万博丸ごとブラジルの音楽フェス?異次元スケールのナショナルデー

ゼカ・パゴジーニョのステージに小野リサら多数のアーティストが飛び入り大歓声。万博というお祭りだから実現した豪華共演(大阪・関西万博:6月21日)
「大阪・関西万博」でほぼ毎日開催されている各国のナショナル・デー。これまでにも数多くの国々が充実した音楽プログラムを用意してきたが、やはり南米随一の音楽大国はスケールと意気込みが違った。
6月21日におこなわれた「ブラジル・ナショナルデー」は、初来日となった実力派3組のステージを中心に、朝から日没まで広い万博会場全体をジャックするような多彩なプロフラムを用意。まるで現地の音楽フェスにでも足を運んできたかのような濃密なコンテンツで圧倒してくれた。
◆ 朝から晩まで、ブラジルが万博の複数のステージをほぼジャック!?
朝9時の会場オープン時から、会場内の複数のポップ・アップ・ステージにピファノ・トキオやブロコ・バハヴェントといった日本国内の実力派グループやカポエラのダンサーらが出演し、サンバ・ヘギ(注:ヘギはレゲエのポルトガル語読み)、マラカトゥなどの多彩なリズムが各所で鳴り響いた。


◆ ボサノヴァといえばこの人、小野リサのステージは早々に入場規制
そして、11時からナショナルデーホールでおこなわれた公式式典には、日本を代表するボサノヴァの歌い手である小野リサがゲストとして登場。これだけでも充分にスペシャルだったが、本番はまだまだこれからというのがブラジルの凄いところであった。


◆ 女性シンガーのマイアナは、ジルベルト・ジルの息子ベン・ジルらとステージに
充実した音響・映像設備を持つエキスポ・ホール「シャインハット」に場を移し、13時からステージをおこなったのは女性シンガーのマイアナ。夫でもあるジルベルト・ジルの息子でギタリストのベン・ジルと打楽器奏者が伴奏を務めるトリオ編成で、彼女がドリーミーな歌声とともに披露したのはボサノヴァの創始者であるジョアン・ジルベルトと、北東部音楽の若きスターであるジョアン・ゴメスという2人の「JG」の楽曲を取り上げた企画盤からの楽曲の数々。

ボサノヴァのスタンダード的な名曲や『べサメ・ムーチョ』などのお馴染みの旋律とブラジル新世代の楽曲が時には大胆なメドレー形式でミックスされ、ベンの巧みなギターワークと浮遊感のあるマイアナの歌声、可憐にしてサイケなVJやライティングも駆使したステージで心地よく魅了した。


◆ アルナルド・アントゥネスとヴィトール・アラウージョの名演
続いて15時からシャインハットに登場したのは、80年代からブラジル・ロックの雄として知られたチタンスの一員として活動し、マリーザ・モンチとカルリーニョス・ブラウンとのトリバリスタスでも活躍したキャリア豊かな鬼才=アルナルド・アントゥネスと新世代ピアニストとして高い評価を集めてきたヴィトール・アラウージョによる硬派なデュオ。

モノトーンのスーツに身を包み、ステージ後方スクリーンにアート性の高い映像が投影されるなか、デヴィッド・バーンあたりに通じるようなエキセントリックさと深い知性が同居したポエトリー色の強い歌声と、プリペアド奏法なども駆使した美しくも尖ったピアノが織りなすデュオは、陽気なサンバや心地よいボサノヴァだけではない、ブラジル音楽の別の顔を濃縮したような鮮烈なものだった。


中盤には、スクリーンに「O Real Resiste」という文字が投影されるとともに、19年に発表されて一部では放送禁止になったというボルソナロ政権を痛烈に批判した楽曲なども披露され、ヴィトールがピアノ・ソロで取り上げた坂本龍一『戦場のメリークリスマス』も彼らの音楽的なバックボーンを物語る名演だった。ぜひともこの鬼才デュオは、再来日を希望したい。

◆ 爆音サンバヘギに導かれ、パレードは「ブラジルの北島三郎」ゼカ・パゴジーニョが待つ「Matsuriアリーナ」へ
そして、16時半からブロコ・バハヴェントが大屋根リング下を半周して西ゲート横の「Matsuriアリーナ」へと向かう長いパレードを開始。強靭なリズムを叩き出しながら、広い会場内を東端から西端まで横断し、多くの来場者のそのパレードの後ろに続いた。


最後はサンバ・ステップを踏むミャクミャクが先導する形で、パレード隊がアリーナに流れ込むと大きな歓声が起こり、それを合図に幕を開けたのが、80年代半ばのデビューから40年間にわたってサンバ~パゴージ界の不動のトップ・スターとして国民的人気を集めてきたゼカ・パゴジーニョの日本初ステージだった。


◆ 赤ワイン、ビールをグビグビ飲みほしながら…国民的スターの陽気なステージ
スクリーンには歴代の偉大なサンバ歌手たちの名前が投影され、飾らないラフな雰囲気でステージに登場したゼカは、やはり本国ブラジルではスタジアム級の会場で会場全体が大合唱となるのが当たり前の人だけに、序盤はいつもとは勝手が違う日本での初舞台にやや戸惑い気味ではあったが、大きなグラスに注がれた赤ワインを飲み干しながらリラックスしたムードとともに徐々に本領を発揮。


数多くの伝統的なサンバ作品で活躍するギタリストのパウローンを筆頭とする名手が揃ったバンドの演奏をバックに、新旧の代表曲を次々と歌い、全国から集まったブラジル音楽フリークや在日ブラジル人たちの合唱も得ながら、心地よく海からの風が吹きつける夕刻の広大なアリーナにリアルなサンバを響かせた。


◆ 「ゼカ・パゴジーニョ祭」の後半は、夢のような豪華共演続々…観客大歓声

軽快なフルートがリードを取るショーロ風のインストを挟み、彼の人気を不動のものとした名曲『Verdade』ではマイアナとベン・ジル夫妻、そして小野リサもステージに登場して、この日でしかありえない貴重なデュエットも実現。

また、スクリーンには曲の内容に合わせ、リオの下町のファヴェーラ、グラスに注がれたビール、青色をトレード・カラーとしたサンバの名門楽団として知られるヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテ―ラの映像などが次々と投影され、ゼカの歌声とともに豊かなサンバの伝統、多彩なブラジルのカルチャーを体感させたのも効果的だった。


ゼカのステージ終了後も、会場内各ステージでブラジルナショナルデーのライブは続いた。本来ならば、ブラジルまで足を運ばなければ体感できない音をたっぷり浴びるという最高の1日を、多くの来場者が満喫していた。
取材・文/吉本秀純 写真/Lmaga.jp編集部


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