上皇が「トキューサ」公式認定、チーム京都にSNS和む【鎌倉殿】

2022.11.15 06:45

京・院御所・兼子の居室にて。藤原兼子(シルビア・グラブ)と対面する北条政子(小池栄子) (C)NHK

(写真6枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生涯を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。11月13日放送の第43回「資格と死角」では、鎌倉最大の悲劇がはじまろうとする重い展開のなか、「トキューサ」こと時房のファインプレーや、政子の成長という明るいトピックに、SNSが沸きかえった(以下、ネタバレあり)。

■ 鎌倉に野心を抱いた公暁が帰還するも・・・

現鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)が、周囲がいさめるのも聞かずに、後継者を京から迎える準備を進めるなか、先代鎌倉殿・頼家(金子大地)の息子で、出家して京都に修行に出ていた公暁(寛一郎)が、鎌倉に戻ってきた。公暁と対面した政子は、彼が「立派な鎌倉殿になります」と挨拶をしたことにとまどう。

京から送られた源仲章(生田斗真)の仲立ちにより、後鳥羽上皇(尾上松也)から「親王の1人を遣わしてもよい」という返答があり、この話を正式に進めるため、実朝の名代として政子が上京。政子が上皇の乳母・藤原兼子(シルビア・グラブ)と対等に渡り合う一方、付添の時房は上皇と蹴鞠の勝負を挑まれる。その技術と人柄を気に入った上皇は、親王の養子縁組の話を進めるよう、慈円(山寺宏一)に命じた。

鶴岡八幡宮・公暁の居室にて。鎌倉殿の後継問題について「話が違う」と三浦義村(山本耕史)に詰め寄る公暁(寛一郎)(C)NHK

兼子が育てた頼仁親王が養子になることが内定し、さらに実朝は左大将、政子は従三位に叙されるという成果を上げた。鎌倉で発言権を増した仲章は、義時の息子で実朝の側近の泰時(坂口健太郎)を、讃岐守に推挙することを提案したり、義時の妻・のえ(菊地凛子)に思わせぶりに近づくなど、調子に乗った行動が目立つようになる。

京都から戻った政子は、お互いの出世を実朝と無邪気に喜びあう。これにともなうさまざまな行事が次々と執り行われる一方で、鎌倉殿となる可能性が消滅した公暁は、乳母夫の三浦義村(山本耕史)から、病死と聞かされた父が北条家に殺されたことをはじめて知り、復讐心と鎌倉殿への野望をたぎらせるのだった──。

■「無敵すぎる」スポ根漫画のような展開にSNS高鳴る

三浦義村の計略に乗せられた公暁の怒りの導火線着火で、源実朝の運命の「雪の日」へのカウントダウンがはじまるという、悲痛なムードがただよっていた第43回。しかしそんな鎌倉に対して「TEAM京都」の方は、笑いあり痛快な展開ありで、悲劇の予兆のなかのオアシスのような存在となっていた。

なかでも最高潮に盛り上がったのは、後鳥羽上皇と「トキューサ」こと時房の蹴鞠対決だ。政子に付き添う時房が「鎌倉一の蹴鞠の名手」だと慈円に聞かされた上皇は、お忍びのような状態で時房に接近。そのまま2人で、華麗な足技を次々に繰り出していく。

このスポ根のようなやり取りに、SNSでは「サッカー青春ドラマか!?」「突然のキャプテン翼! 鞠は友だち!」と盛り上がり、さらには上皇に気安く接してしまう時房に、「上皇様に皮肉を放ったり肩パンするトキューサ、無敵すぎる。ある意味作中最強かもしれない」「師匠にキックでパスしようとしたり、上皇様を小突いたり、目上のサッカー部員風になるの本当に面白い」と褒めあげる声が。

https://twitter.com/nhk_kamakura13/status/1591760537771204611
蹴鞠シーンについて話す、時房役の瀬戸康史

しかしそんな時房を上皇は気に入って「トキューサ」呼ばわりし、しかも親王を鎌倉に養子に出すことを即決するというミラクルな展開に、SNSでは(NHK総合放送前の)BS放送の通称「早鎌」の段階で「トキューサ」がトレンドに上がるほどの盛り上がりっぷり。

「トキューサの蹴鞠で話が決まったああ」「蹴鞠を通して爆速で意気投合して、最愛の息子を鎌倉に送る手配をとか、なんですかその漫画のような展開」「ハーレクインによくある、相手が王様だと知らずにぞんざいな対応したら、SPに取り押さえられちゃったけど、王様からは『おもしれー奴』認定されて気に入られちゃった件」などのコメントが止まらなかった。

ただトキューサのこの手柄は、頼家が鎌倉殿だった時代に、いくら周りから揶揄されようが、ともに蹴鞠の練習に打ち込んだ成果。そのことを思い出した人たちからは、「蹴鞠に励んだ頼家公のお気持ちが、時を経てトキューサに実る」「上皇様とトキューサのシーンは頼家が繋いでくれた縁を感じて涙が・・・」「蹴鞠練習させまくった頼家が報われた回だった」などの声が上がっていた。

■ 爆上がりした政子の政治経験値、スッキリしたという声続出

もう1つ盛り上がった対決が、政子 VS 藤原兼子だろう。兼子を演じるシルビア・グラブは、ミュージカルの舞台でも堂々とした女丈夫を演じる機会が多く、上皇と対等に渡り合える数少ない存在である兼子は、まさにハマり役。

とはいえ公式インタビューでは「ちょっとこっちもビクついてるんだと思う(略)ひるんじゃダメよと思いながらやってました」と、「素顔はちょっとかわいいの」という感じを、絶妙に出して政子と対峙した。

一方の政子は、かつて丹後局(鈴木京香)と対面したとき、ケチョンケチョンに言いくるめられた教訓を生かし、干しダコなどで田舎者感を出してへりくだりつつ、最新の情報をズバッと出して相手をひるませ、最後に「こっちに着いた方がお得ですよ」感を出すという、実に高度な交渉術をやってのけた。

鎌倉御所・廊下にて。鎌倉殿の後継問題について密談する義時、義村、政子 (C)NHK

これにはSNSも「政子の政治経験値、頼朝の時代から爆上がりしてる・・・!」「もうあの頃の政子とは違う。数々の苦難を歩んできたのは伊達ではない」「丹後局で鍛えられた政子は強いぞ」と、政子の成長に目をうるませるようなコメントが続々と。

その好勝負ぶりに「ああ、いいわぁ~~~この2人のチャンバラ(舌戦)!!」「散々高慢な兼子を見続けてきたのに、政子にチョロくヤられるの胸がすく思いだし、ヤられた後の爛漫ぶり。兼子にシルビア・グラブさんもってくるの天才的キャスティング」「2人で飲みに行ったら殿方の愚痴とか言って意気投合してそう」など、スッキリした思いを伝える声が多かった。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第44回『審判の日』では、実朝が右大臣に出世するなか、公暁と義村が鶴岡八幡宮の拝賀式に向けて動き出す様や、仲章とのえのあやしい関係が描かれる。

文/吉永美和子

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