兵庫・姫路の朝といえば「アーモンドトースト」、なぜ誕生した?

2023.1.23 07:15

カリッとしたアーモンドや香ばしい匂いが魅力のアーモンドトースト

(写真3枚)

1月23日は、カリフォルニア・アーモンド協会が制定した「アーモンドの日」。ダイエット効果や美容効果も期待できるというアーモンドだが、そんなアーモンドをたっぷりと使った兵庫県・姫路のローカルフード「アーモンドトースト」をご存知だろうか。先日テレビ番組で紹介され、ツイッターでトレンド入りするなど話題となった。

姫路の喫茶店でモーニングメニューとして愛されているアーモンドトースト。起源は諸説あるが、定着するまでには姫路でコーヒーの製造・販売をおこなう「成田珈琲」(本社:姫路市北条口)が大きく関わっているという。そこで、同社の代表取締役社長・成田哲朗さんに話を訊いた。

■ モーニング文化が盛んな姫路エリア

──モーニングメニューであるアーモンドトーストですが、そもそも姫路でモーニング文化が盛んになったのは何故でしょうか?

姫路に限らず、昔は現在と生活サイクルが異なるため早起きな人が多かったんです。喫茶店の営業時間も朝6~7時と現在よりかなり早めにオープンしていました。加えて、姫路では早朝であっても利用客が多かったことから、朝ご飯需要も高かったことがうかがえます。自然と喫茶店同士の競争も激しくなり、モーニング文化が発展したのではないでしょうか。

同じくモーニング文化が盛んな町でも、名古屋のようにうどんやおにぎり、みそ汁など「コーヒーがおまけ」になるようなものはあまりないかと思います。あくまで「コーヒーがメイン」で、コーヒーとのマッチングが重視されているのが姫路モーニングの特徴かもしれません。

──コーヒーがメインならアーモンドを使ったメニューが人気なのもうなずけます! アーモンドトーストが姫路のモーニングとして定着していったのはどういった経緯があるのでしょうか?

現在も続いていますが、弊社では業務終了後に社内研修会をひらきメニューの試作や新商品の共有をおこなっています。研修会ではいろいろな情報が集まりますが、営業マンがとあるパティシエから「アーモンドとマーガリンってすごく相性がいいんだよ」という話を聞いてきたことがアーモンドトーストの始まりだったそうです。

そこから試行錯誤を繰りかえしてメニューが完成し、営業マンたちがお得意先に1軒ずつ案内していったことが、現在に繋がっています。そこから店舗ごとのアーモンドトーストも生まれ、今では姫路のローカルフードとして定着しました。営業マンの努力もあってか、私が入社した40年ほど前には、アーモンドトーストは喫茶店メニューとして浸透していたという印象がありますね。

関西圏を中心にコーヒーの製造・販売や喫茶店への研修などもおこなう「成田珈琲」

■ 喫茶店によってがらりと味が変わる「アーモンドトースト」

──成田珈琲さんでは材料を販売していますが、姫路では家庭でもアーモンドトーストを作るのでしょうか?

材料であるアーモンドやマーガリンは、スーパーなどでケーキ材料として販売されてはいますが、アーモンドトーストの材料として販売されているわけではありません。もちろんご家庭で作っている人もいるとは思いますが、喫茶店メニューという側面が強いのではないでしょうか。

弊社で販売している材料は、お店での計量の手間を省くため、使いきりサイズで設計しています。そのためご家庭で同じ計量で作るとなると、かなりのボリュームになってしまいますが、同じ比率で小分けにすればご家庭でも楽しんでいただけます。

──成田珈琲さんで販売されている材料は、どちらかというと喫茶店用に特化しているんですね。こだわっている点はありますか?

オリジナルマーガリン、アーモンドプードル(粉末)、アーモンドダイス(粒状)、グラニュー糖を混ぜるのですが、アーモンドダイスの粒の大きさはこだわっています。トーストにした際、存在を放つビジュアルであること、食感がよいこと、さらに必ず火が通る大きさであることが大事なので、大きすぎても小さすぎてもいけません。

マーガリンの種類やアーモンドの量などで味が変わるというアーモンドトースト

──シンプルに見えてとても奥が深いメニューなんですね。ちなみに公式サイトでレシピが公開されていますが、おいしく作るためのコツなどあれば教えてください。

まず、マーガリンをホイップします。このホイップのおかげでマーガリンのふんわり感が増し、滑らかにパンに塗ることができます。ふんわり感を壊さないように、アーモンドダイスとアーモンドプードル、そしてグラニュー糖を混ぜ合わせれば「アーモンドバター」が完成します。

そしてできあがったアーモンドバターをパンに塗り焼き上げます。空気を入れ、ふんわりとさせるのがおいしくさせるコツなので、多すぎるかなと思うくらいたっぷり塗りましょう。

マーガリンの種類やアーモンドの量などでアーモンドトーストの味はがらりと変わるそう。興味を持った方は、実際に姫路を訪れ喫茶店ごとの違いを探してみては。

取材・文/つちだ四郎

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