少年マンガ好きにも刺さる!? 友情・努力・勝利……話題の映画『ちいかわ』、もうすぐ興行収入100億

2時間前

大ヒット上映中、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を観に行って感じたこと

(写真2枚)

X発の漫画で、今や国民的作品といっても過言ではない『ちいかわ』(作者:ナガノ)。その初となる『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が7月24日より公開中だ。大人気作品の待望の映画化ということもあってか、92億を早くも突破……「そんなに人気ならば」と、ちいかわに興味がなかった人も劇場へと向かうように。

筆者は気にはなりつつも、「ある程度の混雑が落ち着いてからにしよう…」と及び腰になる程度のライト層で、9月頃にでも観に行こう…と考えていたのだが、SNSや世間での“とある流れ”を目にし「これは早めに観に行こう」と決意した。

■ 日本の夏を席巻する映画『ちいかわ』

同作(通称セイレーン編)は、ナガノ氏のX上にて2023年3月から11月にわたって投稿されていた漫画が原作にあたる。筆者も更新を楽しみにしていた1人で、心を躍らせながら追いかけていたものだった。

通常のシリーズものと比べても長期にわたっての掲載だったのに加え、どこか「特別編」のような雰囲気をまとったストーリーということもあり、当時からすでに映画化の可能性を指摘するファンもいたと記憶している。

ちいかわといえば、今やちょっと街を歩けば数分でグッズを発見できるほどの大人気作品だ。映画の注目度も尋常ではなく、この夏は「ちいかわ、観た?」という会話が全国で老若男女に繰り広げられているのではないだろうか。

そしてSNS上では「子ども向けの映画だと思っていたけどあんなダークな世界観なの?」という初見の感想や「子どもが泣いていた」という現地レポート、「こうであってほしい」という祈りがこもったファンアート、聖書を引用した考察などなど…。毎日のように大量のポストが投稿されている。

なかでも意外だったのが、40代以上と思われる男性による投稿だ。評判に後押しされて映画で初めて「ちいかわ」に触れた人が衝撃を受けたことについて長文で綴っている様子も、最近よく見るようになった(芸人のNONSTYLEの井上裕介やなだぎ武も熱量の高いポストを投稿)。

すでに原作を読んでいたのでネタバレの心配はないのだが、他者の感想を見るうちに、なにかフィルターのようなものがかかっていくのを感じたのだ。

どうせいつか観るつもりなら、できるだけ真っ白な状態で観ておきたい…! 人混みのことは一旦忘れ、観に行ってみることに(以下、あらすじなどのネタバレを含みます)。

■ 映像美や音楽、キャラの魅力…見どころ満載

今作のストーリーをざっくり説明すると、ある日舞い込んだ1枚のチラシをきっかけに、ちいかわ・ハチワレ・うさぎ、お馴染みの3人組がとある”島”へと向かう。当初はリゾート気分でグルメを楽しんだりのんびり過ごしたりしていたのだが、次第に島に潜む違和感、そしてちいかわたちが島に呼ばれた理由が明らかとなる――。

島にはちいかわ界の最強ランカー・ラッコ先生、おっとり系のシーサーと見た目と裏腹におじさん風なくりまんじゅう先輩、自由気ままなモモンガと、モモンガを何かと気にかける古本屋といった仲間たちも上陸する。さらに今作の鍵となる島民・ヒトハとフタバ、ちいかわたちが立ち向かうこととなるセイレーン&人魚、一際存在感を放つ島二郎もゲストキャラとして登場し、ファンからすると「オールスター作品」といえるだろう。

劇場に足を運んだのは8月初旬のこと。日曜日かつ夏休み真っ只中ということもあってか、ロビーには溢れ返るのではないかというくらいの人がおり、なかでも家族連れが非常に多かった。もちろん全員が『ちいかわ』目当てではないだろうが、人気作品が放つパワーを感じた。

いざ本編が始まりまず惹きつけられたのが、島に生える木々やひらひらと舞う蝶、光を反射しきらめく海といった映像の美しさだ。個人的に、TVアニメ版ではちいかわたちが暮らす野原や空といった背景がかなりデフォルメされている印象があり、それが絵本のような雰囲気を醸し出していると感じる。対して映画では、ファンシーな存在であるちいかわたちとの調和を損なわない程度のリアルさがありつつ奥行きが感じられるので、ぐっと物語に引き込まれるのだ。

そしてあまりに鮮烈な印象を残すのがセイレーンの存在だ。単なる怪異というだけではなく、どこかフレンドリーさと相容れなさを兼ね備え、原作の時点で十分魅力的なセイレーン。そこにCV(声優)を担当する鈴木みのり氏のどこかコケティッシュさを感じる声、ちいかわたちが10人束になって掛かっても太刀打ちできないような巨大なボディ、そして俊敏さすら感じる動きがついたことによって、セイレーンの持つかわいらしさ、そして敵に回った際の恐ろしさや絶望感も増幅されている。

また『ちいかわ』といえば『ひとりごつ』や『パジャマパーティーズのうた』など名曲が多い作品だが、今作でも『机さする』や『くつずれ』といった曲が印象を残す。なかでも『うさぎラップ』が繰り出されるシーンは、マイペースで強者オーラをまとううさぎの魅力が存分に発揮されていた。そしてオリジナル曲ではないものの、終盤で登場する『今日の日はさようなら』の合唱バージョンは、作中の展開と相まって涙を堪えるのが必死なほど。

ハチワレ(CV.田中誠人)が歌う映画オリジナルのオープニングテーマ「くつずれ」

■ 考察や感想が溢れる現代こそ大事にしたい「初見の感想」 

他にも「なんか小さくてかわいいやつ」とは思えぬほど孤独なちいかわの奮闘、突如現れた島二郎の異様な存在感、原作では「ガツン バシバシ ボカッ」だったあのシーンの生々しさ、そして「人魚の煮付け」というひとつのテーマを生み出したヒトハとフタバの選択とその顛末など…。見どころを挙げればキリがない同作。

99分間の鑑賞を終え、多くの人がそうであったように一口では説明しきれないほどの感情を抱いた。と同時に、ジャンプ作品を20年以上追っている筆者は、かなりの『週刊少年ジャンプ』を感じた。

ちいかわ・ハチワレ・うさぎの揺るぎない関係、挫折し絶望のふちにありながらそれでも立ち向かおうとするちいかわの力強さ、普段はヒール的ポジションにあるキャラとの協力プレイ、ラッコ先生とハチワレの師弟関係、そしてゲストキャラも総動員で全ての力を出し切るラストバトル。これはジャンプの三大原則「友情・努力・勝利」が全て揃っていると言っても過言ではないはず…!

大ヒット上映中、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
大ヒット上映中、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』

ジャンプ作品もしばしば劇場版アニメが制作されるが、日常とは異なる場所に舞台を移し、主人公と普段は交わらない面々が手を組み、未知の敵と立ち向かうのが王道パターンだ。今作にもそれと似たワクワク感と胸高鳴るものを感じた。もちろん薄暗い気持ちになる描写もあるが、それだけで「闇深い作品」や「鬱エンド」とまとめてしまうのは勿体ないのかもしれない。

改めて感じたのは、事前の情報や感想を極力を入れないうちに鑑賞して正解だったということ。例えば筆者のタイムラインにはよく「モモンガ憎し」の声が流れてくる。それは今作のオープニングでも示唆されている「モモンガの正体」にも由来する怒りなのだろうが、個人的にはモモンガの傍若無人さが巻き起こす想定外の展開や、百戦錬磨であることを感じさせる言動は作品の良きエッセンスに思えた。

もちろん作品の考察や感想に目を通した上で鑑賞するのもひとつの楽しみ方だろう。それでもまずはまっすぐに作品を受け止め、自分だけの解釈を噛み締めたいところ。

今作のみならず、しばしばざらりとした後味を残すエピソードもある『ちいかわ』だが、なんといってもキャラのかわいらしさは抜群だ。ちいかわたちが短い手足を駆使して駆ける様、ふわふわのラッコ先生が俊敏に戦うシーン、丸っこくすべすべなセイレーンが迫ってくるシーンと、画面上には“カワイイ”が溢れている。ひとまずそのかわいさだけを大画面で受け止めてみるのも立派な楽しみ方だろう。

もし今作が気になりつつもまだ観ていないという人は、ぜひとも一度きりの「初見」の感想を大切にしてほしい。

【映画ちいかわ 人魚の島のひみつ】2026年7月24日(金)公開、原作・脚本:ナガノ

文/つちだ四郎

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』

2026年7月24日(金)公開
原作・脚本:ナガノ

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