500円でこんなに楽しめる!大阪でユニークな「貝マニア」展示

「原色日本貝類図鑑」の執筆をひとりで引き受けた吉良哲明氏の力作展示。下の標本と上の「原色日本貝類図鑑」の誌面が一致することを示している
現在「大阪市立自然史博物館」(大阪市東住吉区)で開催中の展示『貝に沼る』は、学芸員、石田惣さんの渾身の企画。日本の貝類学研究史を紐解くという、自然科学系ミュージアムではほとんど前例のない内容となっている。
博物学的な好奇心に、文学者の詩的関心さえも引き寄せるフシギな生物「貝」。考古学の世界でも貝の研究が進んでいるように、貝と人類のつきあいはとても長いわけだけど、この展覧会では江戸時代からの研究史が紐解かれている。
あ、研究史と聞いても身構えないで。これがタイトルどおり、貝に沼ってきた人たちの歴史でもあって、大学の研究者らに混じってアマチュアの趣味人とその成果もたくさん紹介される、いわば「沼にハマってきいてみた」という趣きの展覧会なのだ。
まずは展覧会で紹介されていた貝に沼ハマな人のうち、気になった何人かを紹介する。
◎沼ったひと1:木村蒹葭堂と堀田龍之助
木村蒹葭堂(けんかどう)といえば、大阪の文化史好きにはおなじみの文人で、多くの分野に通じていた知の巨人。江戸の平賀源内、大阪の木村蒹葭堂といった形で紹介されることもある。そんな木村蒹葭堂のものと推定される「貝類標本」と「奇石標本」は、コレクターのお手本のような形だった。


ちなみに、江戸期に最盛期を迎えた中国由来の「本草学」は、動物、植物、鉱物を分類して名前を付け、その効用を記述していくような学問で、ヨーロッパの博物学が本格的に知られるよりも先に日本で独自に発展。木村蒹葭堂はその流れを汲むひとでもあった。

◎沼ったひと2:平瀬與一郎と矢倉和三郎
今や京都の一大文化ゾーン、岡崎の昔を語るテキストなんかで時々、その名前を目にして大変気になっていた「平瀬貝類博物館」。大正時代に6年間だけ開館していたこちらをほぼ独力で建てたのが平瀬與一郎。この博物館で8000種以上あったという自身のコレクションを展示するだけでなく、錦絵の技法でつくった貝類図鑑「貝千種」の刊行や、今でいうところのミュージアムグッズも展開していたという。


大阪・北浜の両替商の生まれで、長じて貝マニアとなった矢倉和三郎は、舞子浜に舞子介類館をオープン。矢倉もまた、研究成果や民俗的な解説を載せた「趣味研究 介類叢話」を刊行したり、学校向けの教材や標本の販売をしたり。ただ、こちらの介類館も1908年から1930年までしか続かなかったそう。

◎沼ったひと3:吉良哲明
図鑑や冊子、雑誌、趣味誌がいろいろと見られるのも本展覧会のいいところで、たとえばこちらは現在も続くという日本貝類学会による学会誌「ヴヰナス」の創刊号。

そして、その名も「夢蛤(ゆめはまぐり)」は、“最強アマチュア”として紹介されていた吉良哲明(きらてつあき)が編集から印刷、製本までひとりで手がけていたもの。これを100号まで続けたというからすごい。

吉良哲明は、保育社から刊行された「原色日本貝類図鑑」の執筆をひとりで引き受けたのみならず、そこに掲載された標本のほとんどを自身のコレクションでまかなったという。
今回の展示では、大阪市立自然史博物館に寄贈されている吉良の貝類コレクションの現物と図鑑に掲載された図版を照らし合わせて、その多くが一致することを証明…という力作展示も。
◎沼ったひと4:アマチュアコレクターのみなさん
このあたりまでは歴史的人物ともいえるのだが、まだまだ貝に沼った人はたくさん、しかも大阪に絞っても続々といるんです、ということで展示は続くのであった。


…とキリがないので後は実際の展示を見ていただくとして、このあとも、貝類研究者のみなさんが採集や調査に使っている道具の紹介があったり、DNA解析などなど貝類学研究の最前線の話があったり、子どもたちの自由研究が展示されていたり、と様々なかたちで、貝に沼ハマの話が続く。

もうひとつ忘れちゃいけないのが、なかなか手に入らない「幻の貝」紹介。6人の研究者がこの貝探してます!という、レアな貝を27種紹介。貝ビギナーはあえてこのあたりから入門するのもよいのかも。


会期はGWの5月6日まで。これで観覧料は500円! なお、展覧会に合わせたオリジナルグッズも充実。平瀬與一郎の「貝千種」を使った風呂敷やポスターは人気を集めそうだ。
取材・文・写真(一部提供)/竹内厚
『貝に沼る』
期間:2025年2月22日(土)~5月6日(休)
月曜休館、ただし月曜日が休日の場合はその翌日休
時間:9:30~17:00
会場 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
料金:500円 常設展とのセット券700円
電話:06-6697-6221
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