東京一極集中から地方へ「舞台芸術業界」が働きやすさ改善、大きく動き出した現場の様子は?

東京での「舞台芸術おしごとナビ」開催の様子(画像提供:『「日本の演劇」未来プロジェクト』)
2024年のライブ・エンタテインメント(音楽・ステージ)市場規模は対前年増減率10.9%増の、7,605億円と過去最高を更新(「ぴあ総研」調べ)。また、2.5次元ミュージカルの年間総動員数は過去最高の315万人となり、市場規模も対前年増減率17%増の330億円となった。(「2.5次元ミュージカル協会」調べ)
このように「舞台芸術」の市場が拡大する中で、作品創りに携わる人材の育成が、現在課題となっている。また、作品の上演も東京開催に集中する現状から、大阪や各地方での上演本数を増やしていこうという機運も高まってきた。その流れの中で、12月27日~29日に「扇町ミュージアムキューブ」(大阪市北区)で、舞台芸術に関わる企業や団体が多数参加するキャリアイベント、「舞台芸術おしごとナビ」が、関西で初めて開催される。

この業界は、「好き」を仕事にできる魅力がある一方、「長時間労働」「専門的な知識が必要」といったイメージから、ハードルが高く感じられることもある。ただし近年は、業界全体で働き方の改善や、意識改革が進んでいるという。そこで最近の舞台芸術業界の職場環境や、求められる人材について取材した。
■ フレキシブルなシフトにより、ライフワークバランスが向上
舞台芸術のこれまでとこれからを見つけるスタディプログラム『舞台芸術おしごとナビ2025 in 大阪・OGIMACHI LINK⇆』と題した本イベントを「扇町ミュージアムキューブ」と共催する、『「日本の演劇」未来プロジェクト』事務局、事業担当の赤羽ひろみさんは、「もともと舞台芸術を制作するには、同じ場所に集まり、事前の打ち合わせも含め、全て対面で物事を進めるという、一種の慣習がありました。けれどコロナ禍以降、リモートワークが発達したことで大きく変わりました」と、現場の状況を語る。
赤羽さんも仙台を拠点に、東京の舞台制作会社に勤め、コンテンツ制作などをおこなっている。「全国各地で舞台芸術の豊かさに触れつつ、地域で活動できる可能性が広がりました。大阪にもそういった需要と供給があることを、今回のイベントを通して知っていただきたいです」。
また、舞台芸術は長期間の創作・稽古を経て、劇場に装置などを仕込み、夜まで公演を運営していくというようなスケジュールが待っている。「産休や育休は取れるのか」「長期の休み後、復帰はできるのか」といった不安も寄せられそうだが、赤羽さんは「この業界の企業や団体さんは近年、環境改善に力を入れられています」と強調する。
「稽古の時期は、スタッフの稼働時間が長くなるため、シフト制で回していくなど対策が進んでいます。制作の現場でも前半後半と、入る時間を分けたり、また、企画を立ち上げる人、スケジュールを管理する人、チケットを管理する人、といった具合に業務の細分化も進み、プライベートを尊重しながら、舞台芸術で働く選択肢も増えてきているように感じます。現場に入るスタッフは、どうしてもイレギュラーな対応の増える時期もあるが、『そういう期間はしっかり働くけれど、公演が終わった後は、まとまった休みをきちんと取る』というように、働き方の調整をしている」と赤羽さんは明かす。
現場に入るスタッフは、どうしてもイレギュラーな対応の増える時期もあるが、「そういう期間はしっかり働くけれど、公演が終わった後は、まとまった休みをきちんと取る」というように、働き方の調整をしていると赤羽さんは明かす。
■ 企業・団体×人材とのマッチングをさらに高めていく
本イベントを主催する『「日本の演劇」未来プロジェクト』事務局長の竹内桃子さんは、「人材不足」を舞台芸術業界の課題に挙げる。「大都市である大阪でもやはり、クリエイタースタッフをはじめ、人材不足、人材育成の課題があります。もちろん新卒採用もあるのですが、中途採用も多い業界ですし、今回のイベントでは年齢制限を設けていないので、ぜひ違う職種や業界からの転職も視野に入れて参加してもらえると嬉しいです」。

かつてはこの業界の求人募集が「可視化されていなかった」ことも、人材不足に拍車をかけていた。2023年に舞台芸術の企業や団体と、人材を繋げる「舞台芸術おしごとナビ」がスタートし、現在はオンライン特設サイトやオフラインでも、企業紹介や説明会を展開している。
「自社だけで求人募集をおこなうには難しさがあり、他業種との合同リクルートイベントに参加しても人材とのマッチング具合が下がってしまう、という悩みが各企業さんにあったようです」(赤羽さん)。その突破口としても、本サイトや本イベントは大きな役割を果たしている。
■ いま、舞台芸術業界に求められる人材とは?
舞台芸術業界に求められる人材は、どういったものなのだろうか。竹内さんは「舞台芸術は関わる人の数が多く、演者や裏で支える技術スタッフ、企画や制作を担う人など、多種多様な職種があります。それぞれに求められる技術や知識も違うので、ひと括りに語るのは難しいですが、共通して言えることは、人と人とのコミュニケーション力ではないでしょうか」と、実感を込めて伝える。「コミュニケーションを通じて課題を整理し、解決していく力は、この業界で働くうえでとても大切だと思います」。
赤羽さんも、「資格が必ずしも必要な業界ではないですし、『これができなければダメ』という明確な条件がある世界でもありません。だからこそ、前向きに周囲と協力しながら、コミュニケーションを取りつつ物事を進めていく姿勢が、とても重要なポイントだと感じています」と語った。
◇ ◇
『舞台芸術おしごとナビ2025 in 大阪・OGIMACHI LINK⇆』は、「緊急事態舞台芸術ネットワーク」(代表理事:野田秀樹(ノダ・マップ)、池田篤郎(東宝)、吉田智誉樹(劇団四季))と「扇町ミュージアムキューブ」が共催するスタディプログラム。「梅田芸術劇場」、「金井大道具」、「シアターワークショップ」、「東京芸術劇場」、「ネルケプランニング」、「ピーエーシーウエスト」、「Booster」、「EPAD(資料配布のみ)」の8社が参加予定で、各社の合同・個別説明会をはじめ、舞台美術制作のワークショップや、関西の舞台芸術を語るトークイベントなどを実施。詳細は公式ホームページへ。
取材・文/小野寺亜紀
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