原恵一監督「職人的な感覚で、原作の印象を壊さずに映像化」

2022.12.24 13:00

アニメーション映画『かがみの孤城』の原恵一監督

(写真7枚)

大人が泣くと話題を呼んだ『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』、アニメーション映画の『河童のクゥと夏休み』や『カラフル』、木下恵介監督の半生を描いた初の実写映画『はじまりのみち』など、数々の名作を世に送り出してきた原恵一監督。

そんな原恵一監督の最新作が、2018年『本屋大賞』に輝いた辻村深月の同名小説をアニメーション化した『かがみの孤城』だ。学校に行けなくなり部屋に閉じこもっていた中学生の少女・こころが、鏡のなかの世界で同年代の少年少女と出会い、変化していく様をつぶさに描き出した原監督に話を訊いた。

取材・文/華崎陽子

◆「2時間以内に収めることが最初の難関」

──まず、お城のビジュアルに魅了されました。お城の描写は小説にもありましたが、海に囲まれているとまでは書かれていませんでした。このアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

岩礁の上に城があるアイデアは、紀行番組『世界遺産』(TBS系列)を見て思いつきました。たまたま、その番組を見ていたら、周囲は完全に海に囲まれているのに、500mの高さの岩山がそそり立つ「ボールズ・ピラミッド」(オーストラリア)が映っていて。この岩の上にお城を作ったらいいんじゃないかと思って、そのアイデアをデザイナーのイリヤ(・クブシノブ)に話して作ってもらいました。

映画の舞台となるのは、岩礁の上に建つ城 ©2022「かがみの孤城」製作委員会

──お城のデザインで特に意識されたことはありましたか?

広さを意識しましたね。ヨーロッパのお城や宮殿を見ていると、無駄なスペースが多い。それがつまり、富や贅沢の象徴だと思いました。天井がすごく高かったり、すごく広かったり。そういう感覚を意識してもらいました。子どもたちのそれぞれの個室も、ドアが無駄に大きくなっています。それぐらいしないとお城感が出ないのではないかと。イリヤはすぐ理解してくれましたね。

──原作は550ページを超える長い小説ですが、この映画は大事な部分をきちんと残す素晴らしい構成でした。脚本や絵コンテを作成する際にはどのようなことに気をつけられたのでしょうか?

この原作を2時間以内に収めるということが、最初の難関だと思いました。この物語には7人の中学生が登場しますが、安西こころ(声優:當真あみ)という少女を中心にした物語にすることで、なんとか短くすることができました。

16歳の女優・當真あみが演じた主人公・こころ ©2022「かがみの孤城」製作委員会

──オープニングのモノローグがラストシーンにも繋がるような構成がすごく印象的でした。

原作の導入がこころのモノローグで始まるので、そこは映画でも同じにしました。この作品に限らずですが、僕は絵コンテを描いている途中でラストシーンが見えてくるんです。それが見えてくると、そこに向けて進んでいけばいい。

それが僕の作り方なんです。出来上がったものを観ると、結果的にこころの歩みがこの物語のキーワードになったような気がして。冒頭で暗闇を歩いていたこころが最後にはそうではない歩みを見せるようにしました。

映画『かがみの孤城』

2022年12月23日公開
原作:辻村深月「かがみの孤城」(ポプラ社刊)
監督:原恵一監督
出演(声):當真あみ、北村匠海、芦田愛菜、宮﨑あおい
配給:松竹

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