山田涼介=“悲劇のプリンス”だと思ったら…「やらかし型」秀次役で、自滅の未来【豊臣兄弟】

『豊臣兄弟!』第35回より。戦に敗れ、逃げ帰ってきた三好信吉(山田涼介)(C)NHK
豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。
9月13日放送の第35回「秀長誕生」では、山田涼介が演じる豊臣秀次(三好信吉)が初登場。今までありそうであまりなかった秀次像と、小牧・長久手の戦いの頃の、各地の大名の状況について見ていこう。
■ 小一郎(仲野太賀)が激怒…第35回あらすじ
織田信雄(山脇辰哉)をないがしろにする羽柴(豊臣)秀吉(池松壮亮)を討つという名目で、徳川家康(松下洸平)が挙兵。戦は長引き、民の非難は秀吉に向いていた。
そこに丹羽長秀(池田鉄洋)が、信雄が家康に不満を抱いていると伝えに来る。小一郎は長島城に総攻めをかけて和睦交渉に持ち込むが、そこで信雄は、誰もが自分を大義のためだけに利用していることを愚痴り「織田家になど生まれなければ・・・」と言い放つ。

小一郎は、信雄を「織田の名にすがる情けない男」と激昂。さらに父・信長(小栗旬)を「天下一のお方」と言い含めたうえで、和睦を拒否して出ていく。
しかし、和睦は秀吉の手によって結ばれ、戦を終結させることに成功した。小一郎と酒を酌み交わした長秀は、秀吉は小一郎がいるから、信長を越えられるかもしれないと伝える。小一郎はその思いを汲んで、名前を「羽柴長秀」から「羽柴秀長」に変えることにした。
■ “悲劇のプリンス”と思いきや“問題児”!?

この第35回は、秀吉と家康の唯一の決戦となった「小牧・長久手の戦い」や、小一郎が長秀→秀長に改名するなど、いろいろと注目ポイントが多かったが、「Hey! Say! JUMP」の山田涼介が演じる三好信吉、のちの豊臣秀次の初登場も期待されたトピックだろう。
秀次といえば、子どものいない秀吉の後継者として関白に就任したものの、謀反の疑いをかけられて、高野山で自害した悲劇の武将として知られている。

秀次が失脚させられたのは、側室・茶々(井上和)との間にできた子どもを後継者にしようとした秀吉が邪魔者扱いしたから・・・というのが、今もなお根強く言われている。ただ、自害が秀吉からの圧力や策略だったのか、むしろ秀次が下手を打ったのではないかと、その理由は今もよくわかっていない。
ただ、これまでの大河ドラマで描かれる秀次は、様々な事情で秀吉相手に上手く立ち回ることができず、最悪の結末を迎えてしまうという「巻き込まれ型」の描写が多かったように思う。
しかし『豊臣兄弟!』の秀次は、自分の力量を顧みずに大将に立候補したり、敗戦しても自分の責任だと認めないという問題児で、どうもこれは自分から積極的に策を練って自滅するという「やらかし型」のキャラクターのようだ。
涙ながらに「私は無実です!」と切々と訴える姿がめちゃくちゃ絵になりそうな山田涼介が演じるから、てっきり前者パターンだと思っていたら・・・これは今後、どのような行動で秀長を悩ませていくか期待できそうだ。

ちなみに、なぜ秀次が「三好信吉」と名乗っているかというと、このとき阿波の三好康長(前半で活躍した「三好三人衆」の同族!)の養子になっていたからだ。
信長と三好家の連帯の証となる養子に選ばれた秀次は、本能寺の変のしばらく後に正式に家督を譲り受け、実父・弥助(上川周作)も「三好吉房」という名前になっている。ただ、ここからまもなくして、三好家を離れて羽柴の家に入り、秀次と名乗るようになるので、この名前とも次週あたりでお別れかもしれない。
■ 日本全国が真っ二つ…“プレ関ヶ原”状態に

今回の「小牧・長久手の戦い」のドラマ化で珍しかったのは、この戦いが単なる秀吉VS家康の頂上決戦ではなく、日本全国の戦国大名が「どちらに付くか?」で二分される、プレ関ヶ原状態だった点にスポットを当てたことだろう。
というわけで、当時の状況を整理していくと、まず家康に「秀吉と戦うなら味方に付くからね!」と言っていた北条氏政(谷原章介)は、隣国・常陸国の佐竹義重と衝突。義重は本能寺の変の前から秀吉と親しくしていたらしいので、北条を足止めする援護射撃をしたわけだ。

この佐竹義重も「鬼義重」と呼ばれた猛将。あと数年もすれば、東北の暴れん坊・伊達政宗とも対峙するようになるが、この2つの巨大勢力と同時期に戦いながらも、決して潰されずに家を存続させたところに、義重のすごさがうかがえる。
ちなみに、このときの政宗は、まだ家督を継ぐ直前。『どうする家康』(2023年)では、会話にしょっちゅう名前は出てくるけど、本人は最後まで登場しないという憂き目にあっていた(笑)。果たして『豊臣兄弟!』では出番があるだろうか?
そして、北陸に目を向けると、もともと秀吉と反りが合わなかった、佐々成政(白洲迅)が敵対関係に。最初は秀吉側に付いていたが、秀吉の苦戦を知って数ヶ月後に徳川方に寝返り、前田利家(大東駿介)に攻撃を仕掛けるものの、上杉景勝が秀吉側に付いたこともあって敗北。
秀吉と家康の間に和議が成立しても臨戦態勢を崩さず、結局秀吉みずからが征伐に出かけて降伏している。その後も秀吉とはかなり波乱万丈な関係になるけど、ここに秀長がどう絡んでいくかもポイントになりそう。
■ 大河ドラマ史上初「四国攻め」に期待!

そして、四国に関しては、来週以降で本格的に描かれるはず。小牧・長久手の戦いでは家康側に付いた長宗我部元親([Alexandros]・磯部寛之)は、秀吉と家康の和議が成立したぐらいの時期に、四国統一の悲願を達成。
ドラマでも語られた通り、播磨+中国地方エリアはほぼ秀吉の味方で、他家からの援軍を望めない状況で四国を手に入れるのは、これまたかなりの偉業だろう。秀吉の四国攻めが本格的に描かれるのは、大河ドラマでは初となるそうなので楽しみだ。
一方、九州地方は、大友宗麟が率いる大友氏が大きな勢力を誇っていたけれど、薩摩の島津家がどんどん領地を広げている真っ最中。
当主・島津義久を含めた「島津四兄弟」の勢いは凄まじく、追い詰められた宗麟は秀吉に助けを求めることになり、これが秀吉の九州征伐の口実となる。この戦では秀長が先鋒を務めているので、四国のあとにきちんと描かれることが期待できる。

こうして全国の状況を見てみると、豊臣兄弟が相手にしなければならない強者が、まだまだ残っていることがわかってくる。この兄弟が途方もない偉業に挑んでいることが、改めてハッキリしただろう。
そして、今回はただの自己中に見えた秀次も、これ以降は汚名返上の活躍を見せるので、温かく見守ろう。しかし秀次が、信長の元で戦う機会がなくて本当に幸いだった。あんなことを言っていたら、多分その場で打首にされかねなかっただろう・・・。
◇
大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。9月20日放送の第36回「「姫若子(ひめわこ)と鬼若子(おにわこ)」」では、秀長が総大将として、秀吉に対抗する四国の大名・長宗我部元親を攻め込むところが描かれる。
文/吉永美和子
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