チケットは即完の人気っぷり、「平成中村座」新作の魅力とは?

2023.3.18 07:30

『平成中村座 姫路城公園』をおこなう、(左から)中村七之助と中村勘九郎

(写真3枚)

故・中村勘三郎さんが立ち上げた、仮設の芝居小屋での歌舞伎公演『平成中村座 姫路城公演』が、5月3日~27日に姫路城で開催。勘三郎の遺志をついで中村座を牽引する、中村勘九郎&七之助の兄弟が大阪市内で会見を開き、すでにチケットが完売という注目作(見られるチャンスはあり)について、詳細を明かした。

■ 「昔だったら打首」もの!?

姫路城の世界遺産登録30周年を記念して実現した今回の公演。「白鷺城」とも呼ばれる白亜の天守をのぞむ三の丸に、江戸時代の芝居小屋を模した劇場を建設。さらにその周辺には、地元姫路や江戸の職人たちによる屋台が30軒も出る「三十軒長屋」が登場し、さながら江戸時代にタイムスリップしたような空間が作られる。

勘九郎は、「(2015年に)大阪城で中村座をやらせていただいてから、やっぱり日本が誇る建築で芝居小屋をやりたいなあと。昔だったら打首ですよ、(城で)芝居小屋なんかやったら(笑)。今回は姫路の方に『来てくれ』とおっしゃっていただけたので、実現しました」と、希望がかなったことに喜びを見せた。

『平成中村座 姫路城公演』に向けての会見に出席した中村勘九郎(16日・大阪市内)

■ シルク・ドゥ・ソレイユに興奮「中村座でも…」

今回は、第一部(12時開演)で『播州皿屋敷』、第二部(16時開演)で『天守物語』という、まさに姫路城を舞台にした作品をかけるのが売り。そのほかにも、2人の祖父・17世中村勘三郎に三島由紀夫が書き下ろした『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』(第一部)や、両手を棒でしばられた従者のユーモラスな動きが傑作な『棒しばり』(第二部)も上演する。

『平成中村座 姫路城公演』に向けての会見に出席した中村七之助(16日・大阪市内)

また、新型コロナウイルスによる規制がだいぶ緩和されたことで、舞台と客席が近いこの芝居小屋ならではの、役者と観客がふれ合えるような演出も復活させたいと、2人は希望する。七之助は「この前(シルク・ドゥ・ソレイユの)『アレグリア』を観に行ったら、(パフォーマーが)客席でしゃべってたりして、すっごくうらやましかった。だったら中村座でもできるとワクワクしたし、姫路では可能になるんじゃないかな」と期待を込めた。

■ チケットは完売、だが見られるチャンスはあり

残念ながら前売チケットは、発売開始からわずか2日で完売したが、七之助から「立見席が出せるはずです」と朗報が。勘九郎も「中村座は舞台の後ろを開ける演出があるので、だいたいの時間帯に来れば、タダで(芝居の一部が)見られます(笑)。小倉公演のときは、300人ぐらいいらっしゃってました。音も漏れ放題なので、ぜひ会場にお越しください」と、チケットがなくても楽しめることを強調した。

中村兄弟のほかには、中村橋之助、中村虎之介、中村鶴松、片岡亀蔵、中村扇雀などが出演。当日券の情報は、後日公式サイトで発表される。また公演に先駆けて、役者たちが姫路の町をパレードする「お練り」も開催予定。

取材・文・写真/吉永美和子

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