猫すぎてとろける…売切続出の毛布、猫への渇望が詰まっていた

2022.11.25 14:22

完売続出の『猫Feel』。動物が販売ページのメインモデルを務めるのは「ニッセン」史上初だそう(提供:ニッセン)

(写真8枚)

「確かに猫。ぬるんと液体感も猫」「とろとろフニャンみたいな感じで布団から出たくない・・・」など、SNSで「リアルな猫感」にやられた声が続出している毛布、その名も『猫Feel』をご存じだろうか?

心地よさ・快適さを追求した寝具シリーズ『CoCo Feel』の今冬の新作として誕生した同商品。『猫Feel』という名の通り、猫の触り心地を再現したという神アイテムで、ブランケット、クッション、毛布、敷パッドの4種を予約販売したところ、再販(11月24日時点で5回販売)でも毎回5時間以内には売り切れるという人気ぶりだ。

「そんなに『猫』なのか・・・?」と、愛猫を20年間なで続けてきた記者が、開発元のファッション通販「ニッセン」(本社:京都市南区)を訪問。クッションと敷パッドを触らせてもらうと、短毛猫の背中に指をすべられたような滑らかさ。本来ならそこから猫のボディの堅さに行き着くが、上部の柔らかさがずっっっっと続く感覚だった(あくまでも個人的感想)。想像以上に猫や・・・。

指を上下左右に動かすと、じんわり温かさも伝わってきて、「いや、もっと柔らかな顎下の先端の毛、もしくは耳の下あたりのフワ毛に近い?」と想像力が膨らむ(猫好きならわかってくれる・・・!)。これは相当な猫好きが開発したに違いない! 誕生のきっかけを尋ねると、当時入社1年目だった商品企画担当・長野初美さんの「猫愛」からだったという。その熱すぎる思いを訊いた。

売り切れが続く『猫Feel』を開発した「ニッセン」。社員たちもサンプルを見かけると「触らせて~」と寄ってくるほどのレア商品に

■「触りたくても触れない・・・」猫カフェ通いの渇望から

──猫の触り心地を再現した『猫Feel』。どんなプレゼンで、商品化まで至ったのですか?

新入社員だった当時は知らないことばかりの環境で、リフレッシュ方法が分からなくて。猫同伴出勤ができる会社の動画を見て、『もし会社に猫がいたら解決することがいっぱいあるのに』と思い込んでいました。

そこでブランケットなら会社に持ってこれますし、『猫の毛布を作りたい、くるまりたい!』と。猫の「概念」として、2021年12月の企画会議で提案しました。

──社内でも怪しまれない、「リアル猫」を想定したのですね。

はい。私はかわいい猫グッズとかではなく、あくまでも「猫」がほしいので。実家では動物アレルギーの家族がいて、現在はペット不可の物件に住んでいるため、実は正式に猫と暮らした経験はないんです。

──ともに暮らせないからこそ、募る思いもありますよね。猫への渇望が伝わってきます。

今は猫カフェに通っていますが、猫ちゃんの迷惑にならないように、通りすがりにちょっと触るぐらいでほかのお客さまが戯れてるのを見てる、みたいな・・・。私と同じように触りたくても気軽に触れあえない方や猫アレルギーの方にも、「肌触り・手触りを存分に感じてほしい!」と思い、今回の発案につながりました。

「ロシアンブルー」(グレー系)クッションを触ってみると、指がなめらかに埋まる感覚!

■ 商品は推しの多い「ロシアンブルー」を採用

アイデアを出した長野さん自身は「プレゼンよかったね」程度で終わると思っていたところ、ブランドコンセプトに見事にマッチして商品化が決定し、今年10月に販売を開始。開発を進めてきた商品企画担当の竹島静香さんにもこだわり点を訊きました。

──日ごろから猫の毛並みを「ふわふわ」「もふもふ」だけで表現してはもったいないと思っていたので、キャッチコピーの「とろとろ」が印象的です。

触って「とろける」というのは、「気持ち」も一緒に表現できる言葉かなと選びました。

──猫でも「お腹は毛がたっぷり」などさまざまな手触りがありますが、「猫感」をどのように再現したのですか?

今回の素材の毛足は毛布としては長めの約9mmですが、これは猫の足部分の毛の長さに似せています。指がグッと埋まる感も出せて、猫の感覚を残すギリギリの長さかと。そして「何度も撫でたくなるような毛並み」を再現するために、75デニールのかなり細い糸を使い密度の高い生地で「とろとろ」な感触を意識しました。

──2種ある色名は、具体的な猫種の名前になっていますね。

多くの方になじみのある猫種が良いと思い、さまざまなサイトの人気猫種ランキングを確認しました。ターゲットはトップ5までに入っている猫種。長毛種を表現するのは品質管理上難しいので、まずは短毛種を選定し、人気上位の「スコティッシュフォールド」を採用しました。

そして、毛並みの美しさで定評のある「ロシアンブルー」にも挑戦した方がコンセプトに合っていると判断。企画開発メンバーに「ロシアンブルー」好きが多数いて、採用を推したことも影響しています。

「猫Feel」スコティッシュフォールド(ベージュ系)のブランケット(1969円)(提供:ニッセン)

■ 毛布はまるで母猫? 猫自身もお気に入りに

──販売後の反響についていかがですか?

このシリーズでは今までで1番大きな反響をいただき、やはりうれしいのは「こんなものが欲しかった!」のお声ですね。そして思いのほか「猫が好きだけど、アレルギーで触れないのでうれしい」というお声が多く、どなたも喜んでいただけるような商品を届けられたのかなと。

──SNSではペットの猫が毛布を占拠している写真も多いですね。猫は快適な場所をいち早くみつける印象があるので、本家にも認められたのでは(笑)?

猫ちゃんが毛布をふみふみして、次第に顔をうずめていく動画なども投稿してくださり、もし母猫に触っている感覚に似ていたのなら光栄ですね。いつも布団には入ってきてくれない猫ちゃんも布団に乗ってくれたなど、猫自身が気にいっている事をお客さまがとても喜んでくれているのだと、うれしく感じています。

この商品化を通して社内で猫の雑談がうまれたり、サンプルを持ちながら「うちの猫ちゃんの背中かも」「グーにして包んだら頭かな?」「いやいや、私は広げると背中だと思います」など、みんなが楽しくなる経験ができたという開発メンバーたち。

「毛布」「敷パッド」は11月中の予約分で販売終了となるが、「ブランケット」「クッション」の販売は継続。ほかの猫種も欲しいとの声が多いため、開発は継続中で2023年春には新作も販売予定という。「猫感」へのあくなき探究心は今後も続きそうだ。

取材・文・写真(一部)/塩屋薫

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