万博で話題のサンド「フティーラ」に正式許可、大阪で販売実現

野上シェフがアレックスさんたちと試作したフティーラ。写真はツナ、オリーブ、ケッパーで、商品としては000円で販売
閉幕した『大阪・関西万博』(以下、万博)で数々の異国メニューが話題になりました。そのひとつがマルタ共和国のサンドイッチ「フティーラ」。
行列ができるほど人気で、また食べたいという声も多かったなか、天神橋筋商店街の「ORANGE FIELDS Bread Factory(オレンジフィールズブレッドファクトリー)」(大阪市北区)で11月15日(土)から販売がスタートします。
パンライター歴30年、関西の数々のベーカリーを取材してきましたが、今回の万博で初めて出合った、「フティーラ」。実は、2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されているんです! もっと詳しく知るために本国に帰国直前だったシクルナ一家と、「オレンジフィールズブレッドファクトリー」のオーナー・野上剛さんに取材しました。

■驚くほどの歴史…フティーラとはどんなサンドイッチ?
マルタ共和国は地中海に浮かぶ諸島で、イタリアのシチリア(北側)、チュニジア・リビア(南側)の近く。そのマルタの魅力を発信するパビリオンでレストラン「マルタ・テーブル」を担当していたのがシクルナ一家です。
アントニー・シクルナさんは、長男のアレックスさん、三男マリオさんとともに、本国でレストラン「アユ」(会社名は「Jubilee Group Malta」)を経営。ミシュランのビブグルマンに2024年、2025年連続で選ばれているほどの実力店です。
「マルタ人が常に食べ親しんでいる『フティーラ』がユネスコ無形文化遺産に認定され、さらに大阪万博でその伝統の味を多くの人に知ってもらうことができてうれしい」と、アントニーさん。
「フティーラの歴史は古く、16世紀からあると言われていますが、実はその歴史はもっと古く870年にアラブ人がマルタにやってきて作ったのがはじまりとも言われています。
フティーラはマルタ人にとって、もっとも身近な食べ物。街のあちらこちらに専門店があり、マルタの人々は朝食、ランチに、海水浴に行く時にはラップして、食べ親しんでいます。もしも残ったなら海にいる魚にも食べさせるくらい(笑)」
そんなフティーラのパンは、中央に穴が空いたユニークな形状で、表面はカリッ、中はふんわりとしたテクスチャーが特徴です。

このパンを上下にカットして間にツナ、ケッパー、オリーブトマトソースを挟んでサンドするのがマルタの伝統的な食べ方。そのほか、万博でも販売していたベーコン&タマゴも一般的だそうです。
パン単体での販売はなく、具材がサンドされた状態がフティーラの完成形だと教えてくれました。
■最初は少しだけ販売する予定だったのに…
万博で販売していた「フティーラ」のパンを担当していたベーカリーの1つが、「オレンジフィールズブレッドファクトリー」。マルタパビリオンのコーディネーターであるファグンデス夫妻の紹介がきっかけでした。
「ファグンデス夫妻が経営する芦屋にある『ギーズバーガー by Humans of Wagyu』のパンを提供していたご縁もあって、フティーラのパンを担当することになりました。こういう形で万博に携われることをうれしく思い引き受けました。
当初は40個くらいを焼いてほしいと言われて請けたのですが、開幕してから人気がすごくて! アレックスさんに「MORE、MORE(もっと、もっと)』と言われて、毎日大量に焼き続けました。それを運ぶアントニーさんも大変そうでしたね」

■作っているのを、万博民に気づかれた!?
「フティーラパンの作り方は、すごくシンプルです。材料は小麦粉、塩、イーストと、パン作りでよく使うものばかり。違うのは捏ね上げ温度と発酵の時間、そして焼成時間です。
高温短時間で焼き上げるので、外はカリッ、中はふんわりとした食感になります。挟む具材の味を楽しんでほしいので、現地の『フティーラ』よりもやや塩分は控えめしました」
真ん中の穴は本国でもその形態は店によってさまざまなようで、「ベーグルのように大きな穴のものもあれば、小さな穴のものも。アントニーさんのレシピでは、真ん中に小さな窪みを入れるだけ。その方が具材をサンドしやすいからのようです」と野上さん。
日々、焼き続けるなかで、会場に運ぶ前に店内に並べて冷ましていたところ、「お客様の目に止まって『あれ?これってもしかして大阪万博の?』という声も出てきました」と野上さん。
そのためお客さんから、いつか販売があるのではないか!?…と、静かに期待が寄せられていたのです。
「万博開幕中は、フティーラ(サンドイッチ)は販売できませんでしたが、10月に入ってサンドイッチではなくパンのみをテスト的に販売。
すると『万博で食べておいしかったのでまた食べたい』、『万博で食べられなかったから食べてみたい』といったお客様の反響もありまして、うちでも『フティーラ』を販売してみたいと、アントニーさんに相談したんです」

アントニーさんから「サポートするから、ぜひチャレンジしてください」と、帰国前に具材についてのレクチャーが行われ、正式に販売許可をもらえたときは、野上さんも大変うれしかったそう。アレックスさんも「クォリティが高く、マルタでも売れる!」と太鼓判を押します。
「オレンジフィールズブレッドファクトリー」では、10月からフティーラのパン部分のみの販売で、自宅で具材をサンドするしかありませんでしたが、直伝のフティーラ種を11月15日(土)から販売。「ツナ、オリーブ、ケッパー」880円(売り切れ次第終了、予約不可)今後また自分で好きな具で楽しめるように、パン(330円)のみも引き続き販売。

万博の味を再び堪能したい人も、また食べ逃した人も、「ユネスコ無形文化遺産」の味を天神橋筋商店街でいただけます。店内にはイートインスペースもあり。営業時間は午前7時から午後8時。不定休。JR天満駅から徒歩3分、大阪メトロ「扇町駅」から徒歩すぐ。
取材・文・写真/いなだみほ
ORANGE FIELDS Bread Factory(オレンジフィールズブレッドファクトリー)
住所:大阪市北区天神橋4-7-29 扇町山一ビル1F
営業:7:00~20:00 不定休
電話:06-6355-4800
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