香取慎吾「僕に遊ぶ場所を作ってくれているのかも」、異色バラエティ『しんごの芽』で感じた読売テレビの“パンク精神”

2時間前

読売テレビ『しんごの芽』について、インタビューに答える香取慎吾

(写真7枚)

2026年1月より始まった、香取慎吾がMCを務めるバラエティ番組『しんごの芽』(読売テレビ)。同番組は、新たな「未来のヒット番組」を見つけるべく、さまざまなテレビ企画の“タネ”を検証し、その可能性を探るもの。毎回、人気芸人らをマンスリーMCとして招き、カンペもないまま番組が進行。感動を呼ぶ好企画もあれば、呆気にとられるビミョーな企画も登場する。

7月末、初の大阪収録を終えた香取慎吾に、異質さが際立つ『しんごの芽』について話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ インタビュー写真/Ayami

■「僕が厳しい目でやらないと!」予測不能な検証企画

──8月放送の収録を拝見させていただきましたが、企画によって香取さんの食いつきが明らかに違う様子がものすごくおもしろかったです!

「かたいか?やらかいか?」(8月15日放送)はVTRの“作り”から「これ、大丈夫か…?」と心配していたら、「ほら、やっぱり!」という感じで(笑)。しかもその「大丈夫か?」が2段階、3段階ありましたから。

詳しくは放送をご覧いただきたいのですが、検証してくれたスギちゃんが、1本目の検証結果から「ドロー」と言った瞬間は忘れられないです。普通、こういう検証動画の1本目は編集で前後を入れ替えてでも、はっきりとした結果を見せるもの。それがあったうえでドローは分かるけど、一発目からドローは衝撃的すぎます。

──ちなみに読者のみなさんには文字面で伝わりづらいと思いますが、今インタビュー中の香取さんは、番組に対する深い愛情と笑い、そして呆れが入り混じった見たことない表情を浮かべて喋っていらっしゃいます(笑)。

もちろんこの番組をおもしろがっているんですけど、でも僕が厳しい目でやらないと、誰も言わないですから!

「スギちゃんが、1本目の検証結果からドローと言った瞬間は忘れられない」と苦笑する香取慎吾
「スギちゃんが、1本目の検証結果からドローと言った瞬間は忘れられない」と苦笑する香取慎吾

──タレントが企画に対して「これってどうなんだ」みたいな不安をあんなに口にしている姿は、テレビ番組でなかなか見ることができません。

でも、そう言っていただけて逆に嬉しいです。というのも番組のお話をいただいたとき、「テレビ企画のタネを検証し、可能性を探る」と趣旨を聞いて、僕は「そんなのできないです」とはっきり言ったんです。

テレビ番組って、おもしろいものを作ろうとするもの。そんな中「これは違うんじゃないか?」みたいな話をどこまで言っていいのか、それを言うのってバラエティとしてどうなのかと思ったんです。そういうことを熱く語って「そんなのできない」と言ったのに、いざスタートしたらあのときの僕の話を全部忘れたみたいで。

──ハハハハ(笑)。

だけど先ほど、僕がずっと「これってどうなんだ」と言っていた、とご指摘いただいて、「できない」と思っていたことがしっかりできているんだなって。

『しんごの芽』の番組オファー時を振り返る香取慎吾
『しんごの芽』の番組オファー時を振り返る香取慎吾

──検証企画はバラエティ番組の定番ですが、一度失敗したらそれで検証は終了するじゃないですか。でも『しんごの芽』は、失敗しても香取さんたちにしつこくやらせますよね。7月11日放送の、こよりを硬くしたらオレンジに突き刺さるかどうか、とか。

あれは思い出すだけで、ちょっと…(笑)。しかも何回もやらされて、どんどん深みにハマっていって。そうなるといろいろ考えるんです、「僕たちはいつから道を間違えたんだ」と。

家でテレビを見ていて「なんだこれ」と思ったら、ザッピング(※テレビのリモコンを使ってチャンネルを頻繁に切り替えながら視聴すること)できるじゃないですか。でも僕はここにいるのでチャンネルを変えられない。この世界に閉じ込められてずっとそれを見続けなきゃいけない。

──そんな空気感のバラエティ番組、前代未聞ですよ! 個人的には、スタッフさんがなぜかキルギスまで行って、マンスリーゲストのバカリズムさんのそっくりさんを探す企画(6月6日・13日放送)がおもしろかったです。香取さんは「ほんとなにやってんの」とずっと呆れていましたけど。

僕はこれまでいろんなお仕事を経験させていただいて、だからこそ分かることもあります。あの企画に関しては、スタッフさんはキルギスまで行って、絶対に楽しかったはずだって。飛行機に乗って、現地でいろんなものを食べて、ビールまで飲んで。

きっと、めちゃくちゃ楽しんでいるんですよ! それがダメなんですよ…。めちゃくちゃ楽しんじゃっているから、本当なら気づけることにも気づけていない。

「スタッフがめちゃくちゃ楽しんでいるんですよ! それがダメ」と指摘する香取慎吾
「スタッフがめちゃくちゃ楽しんでいるんですよ! それがダメ」と指摘する香取慎吾

──そのご指摘、おもしろすぎます!

だから僕がVTRを見ながら「これはダメですよ!」とちゃんと言っているんです。ここで僕まで「いやー、おもしろかったですね」とか言っちゃったら、収拾がつかなくなりますから。

だってほかの番組ならVTRを流す前に、誰かが途中で「うーん、これはどうなんだろう」と指摘しますよ(笑)。もしこの番組が、「そういうダメな感じをあえて見せて、香取慎吾にツッコミを入れさせることで逆におもしろくする」という狙いがあるなら、相当すごいです。

■「読売テレビは僕に遊ぶ場所を作ってくれているのかも」

──『しんごの芽』を見たことがない方がいらっしゃったら、香取さんの話を聞いて逆に気になるはず。番組を制作・放送する読売テレビも思い切ったことをやりますね。

読売テレビっておもしろいテレビ局ですよね。僕にとっては、テレビのお仕事から離れていた時期も読売テレビの『す・またん』だけはイベントの取材に来てくれていましたし。草なぎ(剛)は、『うさぎとかめ』で読売テレビからすごく良くしてもらっていると聞いています。

東京に住んでいるので、元々どういう局なのか知らない部分も多いのですが、『しんごの芽』も含め、いろんな壁を壊して大きく羽ばたこうとしているイメージがあります。広げたその羽がかっこいいかどうかは分からないですけど、パンク精神みたいなものを感じますね。

読売テレビに「パンク精神みたいなものを感じる」と話す香取慎吾
読売テレビに「パンク精神みたいなものを感じる」と話す香取慎吾

──でもそういうパンク精神こそ、良い番組・企画を生み出すタネになるんじゃないですか。

それこそ僕自身もパンク精神に近いものを持っています。たとえば“慎吾ママ”も、自分の中に「飛び抜けたい、壁を壊したい」という気持ちがあったから、やることができたキャラクターです。おもしろさを追求した中で生まれたキャラだと思います。

そう考えると、読売テレビは久しぶりに僕に遊ぶ場所を作ってくれているのかもしれません。自分が経験してきたテレビって本来、こういう場所だったなって。

■ ヒット番組は「気配」で分かる? 39年の芸能人生で得た能力

──この番組のテーマ「未来のヒット番組」にちなんだ話も伺いたいのですが、タレントとして「この番組・企画はヒットしそうだな」というのは直感的に分かるものですか?

嘘みたいな話なんですけど、たとえば生放送をやりながら「ん? これは今、数字がいいな」と分かるときがあったんです。まさに直感なんですけど、カメラの向こう側でたくさんの人が見ている気配がする。

前からも、後ろからも見られている感覚があって「いつもと違うぞ」という気持ちになります。そのあと視聴率を確認したら、やっぱりいつもより数字が良くて。

「ん? これは今、数字がいいな」と分かるときがあると話す香取慎吾
「『ん? これは今、数字がいいな』と分かるときがある」と振り返る香取慎吾

──逆になかなか突破口を見出せず、もがきながら番組を作ることもありますよね。

番組によっては試行錯誤をしながら、良くなるのを待つケースも多いですよね。お話をしていて思い出しましたが、番組をやっているとなんとなく“終わりに向かっている気配”を感じることがあるんです。セットや番組趣旨、タイトルまで変わっていって「なんとか状況を乗り越えようとしているんだな」と感じます。

それにバラエティは終わりが設定されずに始まり、進んでいく場合がほとんどです。ドラマは3カ月の中でやり切るじゃないですか。でもバラエティはゴール地点が分からないまま走り続ける。今なら「あ、もうすぐ終わるかも」と気づけるんですけど、若いときは経験も浅いから全然分からないんです。

──そういうものなのですね。

楽しく1年、2年、3年…とやっていたら、急に終わりが来るんです。そこで「そうか、終わるんだ」とびっくりして、そしてすごく寂しくなる。もちろん、自分の力不足も感じます。だからこそ、何事も後悔がないようにやっていきたいです。

『しんごの芽』のセットのなかで、香取慎吾
『しんごの芽』のセットのなかで! 香取慎吾

──最後にあらためて、これからの『しんごの芽』に望むものはなんですか?

とにかくこのスタイルでやり切って欲しいです。どんな番組でもいつか節目はやって来ます。突然「実は今日が最後です」となったとき、なにも変わっていないで欲しい。今のままでやり切りたいですね。

『しんごの芽』は毎週土曜23時30分から放送される(関西ローカル、放送終了後TVer見逃し配信あり)。大阪で収録された8月のマンスリーMCは有働由美子。

8月の企画のタネとして、人よりも長く生き続けるものから長寿の秘訣を探る『ご長寿』、飲食店の店主がどこから食べてほしいと思っているかを予想する『どこから食べてほしい?』、様々なものが硬いか・軟らかいかを調べる『かたいか?やらかいか?』、有働の名前”由美子”という名前にも使われている「子」という字が名付けられた時代背景に迫る『名付け』の合計4本が放送予定。

読売テレビ『しんごの芽』

放送:毎週土曜23:30〜
※関西ローカル、放送終了後TVer見逃し配信あり

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