『ばけばけ』で描かれなかった? 小泉八雲の関西での滞在も深堀り、大阪で展覧会

2時間前

4月11日より開催の特別企画展『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』

(写真18枚)

朝ドラ『ばけばけ』をきっかけに、改めて注目を集めている作家・小泉八雲。その作品を通し、日本の民俗や文化の魅力を読み解く特別展『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』が、4月11日より「大阪歴史博物館」(大阪市中央区)にておこなわれる。

■ 小泉八雲の「民俗学者」の顔にフォーカス

1850年、ギリシャ西部のレフカダ島でラフカディオ・ハーンとして生まれた八雲。その後日本に渡り、日本に伝わる伝説や民話を現代的に再構築する「再話文学」をはじめとし、さまざまな作品を手掛けてきた。

第1章「異界の旅人-飛翔する白鷺」(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
入り口に設置されているビジュアルには、同展を担当する学芸員・俵さんが松江で撮影した写真が使用されている(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

同展ではそんな八雲の「民俗学者」としての一面に注目し、八雲の幼少期やアメリカでの新聞記者時代、日本に渡ってからの活動、そして没後までを4つの章で紐解いていく。

八雲が渡米し、シンシナティ、ニューオーリンズ、マルティニークなどを巡っていた時期の著作などを展示(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
八雲が渡米し、シンシナティ、ニューオーリンズ、マルティニークなどを巡っていた時期の著作などを展示(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

同展ならではの特徴としては、実際に八雲が用いた物品や草稿に加え、「八雲が見たかもしれない」アイテムも展示している点が挙げられる。それにより、八雲が感じた驚きや感動を追体験できるという狙いが込められている。

島根で伝わる伝承「虫送り」で用いられる「実盛人形」(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
島根で伝わる伝承「虫送り」で用いられる「実盛人形」(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

■ 4章で八雲の幼少期から没後を掘り下げる

第1章では、八雲の出自や新聞記者時代に手掛けた数々の著作にフォーカスする。幼少期の八雲が目撃した幻について書かれた『私の守護天使』の草稿や、当時まだ注目されていなかったクレオール文化を掘り下げた『ゴンボ・セーブ』など、八雲の神秘的体験に対する興味や民俗学者としての思いに触れられる展示が並ぶ。

続く第2章では、3月に放送を終えたばかりの朝ドラ『ばけばけ』で中心的に描かれた、日本に渡ってからの活動や松江や熊本で触れてきたものを知ることができる。

八雲にとって欠かせない人物、小泉セツと西田千太郎のパネル(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
八雲にとって欠かせない人物、小泉セツと西田千太郎のパネル(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

同作の主人公、トキのモデルとなった八雲の妻・セツや親友・錦織のモデルとなった西田千太郎に関する展示も。ドラマを振り返って楽しめる内容でありつつ、同作では描かれなかった八雲の神戸・京都・大阪での滞在も深堀りされている。中でも八雲は大阪をいたく気に入ったそうで、西田に向け「大阪に1ヶ月いたい」と書簡を送ったほどだとか。

八雲は関西にも滞在しており、その足跡や目にしたものも展示する(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
八雲は関西にも滞在しており、その足跡や目にしたものも展示する(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

そういった書簡の一部内容や八雲が巡った各地のルートも展示されているので、足跡を辿ってみても楽しいだろう。

セツが使っていた英単語帳(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
セツが使っていた英単語帳(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

そして第3章では、八雲の代表作『怪談』を中心に展示。八雲はセツが語る怪談や奇談を聞き、その話を想像で膨らましながら作品として再構築するという手法を取っていたとか。

『怪談』(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
『怪談』(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

有名な怪談『耳なし芳一』の草稿や八雲が描いた怪談の挿絵、セツが八雲の執筆活動のため購入した資料なども展示され、セツのサポートや八雲の家族への思いにも触れられる内容だ。

絵も上手だった八雲が手掛けた妖怪の絵。残された絵には、家族だけが分かる暗号も隠されているそう(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
絵も上手だった八雲が手掛けた妖怪の絵。残された絵には、家族だけが分かる暗号も隠されているそう(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

終章では、八雲の没後に出版された関連書籍や『ばけばけ』の台本に加え、三男・清が描いた八雲の絵も。八雲が後世に残した影響や、家族との関係をうかがい知れるような、最後を締めくくるのにふさわしい展示となっている。

八雲の三男・清による八雲の左横顔を描いた絵。八雲は失明した左目を隠すため、写真でも右側を向いて写ることが多かったといい、清の複雑な父への思いが表れている(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)
八雲の三男・清による八雲の左横顔を描いた絵。八雲は失明した左目を隠すため、写真でも右側を向いて写ることが多かったといい、清の複雑な父への思いが表れている(『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』にて)

会場の大阪歴史博物館では、ドラマでもお馴染みだった「ヘビとカエル」のカエルをモチーフにしたグッズやレストラン「ZIPANG」でコラボメニューも展開する。

同展の開催期間は6月8日まで。休館日は火曜日、5月5日は開館。入館料は大人1600円、高校生・大学生1000円、中学生以下・大阪市内在住の65歳以上(要証明書提示)無料。

取材・文・写真/つちだ四郎

特別企画展『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』

期間:2026年4月11日(土)~6月8日(月)※火曜休、5月5日は開館
会場:大阪歴史博物館 6階 特別展示室(大阪市中央区大手前4-1-32)
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:大人1600円、高校生・大学生1000円、中学生以下・大阪市内在住の65歳以上(要証明書提示)無料

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