行き交う人魅了する「阪急うめだ」巨大ウインドー、その歴史とは

2022.11.26 09:15

1面・高さ約4m✕横約6mのウインドーが並ぶ。現在は『不思議の国のアリス』がジャック

(写真6枚)

行き交う人々が思わず足を止め、しばし幻想的な世界に引き込まれるショーウインドー。商業施設は、来たるクリスマスを目前にさまざまな装飾が施されている。そんななか、大阪屈指の繁華街・梅田で、ひときわ目を惹くのが、「阪急うめだ本店」(大阪市北区)の巨大ディスプレイ「コンコースウインドー」だ。

年間でも一層と華やかになる「クリスマス装飾」をはじめ、同百貨店のディスプレイの歴史について話しを訊いた。

■絵本の世界を軸に、独自ストーリーで魅了

迫力のあるウィンドーが7面に渡って展開される同スポット。百貨店の顔として、季節の催事などに合わせた装いが名物だが、その昔、ウィンドーが誕生した1972年当時は現在と比べ高さが低く、8面のウィンドー内にはマネキンが並び、ファッションをメインに展示していたという。

そして1980年代以降はファッション中心のテーマを変え、ターゲット客層の30~40代女性に向けて「まだ日本で知られていないキャラクターを」とクリスマス=絵本の世界観を表現することに。過去には英国の絵本『ブランブリーヘッジ』のねずみたちが暮らすドールハウスを再現。フランスの絵本『リサとガスパール』ではオリジナルのストーリーで世界観を広げ、10年間展示した。

同百貨店で50年もの間装飾デザインを手がける、ストアデザイン部・アートディレクターの亀山和廣さんは、「最初は絵本に沿ってやっていくんですが、それでは限りがある。ですので、みんなで話し合いながらストーリーを練って広げ、それぞれの作者のタッチで仕上げていきます。『温かさ』を表現するため、ウインドーのなかの光らせ方も、最新のテクノロジーを駆使しながら」と語る。

現在の7面ウインドーに変わったのは、『リサとガスパール』展示中の2012年。そこからライティングなどの試行錯誤を重ね、現在では梅田の風物詩となった「キャラクターウインドー」を確立させた。

■マリオネットは「つながり」の象徴

唯一無二の展示に魅了されたファンからは、手紙や花束が届くことも

4年前の『くるみ割り人形』からは、チェコ在住の人形作家・林由未氏による「マリオネット」とコラボ。その魅力について亀山さんは、「糸で生命を与えられた人形が動くと、見る人は操られていることを忘れて命を感じる。人間が命をふきこむ、大事な『つながり』の要素だと思った」と話す。

『くるみ割り人形』を採用したのも、ヨーロッパではバレエ作品『くるみ割り人形』が家族揃って見るクリスマスの定番で、「温かな絆」の象徴だという点から。3年1セットで頭に浮かぶという亀山さんは、1年目は作品の概要、2年目は描ききれなかった世界、3年目は「夢の世界と現実の世界を2層でやりたい」と、登場人物たちの架空の子どもを設定したオリジナルストーリーを具現化させた。

■今年は「不思議の国のアリス」のへんてこりんな世界へ

今年の新作は『不思議の国のアリス』。亀山さん曰く「ひとつの場面に2つの話を盛り込んだ」そうで、うさぎや召使いなど、次の場面へのつながりを探す楽しみ方も。造形物の配置を変えることで、平面的になりがちなウインドー内でも部屋の中・外を表現したという。

これまでも「少し毒のあるような」「怖いものは印象に残る」と大人向き要素も取り入れてきた亀山さん。絵本を1枚ずつめくっていくような感覚でウインドーをのぞけば、独特のリズムで動く奇妙でユーモラスなキャラクターや小物が散りばめられていて、原作の魅力を再発見できそうだ。「阪急うめだ本店」1階コンコースにて、12月25日まで展示。

取材・文/塩屋薫

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