロント・シートの座席指定)などがセットになったオプションセット運賃『More』がおすすめです」

助けが必要な人に対してはサポートは不可欠ですが、荷物が重いなどの理由から自分で収納するのが難しそうな場合は、スムーズな運航のためにも、予約時点で預けるかどうかを検討してはいかがでしょうか。

取材・文/谷町邦子

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