なぜ作った? 南大阪の「最新施設」が目指す、街のアップデート

「WHATAWON」を運営する原俊之社長
5月1日、大阪・岸和田にグランドオープンした大型複合施設「WHATAWON(ワタワン)」。甲子園球場のグラウンド2面分にあたる、およそ2万9000平方メートルの土地には、日本中から厳選されたグルメやファッションアイテム・雑貨のほか、宿泊やキャンプを楽しめる施設までスタンバイ。完全キャッシュレスで敷地内の9割がペットOKなど、次世代型モールとしても注目を集めている。
実はこの施設、アパレル企業「アンティカ」を母体に持つ運営会社が40億円以上もの費用のほとんどを自己資金で賄って建てられたのだという。巨額の資金を投じたオーナーとはいったいどんな人物で、なぜこの施設を作ったのだろう? 運営会社の原俊之社長に話を訊いた。
■ 「今までにないもの」を作りたい

──今回、なぜこの施設を作ろうと思われたのでしょうか?
「ないものを作りたい」と思ったのがきっかけですね。僕自身も子どもが3人いるんですが、大人が遊べるところで子どもが退屈してたり、その逆もあったり。それを目にして、両方が楽しめるおしゃれな場所があったらいいよねっていうところから始まりました。
──そこから実現に向けて、どのように動かれたのですか?
「おもしろい人たちと楽しい場所を作りたい」をコンセプトに構想を練りはじめたのが5年前。見聞を広めるために、マレーシア、シンガポール、イタリア、イギリス、フランス、ニューヨークと弾丸ツアーをやったり、国内も九州や北海道を実際に訪れて良いなと思ったことを取り入れたり、「これから来そうだな」ってお店に声をかけて具現化していきました。
──奥さまもご一緒に立ち上げたとお聞きしました。
そうです、役割を分けて。彼女は前には出ないけど、発想やセンスはかなりすごい。そこは信じ切ってるので、僕は具現化するのが役割、使命やと思ってるんです。
■ 「やってみたらできるもんや」目指すは「地域ごとアップデート」

──「次世代型モール」として、この場所に込める想いを教えてください。
直営カフェでの手応えから施設内は完全キャッシュレスで、ペット連れの入店もOKだったり、いろんなチャレンジをしてます。万人に受け入れられるわけではないと思うんですが、例えば「わしは現金しか持ってへんから、もう若い子の時代やな」っておっしゃるお客さまがいたら、「アップデートしましょう」っていう話をするんです。
──時代の変化に適応しよう、と。どんな反応が返ってきますか?
3人おったら2人が「教えて、教えて」と言わはります。やり方をお教えしたら、「こないだはありがとう」とか「友だちにも教えたわ」とか言ってくださって。
──「教えて」とならない1人から戸惑いの声などは上がりませんか?
「どうするんです? 乗り遅れますよ」と、さらにお話しすると、半数以上は「やってみたらできるもんやな」って。地域のアップデートがどんどん広がっていってるなと感じます。僕らは先を見てやってるので、いろいろ言う人は言うし、共感する人はする。ただ万博もあるし、キャッシュレスの波はきますよね。
■ 「土地柄は関係ない」未開拓エリアだからこその可能性

──南大阪民からは「なんであんな所に?」と声が多い、一見不便な立地ですが・・・なぜこの場所に?
妻の地元が近くて、結婚前から隣の和泉市でアパレルの会社をやってることと、ここは年間100万人が来る「蜻蛉池公園」が目の前で近隣には「ららぽーと」や「コストコ」もある。インターチェンジからも近いので、奈良、和歌山、もちろん大阪市内からも来やすい立地ということで即決しました。
これだけSNSが発展したなかで、土地柄ってあんまり関係ないと思うんです。地方でもそこに価値があれば情報は拡散されて、いろんなところから来ていただける。そうなってほしいという意味も込めて。
──この辺は個人的になじみがある場所なんですが、久しぶりに来たらワタワンだけでなく、住宅が増えていたりして大規模な再開発が進んでいるのに驚きました。
ここらは無電柱化していて、新しいことをしてるエリアでもあるんです。岸和田ってどうしても、「海」「だんじり」みたいなイメージがあるんですけど、山側は未開拓エリアなのでアップデートしやすいなとは思いましたね。
■ 身の丈に合った戦略で、メイン事業との相乗効果に

──立ち上げに40億円ほどかけられたとのこと。その投資は躊躇なく?
そうですね。土地の半分だけ買おうかという話もあったんですけど、コンセプトに合わなくなると嫌やし「全部いっちゃおう」と、妻と僕で決めました。
──思い切りましたね! 自己資金で出す額としては、かなり勇気がいるように思いますが・・・。
やっぱり、やりたいことをやろうとするなら自己資金しかない。借りたらそれは人のお金ですから、いらんプレッシャーもかかるし、身の丈に合ってないと思うんです。
──この投資はきちんとリターンがあると確信して、ですよね。
だいぶ前から確信してます。貯めてても仕方ないし、何よりアパレル会社の宣伝になると思うんです。そっちの事業が順調にいってるからこそ、こういう実店舗ができるし、それでさらに信用にも繋がっていくと思うんです。
───人生をかけた大仕事と言える「WHATAWON」ですが、完成した姿をご覧になっていかがですか?
今回50人以上の信頼できる事業主さんと一緒にやらせてもらってます。大人になって、ひとつの目標に向かってやることってあんまりないと思うんです。人生の数少ないチャレンジを一緒にできる仲間がおる、出店者さんがおるっていうのはやって良かったなと思います。
───やりたいことはやりきれましたか?
いや、まだやりたいことはいっぱいあるので、今後2店舗目、3店舗目とやっていくなかで、どんどん具現化していきたいなと思ってます。

「WHATAWON(ワタワン)」の営業時間は朝10時〜夜10時(店舗ごとに異なる)、年末年始は休業。阪和道岸和田和泉ICから5分(駐車場台数323台、有料)。
取材・文/脈 脈子
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