万博最難関?サウジレストランで、未知のおいしさを体験「実は賄いが…」

「サウジアラビア・パビリオン」併設の超人気レストラン「IRTHレストラン」にて(撮影:8月/大阪・関西万博)
閉幕まで残りわずかの『大阪・関西万博』(会場:夢洲)。スタートした当初から、気合が入った建物や展示、没入感のあるパフォーマンスが話題になり、常に列ができている「サウジアラビア・パビリオン」。そのなかでもレストランへの入店は、「万博最難関」の呼び声も高い。体験した人たちからは「料理が最高」「全てが新体験」「未知のおいしさ」「また並んででも行きたいと思える料理と空間でした!」などと絶賛コメントが多数挙がっている。
サウジアラビアと日本の外交関係は短くないものの、観光目的で入国できるようになったのは2019年と最近のこと。そのため現地でサウジアラビアの料理を食べたことがあるという人は少なく、また日本で提供している店も多くない。

そんなこともあり、「未知の料理」という印象があるサウジ料理だが、実際にメニューを目にしても、「ミーファ」「ジャリーシュ」「サイヤディーヤ」「ハニース」…と料理名だけでは、どのような料理なのか、想像することは難しい。いったいどんなレストランなのだろうか。万博開幕前から、サウジアラビアの取り組みを取材し続けてきた筆者が取材した。
◆ 「IRTHレストラン」、どんな空間?

まずレストランの入り口では、サウジコーヒーが渡される。イスラム国家のサウジアラビアでは、アルコールは禁止されており、コーヒーはおもてなしの気持ちを込めた大切なもの。このコーヒーも、見慣れた透明感のある黒褐色ではなく、少し濁った薄い茶色だ。サウジコーヒーは、専用の容器でコーヒー豆をくだき、地域によって異なるカルダモンなどの数種のスパイスとともに煮込まれる。味は、スパイスが香るさっぱりとしたコーヒー風味の飲み物という感じ。

このコーヒーをいただいたあと、テーブルに案内される。レストラン内装は、しっかりと作り込まれていて、しばし日本にいることを忘れるような異国感がありつつも、落ち着いた雰囲気。。席は、靴を履いたまま椅子のように腰掛けるテーブルタイプと、靴を脱いで絨毯の上で床置きの料理をいただくスタイル、テラスのテーブル席がある。

靴を脱いで上がるタイプは、現地のおもてなしのための部屋「マジリス」に近い。入店するとサウジアラビアの人たちはおもてなしを大切にしているので、スタッフはみんなにこやかで親切だ(日本語は一部の人しか話せない。英語はOK)。


◆ 謎に包まれた料理の全貌が、明らかに!
そして、現地から来日している一流シェフが腕を振るう料理について。メニューは、小皿、大皿、デザート、飲み物の各単品のほかに、同レストランがおススメする、代表メニューをほぼ制覇できるセットコースも用意されている。

大皿とメインを選ぶことができるセットコース「サウジ エクスペリエンス メニュー」(1万5000円)をオーダーすると、ハッブ・スープ、サウジサラダ、パンかご(パン3種)、モアファシュ、チーズ・バフ、ジャリーシュ、ハニース、デザート(マクシュシュ、モハラ、サゴダナの3種)全8メニューが並び、壮観だ。

全体的にスパイスが効いていて香り高いが、辛い料理は少ない。スパイスもキツすぎないので、日本人にも食べやすい印象だ。大皿料理やシェアプレートなどは、結婚式などのお祝いの席でいただくような華やかなメニューが多い。料理自体に甘さはほぼなく、代わりに蜂蜜が別添えでつく。また、ヨーグルトなどの乳製品もよく使われている。

メニューのなかで特に新鮮に感じたのは、「ジャリーシュ」と「ハニース」。「ジャリーシュ」は、全粒穀物とヨーグルトを煮込んだものに、香辛料で煮込んだ玉ねぎが乗せられている。ブラックライムのソース「ムサマナ」が添えられるヘルシーな料理で、サウジの国民食とのこと。

「ハニース」は、細長いパラパラのお米に、マクラの枝を敷き詰めたアースオーブンで6時間調理したやわらかい小羊肉の塊が置かれている。サウジアラビアは大きく5つの地域に分かれており、こちらの料理は南部地方の伝統的な料理だそう。目の前でスモークが充満したガラスの蓋を、スタッフが開ける演出も盛り上がる。

レストランではカトラリーも用意されていて自由に料理が楽しめるが、現地感を高めたいなら、「サラーム アライクム」(「あなたの上に平和があれ」という意)という挨拶に挑戦して、不浄とされる左手をできるだけ使わずにコーヒーや料理をいただいてみてもいいかもしれない。

◆ レストランで働くスタッフが証言「賄いで出てくる料理も、すべて最高」

今回、このレストランで働く唯一の日本人スタッフに話を聞いた。「万博の開幕から1ヶ月は、まばたきを1回したら終わっていたくらいに忙しかった」と振り返り、「このレストランで働くまで、サウジアラビアとは縁がなく、どちらかというと香辛料は苦手なほうでした。でも、現地の一流シェフの作るここの料理は本当にどれもおいしいです。賄いで出てくる料理もすべて最高で『こんなに美味しい料理があるんだ』と驚きました」とサウジアラビア料理のおいしさに開眼した様子。

また、一緒に働くスタッフたちについては、「毎日暑くても、みんな長袖を着てサウジアラビアのイメージを保っていることに感心しています。でも、パビリオンを出れば、女性も半袖も着こなし、自由なファッションをする人も」ということで、ここ10年ほどの女性の生活の変化は大きそうだ。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の変革による影響だろうか。

そして、度々万博フリークの間でも話題となっている、同レストランの入場については、開幕から試行錯誤が続き、いろいろと変化しているそうで、担当が変わると入場方法も変わることあり、明言が難しいそう。なお、取材した日は、朝イチにサウジパビリオン前の大屋根リングの指定の場所に並んだ人が名前と人数を書き、レストランオープンの11時に再度集まり名前を呼ばれて案内されるシステムだった。

◆ すでに「リヤド万博に行って、サウジ料理を食べる!」という声も
残りわずかになった、「大阪・関西万博」。同レストランへの入店はあまりの難易度の高さゆえ、会期中の訪問を諦め「リヤド万博に行って、サウジ料理を食べる!」という声もちらほら…。この「IRTHレストラン」の存在が、2030年にサウジアラビアで開催される「リヤド万博」の日本人の誘客に、一躍買うかもしれない。
また、9月23日には、サウジアラビアのナショナルデーが開催され、式典の他各種イベントを会場内各所で開催。夜には会場内のEXPO アリーナ「Matsuri」で大規模な音楽イベントも。詳細は公式サイトで確認を。

取材・文・写真/太田浩子
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