箱が無いから「ハコネーゼ」、オヤジギャグがまさかのヒット

2023.10.25 07:00

SNSで話題となった「創味食品」のパスタソース「ハコネーゼ」

(写真2枚)

中華調味料の「創味シャンタン」などでお馴染みの食品メーカー「創味食品」(本社:京都市伏見区)。同社のパスタソース「ハコネーゼ」のネーミングが、突如SNSで話題に。とあるユーザーの投稿「お前もしかして・・・箱がないからハコネーゼなのか・・・?!」に対し、同社の公式アカウントが「そうだよっ(小声)」とリアクションしたのだ。

一連の流れに、X(旧ツイッター)上では「そうだったの!?」「てっきり箱根の会社さんかと思ってた・・・」など、意外な由来に驚きの声が寄せられている。

かくいう筆者も、どこか異国情緒漂う商品名と上品なパッケージのおかげで、まさかダジャレ由来のネーミングだとは思ってもいなかった。これは理由が気になる・・・ということで、同社の営業本部企画課の宮村さんに話を訊いてみた。

■ 当初社内では「オヤジギャグでは?」と反対意見も

──商品名の由来と、ダジャレ要素を入れた理由を教えてください。

ご存知のように、「外装箱」を使用していないことに由来しており、「箱無いぜ→ハコネーゼ」と変化させたものです。パスタソース市場において後発商品となることから、ネーミングのインパクトも重視しました。

1番のメリットである、箱にかけるコストを「味」に注げること、既存の高価格帯パスタソースでは「箱入り」しか売れていなかった背景もあり、「過剰包装廃止」にも繋げたいという思いを込めています。最後は社長の決断もあり、「ハコネーゼ」に決まりました。

──実はエコにも配慮した商品名だったんですね。ちなみに、いつ頃から発売されているんでしょうか。

当社では、開発期間をあえてもうけず自信を持って「おいしい!」といえる味ができるまで発売しないという理念があります。開発から3年以上の歳月を経て、2021年3月に「濃厚トマトクリームソース」「濃厚ポルチーニソース」「完熟トマトソース」の3品が発売スタートしました。

「ハコネーゼ」の全ラインアップ(提供=創味食品)

──では、かなり温めていた商品だったと。「ハコネーゼ」以外の案はあったんでしょうか?

残っていた候補としては「箱にかかる費用を全てソースにかけたパスタソース」がありました。

──それはそれで話題になりそうな商品名ですね(笑)。ほかにユニークな商品名があれば教えてください!

市販の商品では「だしのきいたまろやかなお酢」や「聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢」など商品特長を全面に押し出したものが多いです。あとは、業務用で「みんなのカレー」などかわいらしいものもありますが・・・。『ハコネーゼ』ほど攻めたネーミングは初めてですね。

──そうなると、反対意見などもありそうですが。

実際のところ、社内会議では賛成・反対と半々の状況だったと記憶しています。「ダジャレを名前にする事で味へのこだわりが伝わりにくくなる!」「おやじギャグではないか?」という意見も。

しかし売上の拡大につれ、「絶妙なネーミング」「ハコネーゼ以外は考えられない」といった賛成意見が大多数を占めるようになりました。一般のお客様からは、エコに関心のある方を中心に、多くの応援メッセージや高評価をいただいています。

攻めたネーミングということもあり反対意見もあったという「ハコネーゼ」だが、発売直後の2021年には「日本ネーミング大賞」でルーキー部門の最優秀賞を受賞。「いま、時代のど真ん中のテーマであるSDGs。その最先峰をいった箱なし商品企画を見事に表現した舌を巻くネーミング」と、大絶賛されるほどだ。今度売り場で見かけたらネーミングにも注目してみたい。

取材・文・写真/つちだ四郎

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本