俺たちの泰時大活躍!「太郎のわがまま」に視聴者悶絶【鎌倉殿】
三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生涯を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。11月20日放送の第44回「審判の日」では、悲劇の不可避に胃が痛くなりそうな展開のなかに、義時の息子・泰時の有能かつ萌える活躍ぶりと、謎の白い犬の登場にSNSが湧いた(以下、ネタバレあり)。
■ 公暁による「実朝暗殺計画」を察した義時と泰時
夢で見た白い犬に啓示を感じ、運慶(相島一之)の手による仏像が並ぶ、薬師堂を建立した義時。翌日は三代目鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)の右大臣拝賀式が鶴岡八幡宮で予定されており、息子・泰時(坂口健太郎)は警護の準備を務めていた。それと並行して、実朝の甥・公暁(寛一郎)を中心とした、実朝暗殺計画も進行していた。
公暁と、彼の乳母父である三浦義村(山本耕史)の動きが怪しいとの情報を得た泰時は、義時とともに義村を問い詰めるが、そのときの態度から謀反をたくらんでいることを察知。義時は式の中止か、警護の強化を実朝に願い出るが、実朝にも式の責任者である源仲章(生田斗真)にも相手にされなかった。
一方泰時は、前年の「直衣始」で三浦一門が遅参したのを理由に、三浦一族の式の欠席を求める。計画を感づかれたことを察した義村は、暗殺の中断を申し出るが、公暁は単独でことを進める決意をする。そんな公暁を心配した母・つつじ(北香那)は「あなたはあなたの道を生きるのです。命を危うくしてはなりません」と諭すが、彼の心が変わることはなかった。
泰時は北条の兵を警護に回すよう父に願うが、「御所を西に移すつもり」と言い放った実朝に愛想をつかし、むしろ消えた方がいいと望んでいる義時から、協力を得られることはなかった。泰時は実朝に鎧の着用をすすめるが、実朝はそれを拒否。せめてもということで、なんとか護身用の小刀を渡そうとする。
実朝は妻・千世(加藤小夏)に、改めて愛情深い言葉をかけてから、会場となる鶴岡八幡宮へ。雪が激しく降りしきる中、式はおごそかに始まった。その最中に泰時は、平盛綱(きづき)から公暁による実朝暗殺計画が決定的な絵図を渡された。そこで実朝だけでなく、太刀持ちとして実朝に随行している、父・義時も標的であることを知るのだった──。
■ 泰時の有能ぶりに萌えるSNS、思わずトレンド入り
今回がいよいよ実朝暗殺かと思ったら、悲劇のカウントダウンの「3」ぐらいの辺りで止められたような状況となり、ホッとするやら「この状態で1週間待てと?」と歯がゆさを感じるやらな声が多数集まった第44回。そんななかでも今回は、主人公の義時に負けないほど「俺たちの泰時」の活躍ぶりも目立った回だった。
冒頭で、千日参籠の最中のはずの公暁が、外出用の箕を求めているなどの違和感から、謀反を推理するという流れに、SNSでは「泰時鋭い、公卿が鎌倉殿を襲おうとしていることに蓑の準備や兵の数で気づいた・・・流石普段から細かいことを気にしているだけある」「全然知らないけどちゃんとピースあつめて、何が起こるか予想できる泰時有能」「いろいろな点と線をつなぎ合わせて、すっかり名探偵泰時になっている」などの言葉が。
しかしその有能さ以上に、視聴者の心をゲットしたのが、拝賀式に鎧の着用も護身用の短刀所持も拒否する実朝に向かって、「太郎(泰時)のわがまま、どうかお聞き届けください」と懇願するシーン。実朝は泰時にラブレターを送るほど慕っていることを知ってる視聴者としては、命がけの状況であるとはわかっても萌えずにはいられず、ツイッターでも「太郎のわがまま」がトレンド入りした。
「『太郎のわがまま』って言えば実朝さま聞いてくれると考えた泰時に興奮した」「実朝の遠回しな告白を聞かなかったことにしたくせに、『太郎のわがまま』なんて殺し文句を言える泰時マジで魔性の男」「意図的に口に出したのだとしたら、さすがあの暗黒修羅キノコの息子だなと感心するけど、無意識に口に出してたなら、それはそれであまりにも罪な男なのでもっとタチが悪い気がする」などの興奮(?)の声が続々と並んだ。
■ 謎の「白い犬」、実はタイトルバックに登場していた
そして今回の冒頭は、唐突に義時と白い犬が向き合うという謎の構図で始まり、SNSでは「白戸家のお父さん?」「白い犬、しゃべったのかな?」「あれ 鎌倉殿に家康・・・? なんでこう思ったんだろうと思ったら、ソフトバンクのお父さんとかと脳内混ざってた」と、某CMや前回および次回の大河ドラマがいろいろと混じって、混乱したという声が多数聞かれた。
この白い犬のエピソードは、実は歴史書『吾妻鏡』にも記されている。義時の夢のなかに十二神将(薬師如来信仰者の守護神)のうちの戌神将が出てきて、「今年の将軍の参拝は無事だったが、来年の拝賀の日は出ないように」と告げたため、私財で薬師堂を建立。これが最後の紀行で紹介された「覚園寺」の前身となる。
さらに義時が、太刀持ちを仲章に変わってもらい、公暁の凶刃を免れたのも「白い犬」を見かけて気分が悪くなったからであり、その暗殺の日には薬師堂のなかの戌神将がいなくなっていたということも『吾妻鏡』には記されているという、この暗殺事件のキーマン(キードッグ?)なのだ。
ちなみにこの白い犬、実はタイトルバックの大きな鳥居のシーンの片隅に、以前から存在していた。このことに「タイトルバックにいたの、今の今まで知らなかった」と「最初(第一回)からずーっといるのに気づいていた」とSNSでは意見がわかれていたが、次回もまた本編に登場して、義時の命を救うことになるのか? 頭の片隅にとどめておこう。
◇
『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第45回『八幡宮の階段』では、右大臣拝賀式を終えた実朝と、義時を追い詰める仲章に降りかかる悲劇が、ついに描かれる。
文/吉永美和子
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