【どうする家康】小牧・長久手の戦い前編のVIPは誰?

2023.8.19 13:45

『どうする家康』第31回より、険しい表情で家康の言葉に耳を傾ける徳川家臣団(C)NHK

(写真5枚)

松本潤主演で、徳川家康の人生を描く大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。8月13日の第31回『史上最大の決戦』では、徳川家の運命を決める「小牧・長久手の戦い」を前に、家康と家臣団の絆を改めて感じさせる描写が連発。なかでもぶっとい死亡フラグをあざやかにへし折った、歴戦の強者の金星に大きな拍手が送られた(以下、ネタバレあり)。

■ どうする家康、相手は10万もの大軍

織田信長の息子・信雄(浜野謙太)を助けるため、羽柴秀吉(ムロツヨシ)と戦う決意を固めた家康。まずは織田家の有力家臣・池田恒興(徳重聡)などを味方に付けて、秀吉の領地を包囲する計画を進めるが、恒興は暗に秀吉と通じていて、逆に攻め入ってくる。一気に旗色が悪くなったが、今まで数々の戦を経験してきた家康たちはひるまなかった。

秀吉を打倒する決意を固める徳川家康(松本潤)(C)NHK
『どうする家康』第31回より、秀吉を打倒する決意を固める徳川家康(松本潤)(C)NHK

まず「この辺りがちょうどいい死に場所」と覚悟を決めた酒井忠次(大森南朋)が、恒興の娘婿・森長可(城田優)への奇襲に成功し、池田勢の力を削ぐ。次いで榊原康政(杉野遥亮)は小牧山城に陣を張るよう家康に提案し、わずか5日で最強の要塞に作り替えた。小さいながらも固い一丸となった家康たちの前に、秀吉が10万もの兵を率いてやって来た・・・。

■ 成長した家臣団、実はまだツン状態の忠勝

殿はヘタレだし、家臣もすぐ妙な舞を踊ったり、脳筋だったり胡散臭かったり・・・。最初の頃は「本当に天下取れるのこの人たち?」状態だった家康&徳川家臣団。しかしそこから20年以上の時を経て、天下取りの野望を抱く殿&全方位隙なしに成長した家臣団の姿を見せつけられ、第1回からともに歩んできた視聴者は、もれなく感慨にふける31回となった。

『どうする家康』第31回より、家康(左・松本潤)に対し、ツン状態をキープしている本多忠勝(山田裕貴) (C)NHK
『どうする家康』第31回より、家康(左・松本潤)に対し、ツン状態をキープしている本多忠勝(山田裕貴) (C)NHK

久々の生きるか死ぬかの大戦の予感を前に、旧武田家家臣たちをまとめるのに苦労する井伊直政(板垣李光人)のやる気スイッチを押したり、知恵者に育った康政に重大なミッションを委ねるなど、まさに「理想の上司」となった家康。しかし、なかでも視聴者が盛り上がったのは「天下を取るまでは主君だなんて認めてないんだからねっ!」と、実はまだツン状態をキープしていた本多忠勝(山田裕貴)との対話だった。

SNSでは、「久々の忠勝のツンデレじゃないですか、やったー!」「ツンがしぶとい平八郎(忠勝)」「主君として従ってたんじゃなくて、ただただ殿のことが大好きだからついてきただけってこと?」「1話からここまで紆余曲折あったけど、ここまで来たんだなぁって何か泣きそう」などの言葉が並んだ。

■ 今回のVIPは、大金星・忠次と智将・康政

『どうする家康』第31回より、負傷したものの生きながらえた酒井忠次(大森南朋)(C)NHK
『どうする家康』第31回より、負傷したものの生きながらえた酒井忠次(大森南朋)(C)NHK

とはいえ、これだけ回想とか本音トークが多いと「もしかして死亡フラグかな?」というのが頭をもたげてしまうのが、ドラマ好きの悪い癖。なかでも「これがわしの最後の戦」など、海老すくいを踊る暇もないぐらいにフラグをバッキバキに立てまくった酒井忠次には、史実を知らない人からは心配の声が、無事帰還を見たときには安堵の声が一斉に上がった。

「左衛門尉(忠次)生きてた! 勝った!! 良かったー!(泣)」「左衛門尉、死亡フラグ立てるの(そして生き残るの)好き過ぎでは」「酒井忠次は死ぬ死ぬ詐欺のところがあるが、長篠のときといい今回といい、やはり徳川四天王と言われるだけの強さがあるんだよ」「まだまだ海老すくいが見られるな」などのコメントが。

そして10日はかかる小牧山城の普請を「5日でやれ」と言われてしまった康政には、「戦国あるあるのパワハラきたー!」「想定の半分の納期を指定されてもやりますって言える小平太(康政)えらいよ。ぼくなら上司に対してブチ切れてるよ」という同情の声に加えて、「ヤッスの発破(と書いて恫喝と読む)に対して、信雄は『がんばりたいと思います』、小平太は『やる』。いいね」と、改めて「できる子」ぶりを褒め称える人も多かった。

「海老すくい」以外の見せ場がなかなかなかったものの、劣勢のなかでの勝利・・・、しかも戦国時代でも指折りの猛将を破るという大金星を上げた酒井忠次。そしておそらく次回以降も、「智将」と呼ばれるのにふさわしい八面六臂の活躍を見せる榊原康政。「小牧・長久手の戦い」は、家臣団のなかでもちょっと地味な印象の2人が、日替わりヒーローとなる機会でもあった。後編では誰がVIPとなるか? わくわくしながら1週間を待とう。

『どうする家康』はNHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。8月20日放送の第32回『小牧長久手の激闘』では、数で圧倒的に不利な家康が、奇策によって秀吉軍を翻弄する「小牧・長久手の戦い」のクライマックスが描かれる。

文/吉永美和子

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