1年限定オープン!?大阪・人気パティスリーの「コース&パフェ」専門店

17時間前

「六識」のコースで提供されるデセール

(写真13枚)

今年6月26日、大阪・扇町公園そばに人気店「パティスリー ラヴィルリエ(以下「ラヴィルリエ」)」の新展開となる「六識(ろくしき)」(大阪市北区)がオープンした。

同店はアンティーク調の大きな白い扉に、控えめな看板のみ。店名の墨文から想像するに和食店?とも思える雰囲気…しかも、会員制でコースとパフェを提供、さらに1年間の期間限定オープン…と、本店とは完全に異なる形態に。何故このような形で新店舗をオープンしたのか?店主を取材した。

■ 公園そばの路面店…だけど隠れ家気分の佇まい

扉を開けると、待っているのは大きな一枚板のカウンター。わずか約5席の椅子が並ぶ贅沢な空間が広がっている。こちらを展開するのは、「ラヴィルリエ」のオーナーパティシエ・服部勧央さん。2009年創業の「ラヴィルリエ」は、個性豊かな生菓子はもちろん、ブリオッシュなどのヴィエノワズリー、焼き菓子などがそろい、パフェやかき氷といったスイーツもカフェスペースで楽しめるとあって、常にお客で賑わっている。

「六識」の内観。一枚板のカウンターはアフリカの木材。虎のような木目がシェフのお気にいり。椅子は家具ブランド「KOMA」のもの。長時間座っても疲れにくく、背もたれは肘掛けにもなる機能性と美しさを兼ね備えている
「六識」の内観。一枚板のカウンターは虎のような木目がシェフのお気にいり

今回オープンした「六識」は会員制・完全予約制のスイーツサロン。服部さんは「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感のその先の直感や記憶、余韻といった心の感覚に静かに触れる体験をしていただきたい」というコンセプトのもとに誕生したスイーツ店だという。ここで楽しめるのは塩からフルーツまで、シェフがこだわり抜いた素材を使って披露する昼限定のコースと夜限定のパフェ。料理やスイーツのビジュアル・味わい・香りなどはもちろんこと、それらを盛り付ける器にも美意識を注ぎ、五感を刺激するひと皿が堪能できる。

「六識」のカウンター越しに見えるシェフの包丁さばき。シェフが食材の説明も事細かにしてくれる
「六識」のカウンター越しに見えるシェフの包丁さばき。シェフが食材の説明も事細かにしてくれる

パティスリーの開業から16年経った今、52歳になる服部シェフの新展開への思いを聞けば「お客様に伝えていきたいと思うことが増えてきたんです」と回答。続けて「長年素材を選び、学び、菓子づくりと向き合ってきて、「味わう」という行為を、どこまで深められるのかを追求していくなかで、食への意識が変わりました。私自身も年齢を重ね、身体に優しいものを届けたいという想いが生まれてきたんです」とシェフは言う。

これまでにも増してより食材選びに細やかな注意を払うようになっているという話す服部シェフが同店で提供するのは、糖質の量を考え抜いた前菜からデザートのコース料理やグルテンフリーのパフェだ。

■ こだわり素材と器の饗宴

「六識」でいただけるデセール中心のコース料理(1万5000円)は、8〜10品。お食事のメインは茨城県「三右衛門」の豚肩ロース、北海道折笠農園の有機じゃがいも「さやあかね」などをコトコト煮込んむことで、素材の旨みが凝縮したポトフ。器は石川県輪島で漆の作品を制作している赤木明登さんの漆塗り、軽く手に馴染み口当たりもやさしい「Bo Project.」の黒檀のスプーンでいただく。

「六識」のランチコースの3品目としてサーブされる「ポトフ」
「六識」コースの3品目としてサーブされる「ポトフ」

またデセールでは、ぶどうやジャスミンの香りをまとったきくらげ、黒糖のジュレなどを使った優しい甘さの一品やメレンゲの中に自家製のミルクアイス&三宅島のパッションフルーツを組み合わせたひと皿などで構成される。

「六識」のランチコースの「アヴァンデセール」。ぶどう(シャインマスカットとユニコーンの交配種クイーンルージュなど季節によって新種が変わる)、シャスミンの香りをまとったきくらげ、黒糖のジュレなど、やわらなか香りや控えめな甘みが食事をいただいたあとの口の中と胃袋の気分を変えてくれる一品。バニラを入れた白茶で炊いた冬瓜は温かい状態、それもまた口の中と気持ちをほっこりとさせてくれる
「六識」コースの「アヴァンデセール」。ぶどう、シャスミンの香りをまとったきくらげ、黒糖のジュレなど、やわらなか香りや控えめな甘みが食事をいただいたあとの口の中と胃袋の気分を変えてくれる一品

終始甘いものだけでなく「最後まで飽きないように」と、料理経験も持つ服部シェフらしいコース。また、「コース後に帰宅してから、『六識』のことを思い出しながら食べていただけたら」と、鈴木農園の米・つや姫を土鍋で炊いて塩むすびにしたものをお土産に持たせてくれるというサービスまで至れり尽せりだ。

「六識」ランチコースの「グランデセール」は、メレンゲの中に自家製ミルクアイス、三宅島のパッションフルーツの完熟をソースのようにトッピング。その上にはダイスにカットしたパイナップル。冷たいアイスと一緒にいただくコクのある乳酸発酵クリーム、さわやかな香りのヴェルベーヌの泡など、頬張るタイミングで変わるデザートの温度差が楽しい
「六識」コースの「グランデセール」は、メレンゲの中に自家製ミルクアイス、三宅島のパッションフルーツの完熟をソースのようにトッピング。頬張るタイミングで変わるデザートの温度差が楽しい

そして、夜は季節のフルーツを使用したパフェを数種類。花のような甘い香り広がるタヒチ産バニラと珍しいニューカレドニア産バニラの2種を使ったバニラアイスを主役に、乳酸発酵クリーム、黒イチジク、黒砂糖のメレンゲ、オーツ麦のグラノーラ、米粉のチュイールなどを組み合わせた定番メニューの「直線のバニラ」をはじめ、桃をふんだんに使用した「桃源」(3200円)といった季節感あるメニューもラインアップする。

「直線のバニラ」(2800円)とシャンパン(2200円~)。アルコールのペアリングを考えるのは、ギャルソン将比路さん
「直線のバニラ」(2800円)とシャンパン(2200円~)。アルコールのペアリングを考えるのは、ギャルソン将比路さん

お客の9割が注文するというパフェとのペアリングドリンクは、服部シェフの弟・将比路さんが担当。西天満の名店「レストレ」での7年間の経験から、料理、スイーツの世界観を広げるシャンパンを提案してくれる。本当に「パティスリー」の新展開?と疑いたくなるような贅沢な仕上がりになっている。

芳醇な香りのニューカレドニア産バニラビーンズ。時には、このようにゲストに食材を紹介することも
芳醇な香りのニューカレドニア産バニラビーンズ。時には、このようにゲストに食材を紹介することも

また、お菓子や料理の在り方を大切に、出来立てを味わう喜びを感じてもらうために全てお客の目の前で仕上げるスタイルにこだわる服部さんは「ずっとカウンターでお客様と対面しながら仕事をしたいと思っていたんです。できたてを召し上がってほしいという気持ちに加えて、食材のこと、生産者さんのことなども伝えていきたい、良さを知っていただきたいと考えています」と語ってくれた。

左から、「六識」のオーナーパティシエ服部勧央さんとギャルソンの服部将比路さん
左から、「六識」のオーナーパティシエ服部勧央さんとギャルソンの服部将比路さん

現在、「六識」はプレオープン中で、グランドオープンは9月16日予定。場所は「ラヴィルリエ」(大阪市北区山崎町5-13)の隣。会員制&紹介制ゆえ、詳細は店舗へ連絡を。今後は誰でも参加できるイベントを不定期で開催予定。夜はサンドイッチもア・ラ・カルトで。昼(コース)は12時~・14時30分~の2部制、夜(パフェ)は18時~24時(23時L.O.90分制)。コースは日・月・火曜休、パフェは日・月曜休。営業期間は9月16日~2026年8月31日まで。

取材・文/いなだみほ 写真/Lmaga.jp編集部

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