「三丁目の夕日」の著者・西岸良平、50周年展が京都で開幕

2023.3.10 07:30

フォトスポット「江ノ電に乗って」。『鎌倉ものがたり』に度々登場する江ノ電の座席に腰掛けた一色正和と亜紀子と共に記念撮影ができる

(写真13枚)

『三丁目の夕日』や『鎌倉ものがたり』で知られる、漫画家・西岸良平(さいがんりょうへい)の画業50周年を記念した展覧会が、「大丸京都店」(京都市中京区)で開催中だ。

昭和の懐かしさを感じさせる素朴な絵柄で、人情味溢れるほのぼのとしたストーリーを描く西岸。その柔らかなタッチと裏腹に、背筋が凍るようなちょっと怖い「ミステリー漫画」でも知られている。物語には、酒やギャンブルなど、悩みを抱えながらも生きる人間味あるキャラクターが多く、思わず共感を覚えてしまう。

同展では、映像化もされた代表作『三丁目の夕日 夕焼けの詩』と『鎌倉ものがたり』にフォーカスしつつ、彼の画業全体を包括的に振りかえる。代表の2作品は、鉛筆の下描きから単行本へと完成していく創作プロセスも展示されており、その過程を追体験できる。

単行本になるまでのプロセスが三段階で展示されている

また、西岸がインスピレーションを受けたという、私物のフィルムカメラやレコード、昭和レトロ感漂うブラウン管のテレビや黒電話、アルミ製の湯たんぽなども展示されており、それらが実際に登場する作品ページと照らし合わせながら見て回れるのもポイントだ。

前半では、『三丁目の夕日 夕焼けの詩』の舞台である昭和30年代の夕日町三丁目が描かれたパネルが壁一面に広がり、鮮やかな夕日色の空間のなか、同作の世界観に浸りつつ鑑賞を楽しめる。続く『鎌倉ものがたり』のエリアには、作中に登場する鎌倉の猫の総大将・「猫王」が鎮座しており、フォトスポットとして「西岸ファン」が列を作りそうだ。

古都・鎌倉を舞台に、ミステリー作家 一色正和と妻 亜紀子が繰り広げる『鎌倉ものがたり』の既刊36巻が勢揃い

そのほか、『たんぽぽさんの詩』や『蜃気郎』といった短編漫画の単行本や複製原画が勢揃い。映画化された『ALWAYS三丁目の夕日』と『DESTINY鎌倉ものがたり』コーナーとして、作中の名シーンを切り取った写真や特報映像、ポスターなどが登場し展示会が締め括られる。

作者本人が選んだという、『三丁目の夕日 夕焼けの詩』『鎌倉ものがたり』各6柄の複製原画(2万7500円)も会場にて発売中。受注生産で、先着80枚分は西岸のサイン入りとなる。『西岸良平画業50周年記念展』は「大丸京都店」6階にて、3月20日まで開催。開催時間は、朝10時から夜7時まで(最終入場は閉場の30分前)。チケットは一般1500円ほか。

(C)西岸良平/小学館 (C)西岸良平/双葉社

取材・文・写真/宮口佑香

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