やっぱり関西人は「納豆嫌い」? 専門家に訊いてみた

2022.7.10 07:45

関西人が納豆が嫌い?(sasazawa/stock.adobe.com)

(写真4枚)

7月10日は「納豆の日」。全国どこでも手軽に購入でき、国民食と言える納豆だが、「関西人は納豆を食べない」というイメージが一般的には強くあるよう。筆者が就職して首都圏に住んでいたときには、「関西の人は納豆食べないでしょ?」「関西人だから嫌いだよね?」と聞かれることがあり、驚いた記憶がある。

しかし実際、筆者自身は嫌いではなく、週に1回程度は食べている。同じ関西出身の家族はもっと高頻度で食べるので、週に2パック(6個)購入するなど、冷蔵庫に常にあるスタメン食材の1つだ。実際、納豆は我が家では食卓に欠かせない食品だが、関西では今もあまり好まれていないのだろうか?

■ 近年における関西での売り上げは上昇傾向

「実際、売り上げでいえば東日本のほうが高い傾向が見られます」と教えてくれたのは、「おかめ納豆」で知られる大手納豆メーカー「タカノフーズ」(本社:茨城県小美玉市)の広報担当者・市村真二さん。

近畿圏の納豆売り場(写真はライフ守口滝井店)※価格は掲載当時のものです

しかし「2011年以降、テレビ番組などで納豆を健康食として取り上げられることが増えたことからか、国内全体で需要は高まっており、特に関西を含む西日本でも売り上げは伸び続けている状況です。最新のデータで西日本では、4年前に比べて112%の売り上げを記録しています」と近況を話す。

また、関西と関東の両エリアでスーパーを展開する「ライフコーポレーション」(本社:大阪市淀川区)の広報・中村陽菜さんによると、「納豆の1人あたりの月額消費金額(税抜)は関東が160円、関西が130円と、かける金額は関東の方が高いです」と分析。

「そのため売り場を比べてみると、標準的な大きさの店舗で、関東では6尺6段、関西では4尺5段と、関東のライフの方が商品棚の幅が広く、棚の枚数が多い。売り場を直線にすると関東の方が1.8倍広くなります」という。

首都圏の納豆売り場(写真はライフ神田和泉町店)。関西より商品の種類が多いのも特徴 ※価格は掲載当時のものです

これらの話を踏まえると、関東に比べると関西では納豆を食べる量(頻度)やかけるお金は少ないものの、「嫌い」「食べない」という説は徐々に覆されているように感じる。実際、大阪市内には納豆専門店が続々オープンし、人気を博している。

■地域で異なる好み、関西でのキーワードは「フレーバー」

関東ほどではないにせよ、以前よりも食べる人が関西でも増えているようだが、関西でよく売れるのはどのような納豆なのか。

タカノフーズの市村さんによると、「関東ではスタンダードな商品が売れる傾向にありまして、納豆自体の香りがあり、醤油をしっかりと感じられるタレが好まれます。しかし、関西では匂いが控えめ、ダシの味がしっかりした甘めのタレが人気ですね」と、関東と関西の好みの傾向を指摘。

また、「関西では納豆の匂いをカバーできるからか、フレーバー系のタレがとても人気があります。なので、弊社でも西日本限定商品として『しそ海苔納豆』を販売していますが、関西のみなさんにはとても好評です」という。

関西エリアで人気だという、タカノフーズの「しそ海苔納豆」や「つゆたっぷり納豆」

ライフコーポレーションの中村さんも、「関東ではスタンダードなものが好まれる傾向にありますが、関西の売上ランキングにはフレーバー納豆が上位に入っており、匂いを気にされている方が多いと考えられます。なかには、関東では販売休止となっている匂い控えめの納豆も、関西では人気トップ10に入っています」と、関西では匂いを抑えた商品、またそれゆえ定番以外のタレが圧倒的に好まれているようだ。

筆者もよく購入するものを振りかえってみると、「匂い控えめの小粒」、また「紫蘇」「わさび」など、珍しいタレのものをよく購入しており、データ通りの買い物をしていた。

こういったデータを出すことができるほど、さまざまな種類の納豆が楽しめる今。タカノフーズの市村さんは、「納豆は日常食ですが、飽きずに食べられるようフレーバーのタレを付けたものにも力を入れています。また、国内には各地方の納豆メーカーさんもあり、どれも違っておもしろいです」と話す。自分好みの「推し納豆」を見つけるのも楽しそうだ。

取材・文・写真/野村真帆

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