100種以上がずらり…ソースの街・神戸にある専門店がレベチ

店頭のワゴンにはところ狭しとソースが並んでおり、神戸エリア原産のものが多数
お好み焼きやたこ焼きなど、粉もん料理には欠かせない「ソース」。そんなソース、実は「神戸港」を通して生まれたもののひとつだと言われており、発祥の地である神戸には100種を超えるソースが並ぶ専門店もあるそうで(ちなみに一般的なスーパーだと約10〜20種ほど)・・・神戸在住の記者がさっそく訪れてみた。
■ 地方からの「ソース送って」がきっかけ
その専門店というのは昭和21年創業のソース専門店「ユリヤ」(神戸市長田区)。阪神電車・高速長田駅を出てまっすぐに伸びる「長田神社前商店街」のなかに店を構えており、昔ながらのパン屋や文具店が並ぶ下町らしい雰囲気漂う通りに面する 。長田というのは、神戸の中心地「三宮」から電車で西に20分ほどのところにあるザ ・下町エリアだ。
「ユリヤ」という屋号の由来は、戦争が終わった頃に、鑑賞用の「ユリ」を販売していたことにあったといい、阪神・淡路大震災をきっかけに店頭で取り扱う商品が「ソース」へとシフトされたという。同店を営む中島さんに話を聞くと、「この辺りは震災がひどかった地域だったもので、多くの人が地方に出てしまって・・・そんな彼らが『ソースを送ってほしい』と言う声が増えたんです」と振りかえった。

「神戸は日本におけるソース発祥の地でもあるし、長田といえばお好み焼きの街。実際にお好み焼き屋がひしめき合っているのは、ちょっとエリアの離れた『新長田』のエリアだけど、『長田=ソース』という括りで店を始めることにしたんです」と店主の中島さんは言う。
「ソースの街」とは驚くが、JR・新長田駅周辺をグーグルマップで検索してみると、ざっと数えても徒歩圏内に25件のお好み焼き屋さんが。ソースの発祥地については諸説があるようだが、明治時代に貿易の港として栄えていた神戸とは深い関わりがあるようで、訪れた欧米人が肉を食べる際に「おいしいソースがない」と言っていたことがそのの始まりだったんだとか・・・ふ〜ん、興味深い。

■ 危ぶまれるソース・カルチャー
では、ソース専門店「ユリヤ」ではどんなソースが買えるの? 片手におさまる小ぶりのボトルから、一升瓶(驚!)サイズのものまで100種以上揃っており、なかには神戸発祥のメーカーが多数ラインアップ。
長田エリアの代表格「ばらソース」(本社:神戸市長田区)は、まさに神戸の特徴「クセの強さ」が表れている商品で、中島さんが業者や店舗に説明する際も「10人いたら7人は『オリバーソース』だったり、親しみやすいソースを選ぶが、もし3人が『ばらソース』を選んだとすると、その3人はその後も絶対に離さへんと思う。そんなソースやね」と太鼓判を押すそうだ。

また、同エリアでは「ばらソース」と二分して愛される昭和20年創業「ブラザーソース」(本社:神戸市兵庫区)や、甘酸っぱさがどこか懐かしい「ニッポンソース」(本社:神戸市東灘区)、レトロなパッケージが目印の「プリンセスソース」(本社:神戸市灘区)など、神戸のソース文化を引っ張ってきた主力ブランドが勢揃い。
だが、こうして何種類もの地元ブランドが並んでいるが、実はいくつかのメーカーは現在「後継者」問題に直面しているといい、実際のところ跡継ぎがいないことからこの2〜3年で閉業に至ったメーカーもあった。そのソースを使ってお好み焼き屋を営んでいた人々は、中島さんのところへ「残ってませんか?」と在庫を確保する電話をかけてきたそうだ。

神戸民の食卓をこれまで支えてきた下町ソースブランドが無くなりつつある現状。スーパーで手に取る大手メーカーの商品も、旨さが約束された安パイなチョイスだが、地域の特色が色濃く表れたソースを使ってるのもいいかもしれない。
■ お土産の新定番に「ソース」!?
取材中もひっきりなしにお客さんが訪れており、一升瓶のソースを購入する常連客や、自宅用のソースをまとめ買いする人も。そして、手土産としてソースを選んでいる人も見受けられ、「GW前やお盆休みの前はそういったお客さんが多いね。ハワイ行ってばらまき土産としてTシャツを10枚買う感覚で、ソースを何本も買っていかれる方もいるよ」と中島さん。もちろんハワイのTシャツや大福、スイーツなども貰ってうれしいが、ソースという選択肢はかなりアリかもしれない。

そんな「ユリヤ」は現在、店頭での販売だけでなく各地への卸販売もおこなっているそう。箱詰めされたソースを前に中島さんは「今から配送するのは、沖縄に東京の麻布十番でしょ、それに徳島、兵庫の加古川といったところかな」と話す。「やっぱり神戸のソースが良い」との呼び声も少なくはないそうだ。

◇
下町に根付く、古き良きソースカルチャーを代表するお店「ユリヤ」。なんだか面白いソースに出合ってみたい!神戸の味とはなんぞや!なんて思った方は一度足を運んでみては?
取材・文・写真/Lmaga.jp編集室
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