人々を魅了する「猫」が人間に? 京都でユニークすぎる展覧会

2023.9.26 07:00

猫の着せ替え人形などの作品を復元し、来館者が実際に遊べるコーナー

(写真7枚)

人々を魅了して止まない「猫」がもし、人になったら・・・? そんな作品が楽しめる展覧会『もしも猫展』が11月12日まで、「京都文化博物館」(京都市中京区)で開催されている。

■ 顔は猫、体は人間…ユーモラスな作品たち

大の猫好きで知られる浮世絵師・歌川国芳の作品を主軸に、江戸~明治期の戯画・風刺画など135点が揃う同展。現代の漫画・アニメでも擬人化された猫キャラは絶大な人気を誇るが、当時も多様に描かれた猫たちが庶民に親しまれていた背景が垣間見れる。

顔は猫、体は人間という姿で、流行もの・相撲や玉乗りをするユーモラスな作品が並び、特に当時人気だったテーマは「猫の温泉」。水が苦手なはずのが猫たちが湯船につかる姿が笑いを誘い、担当学芸員は「人間だと生々しい印象になるものも、動物で表現すれば、多くの人に『親しみやすく』伝わるのが擬人化の魅力」と語る。

さらに、擬人化は天保の改革下での役者絵の禁令をかいくぐったり、当時の世相を暗に皮肉るという効能も。猫の擬人化の火付け役と言われる国芳だが、『猫の百面相 忠臣蔵』など「実在する歌舞伎役者を猫に見立てて描く」いわば「擬猫化作品」も代表作のひとつとなっている。

市井の人々の表情をコアな状況別に描いてきた国芳だけに、すぐれた観察力と画才が発揮された「猫」と「人」の見比べも楽しい。また、猫の着物柄がスルメイカになっていたりと、国芳作品は細かい箇所まで遊び心が施されている。

会場には、作品の世界に入りこめるようなフォトスポットも

会場内には猫のほか、魚・雀・干支の動物、将棋の駒などの擬人化作品も展示されている。なかでも圧倒的に猫作品が多い時代背景について、担当学芸員は「ネズミ退治のために室内で大切に飼われていた猫が多く、屋外で放し飼いし、地域で面倒をみていた犬と違って、寝食をともにする身近で私的な存在だったのでは」と分析する。

そのほか、壁に大きく再現された猫の学校の浮世絵など、作品に没入できそうなフォトスポットなども。会場は「京都文化博物館」3・4階展示室にて、11月12日まで開催。時間は朝10時~夕方6時、金曜日は~夜7時半(入場は閉館30分前まで)。料金は一般1600円ほか。

取材・文・写真/塩屋薫

『もしも猫展』

期間:2023年9月23日(土)~11月12日(日)
※月曜・10月10日は休館(10月9日は開館)
時間:10:00~18:00※金曜は~19:30(入場は閉館30分前まで)
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
料金:一般1600円、大高生1000円、小中学生500円

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