月亭方正、転身のきっかけ「目の前にあまりに大きな壁が…」

『噺家生活15周年記念 月亭方正 独演会』を開く月亭方正(3月15日・大阪市内)
■タイプが違って「松本さんはゼロからイチを生む天才」
松本さんはゼロからイチを生む天才。自分で庭を作って、自分もそのなかで遊んだり、なんなら壊したりする。でも僕はゼロからは生めない。だけど落語を勉強するなかで、「落語は究極的に言えば“あいうえお選手権”なんや」と思ったんです。つまり、あいうえお、かきくけこ…という定型を、どれだけおもしろく言えるか、あるいは悲しく言えるか。松本さんは「あいうえお」を「にょはんにょほん」みたいに解釈して、いろいろ作っていく芸人。僕はそういうことはできないけど、『笑ってはいけない』シリーズみたいに、形が用意されているもののなかに入っておもしろくすることには自信があったから。
──芸人としてのタイプの違いですね。
ロングコートダディや空気階段も、自分らでおもしろい庭を作るタイプじゃないですか。あと今、ヘンダーソンにハマってるんですけど、「ようそんなおもしろいことを考えつくなあ」とびっくりします。でもみんな、才能はすごいけどちょっとイイ子過ぎる気もします。僕らの世代なんて、ヒネくれて、歪んでのおもしろさやったから。だから若手の子らが『マルコポロリ』に出たら、歪みまくっている東野さんとかメッセンジャーのパラちゃん(あいはら)に平場でやられるんです(笑)。

──そうやって落語をやるようになり、かつては営業の舞台で2分しか持たなかった方正さんが今では長い時間、噺を披露してお客さんを湧かせていますね。
昔は「ヘタレ」やなんやってイジられて、褒められることは一度もなかった。でも落語をやるようになって、いろんな人が「すごい」と褒めてくれるようになったんです。その喜びはたまらないものがありますね。前、陣内(智則)に「落語ばっかりやってますね」と言われたんですけど、「落語はたまらんで」と。
──なるほど。
だから自分の子どもによう話してるんです。「人生は好きなものを早く見つけたもん勝ちやぞ」って。次女は「テレビに出て有名になりたい」と言うんです。でもなにをするためにテレビに出たいんか決まってない。歌とか、芝居とか。それが決まっていて、そのためにテレビに出る必要があるんやったら僕はめちゃくちゃ応援します。でも単に「テレビに出たい」とか言う人はゴマンと見てきたし、みんなすぐダメになる。「テレビに出て有名になりたい」とかそんなのはありえへん、幻みたいなもんです。
■「落語をやると人恋しさがなくなる」

──気づいたことがあるんですけど、方正さんの普段の喋り方や仕草って、落語をやっているみたいですね。
夫婦喧嘩のときに妻にも「あんた、落語やってるみたいやで」と言われたことがあります。自分では意識していないですけど。そういえば落語をやるようになって人付き合いが少なくなったんですけど、その理由は、落語の噺のなかにいろんな人物が出てきて、そこで人と喋っているからなんです。
──そんなことありえますか(笑)。
甚兵衛はん(※註1)が噺に出てきて「お、久しぶりやな」とやってると、人と会ってる気分になります。そういう“擬似出会い”を繰り返しているから人恋しさがなくなって、人付き合いも少なくなったんです。
※註1…上方落語の噺に出てくる登場人物の名前

──そもそも方正さんは人付き合いが慎重で、打ち解けるのも2年くらいかかるとインタビューなどで語っていらっしゃいますし。
でも(明石家)さんまさんなんかも、気軽に心を開いている風には思えなくて。だって人ってほんまに分からんもんやから。だからそれくらい慎重に接する方がいい。娘にも「もし結婚を考える相手がいても、2年は付き合え」と言ってます。タレントの鮮度も2年というのが僕の持論。それくらいでその人が本性が見えてくる。2年という数字には人間のなにかがあるんやと考えています。
──ということは落語家としての方正さんは、15周年ですからかなり心を開いているのではないでしょうか。15周年記念の『独演会』はどんな公演になりそうですか。
会場がNGK(なんばグランド花月)なので、ボリュームのあるネタをバーン、バーンとやろうと決めました。それをやり切る自信もあります。噺家としては15年なので、今は青年期。大人になるまであと5年はかかります。だけど青年の勢いを独演会で見ていただきたいですね。落語をやっていて、青春やから、今。

『噺家生活15周年記念 月亭方正独演会』は大阪・東京・名古屋で開催され、大阪公演は5月10日に「なんばグランド花月」(大阪市中央区)にて。チケットは1階席4000円、2階席3500円(当日は各500円増)。
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