京アニ事件はなぜ起きたか、関係者への取材からその深層に迫る

2024.2.9 10:00

第一審で死刑判決を受けた青葉真司被告

(写真3枚)

京都アニメーション放火殺人事件で死刑判決を受けた青葉真司被告の半生を、遺族や主治医らへの取材から事件の深層に迫る『ザ・ドキュメント 生かされた理由~京アニ事件の深層~』(カンテレ)が2月9日に放送される。

この事件は、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』、劇場アニメ『映画 聲の形』や『たまこラブストーリー』で知られる京都のアニメ制作会社「京都アニメーション」で発生した放火殺人事件で、60人以上が死傷。戦争を除いて、明治時代以降の事件において国内最多の犠牲者を出した。

自らも全身の9割にやけどを負って、死の淵に立った青葉被告。「絶命させたら遺族や被害者を落胆させてしまうと気負いがあった」と、主治医の上田敬博教授ら医療チームは懸命に治療。そして生かされた青葉被告に対し、1月25日、京都地方裁判所は「責任能力」を認めて死刑判決をくだした。

当初、犯行動機について「小説を盗まれた」と話していた青葉被告だったが、公判で謎に包まれていた自らの半生や犯行までの経緯が明らかに。複雑な家庭環境で育った少年時代、優等生だった高校時代、犯罪に手を染めた成人後。孤独と絶望のなかで出合ったのが京アニの作品だった。関係者への取材から、その生い立ちと人物像を解き明かしていく。

京都アニメーションの取締役(当時)でキャラクターデザイン担当の故・池田(本名:寺脇)晶子さん

一方、生かされた被告に「真実を知りたい」と裁判で向き合い続ける遺族にも取材。京アニを代表するアニメーターだった故・池田(本名:寺脇)晶子さんの夫は、「こんなことで、なんで36人も殺されなあかんの」と苦しみを吐露しながら、遺された者の使命として妻や小学生の息子の代わりに青葉被告と対峙する。

ナレーションをつとめるのは、俳優の小須田康人。今回の収録を振りかえり、「周囲とのつながりがあった高校時代は安定していて、むしろ優秀な生徒だったと知って驚きました。同時に、番組を通して、36人も殺してしまった青葉被告は、私たちとまったく切り離された宇宙人ではなく、自分たちと関わり合っている人間のひとりだったと訴えかけられたように感じました」と語る。

そして、「彼が特殊な人だったわけではなかったと知ったことで、誰もが社会から完全に切り離されたり、あるいは切り離されたと思い込んだら事件の加害者側に回ってしまう可能性さえある、とも感じショックを受けました。これまでは、無差別殺傷事件が起こるたびに、二度と同じことが起きてほしくないと思いながらも『この世の中は再発を防ぐことに対して無力なんじゃないか』と思っていたんです。でも今回、『諭したりとがめる人がいれば、止められたんじゃないか』という言葉を聞いて、『ただ無力なわけじゃない』と思い改めました」とも。

京アニ事件を起こした青葉被告が死の淵から生かされた理由を問う『ザ・ドキュメント 生かされた理由~京アニ事件の深層~』は、2月9日・深夜1時25分から放送される(関西ローカル)。

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