【光る君へ】笑いと悲嘆の落差、まひろ・道長ルートが終焉

2024.3.31 07:30

お互いの本心を明かさぬまま道長(柄本佑)に別れを告げるまひろ(吉高由里子)

(写真5枚)

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。3月24日放送の第12回「思いの果て」では、まひろと道長の過酷な人生の別れ道だけではなく、さまざまな笑いや癒やしも描かれた贅沢な内容にSNSは大いに盛り上がった(以下、ネタバレあり)。

■ 第12回「思いの果て」あらすじ

父・藤原為時(岸谷五朗)の妾・なつめ(藤倉みのり)は、臨終間際に生き別れの娘・さわ(野村麻純)に会うことを願う。まひろは彼女を呼びに行き、最後の対面を果たすことができた。それ以来、さわはまひろの家に遊びに来る仲に。一方、父の友人・藤原宣孝(佐々木蔵之介)は、まひろを藤原実資(秋山竜次)の後妻にしようとするが、実資が赤痢にかかったために実現しなかった。

一晩寝ることができない「庚申」の夜に、さわと、弟・惟規(高杉真宙)と過ごしていたまひろのもとに、藤原道長(柄本佑)から文が届き、2人は廃邸で会う。道長は、まひろが日頃親しくしている源倫子(黒木華)に婿入りすることを報告。まひろは道長の妾になる決心をしていたが、その思いを飲み込み「私は私らしく、自分が生まれてきた意味を探してまいります」と、別れを告げるのだった・・・。

お互いの本心を明かさぬまま道長に別れを告げるまひろ(吉高由里子)
お互いの本心を明かさぬまま道長に別れを告げるまひろ(吉高由里子)

■ 道綱からの言葉、一瞬だけ「歴史のif」

以前のコラムで「これほど相思相愛のまひろと道長が、どのようにして結ばれなくなるのか」が、このドラマの前半の注目ポイントになると書いたけれど、そのひとつの結論が出たのがこの第12回だった。道長は、「まひろが望む出世コース」に乗るためには、身分の高い北の方を迎えねばならないし、まひろの方もいろんな意味で妾の身分に満足できる器ではなかった・・・ということに。しかし一瞬だけ「歴史のif」を感じさせる展開もあった。

そのキーマンとなったのは、道長の腹違いの兄・藤原道綱(上地雄輔)。妾のつらさを赤裸々につづった『蜻蛉日記』の作者・寧子(財前直見)を見て育ったことと、自分自身も妾に我慢を強いているという自責から、妾というのは男が想像している以上にしんどい立場であることを、知らず知らず道長に説く。これをもう少し早く教えてくれていたら、道長もまひろの拒絶に対して、あれほど激昂することもなかっただろう。

お互いの本心を明かさぬまま婿入りをまひろに報告する道長(柄本佑)
お互いの本心を明かさぬまま婿入りをまひろに報告する道長(柄本佑)

SNSでも「道綱と道長の会話で、自然に妾側の気持ちを道長が知ることになる構成が上手い」「嫡子だからこそ理解できなかった妾のつらさを、妾の息子である道綱から学ぶ。なるほどなるほど」「まさかボンクラにいにいの道綱から妾の辛さを教わるとは」「道綱兄ちゃんナイスアシスト」など、主に道綱に向けた声援があがっていた。どうやらこの先も、道長の良き理解者となってくれそうである。

■ 危うく実現、「まひろ&実資」ルート

しかしまひろの方も、妾の最期に献身的に寄り添う父の姿を見たためか、あるいは距離を取ったことで、やっぱり道長と離れがたいことがわかったためか、今さら「妾でもいから側にいたい」という心境になってしまった。これもまた、その決意を固めるのがもう一週早ければ、100%満足な形とはならなくても、めでたくカップル成立したのに・・・と、膝から崩れ落ちる人がさぞかし多かっただろう。

実際SNSも、「互いに妾で手を打つはずだったのに・・・嗚呼」「うわああああん!!!推しカプがーーー!!」「道長の莫迦ー!! 先に婿入りの話したら妾でもいいなんて台詞言えないでしょー!!」「相手がまひろも大好きな倫子さまだと知っちゃったら、そりゃ妾でも良い!って言えないよなー。倫子さまの幸せも奪っちゃうって事だもの」などの「どうしてそうなった」的な嘆きの声があふれた。

春画を見て興奮する実資(秋山竜次)
春画を見て興奮する実資(秋山竜次)

そんなわけで「まひろ&道長」ルートはあえなく閉じられてしまったわけだが、今回危うく開きそうになったのが「まひろ&実資」ルートだった。実際にこの頃実資は、なにかあると「日記に書けば?」と言っていた北の方を亡くしており、まだアラサーの男盛りだったので、非現実的な話ではない。もし実資が息災なら実現していたかもしれないし、なかなかおもしろい夫婦になったかもしれないと思うと、少し惜しい気がする。

SNSもこの展開に、「唐突にロバート秋山が婿候補でさすがに笑った」「実資の妻になるまひろ、それはそれで見たかった!」「シン・源氏物語とシン・小右記が生まれていたかもしれない。読みたい」と惜しむ声が上がる一方で、「結婚したら絶対に! 物書き気質・頑固・筆マメ同士でお互いの悪口を日記に書きまくって終わってしまう!!・・・絶対に!」と、むしろ幸いだったというコメントもあった。

それにしても今回は、まひろと道長の決定的な破局という非常に大きなバッドエンドがあったからか、宣孝の「(実資は)半分死んでいる」発言とか、姉の恋文を勝手に読んじゃう(ダメ絶対)惟規とか、笑いと癒やしがいつもよりてんこ盛りな回でもあった。特に実資が、いかにも融通の効かない頑固者や学者肌ではなく、春画を見て興奮してる姿が似合う秋山のようなキャラにしたの、本当に設定&キャスティングの勝利です。

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。3月31日放送の第13回『進むべき道』では、まひろが新たな生きがいを見つけると同時に、道長の父・藤原兼家(段田安則)の栄華に陰りが出てくるところが描かれる。

文/吉永美和子

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